いくつかのセレナーデ 5 小さなビルの小さなオフィス
小さなビルの小さなオフィス
阪神高速沿いの小さなビルの小さなオフィスの
小さな会社に、ボクたちは勤めていた。
社長の秘蔵っ子だった彼女に比べて、
大した仕事ができなかったボク。
会社についていい思い出はない。けれど、
訪れた小さなビルのエレベーターの扉が開いて、
目の前に小さなオフィスが現れると、
今でも胸の奥が微かに震える。
彼女が、ボクが、せわしなく行き来していた、
小さなビルの小さなオフィスの光景が、
目の前によみがえる。
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