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いくつかのセレナーデ 10 払い戻し手数料

払い戻し手数料

正月にボクは招かれて、地方都市の彼女の実家に行った。
家族から歓待を受けた。
それから半年。
ボクは彼女の故郷へ飛ぶためのチケットを2枚買った。
搭乗者の名前は彼女とボク。
彼女は拒んだ。
ボクは諦めるしかなかった。
数日後彼女から聞かれた、もうキャンセルしたの。
まだキャンセルしていない、とボクが言うと、彼女は、
2枚とも譲って欲しいと言った。
ボクの名前のチケットの払い戻し手数料は、自分たちで払うという。
愛は時として残酷だ。
でもそれが、いずれ支払わなければならない手数料なのだとすれば、
愛はその分だけ優しいのだ、とも思う。

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