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復活の呪文「パックリます」

言葉にするのが苦手な男子…案外多い

普段は立板に鉄砲水…周囲には
「木更津の(地名はご自分の所在地)さんま」
と陰口を叩かれているのに…
自分のピンチは口にできない。
そんな男子周りにいませんか??

ほとんどの女子も男子も…
アイツ!!と該当者が思い浮んだと…

普段から周囲を笑かしている道化ほど落ち込みはマリアナ海溝より深いのです。

小生の復活の呪文は
1️⃣寝る
2️⃣とにかくダッシュ
3️⃣音楽を大音量
4️⃣寅さん映画で泣く
5️⃣酔い潰れる
と、こんな感じです。

小生がまだ子供もいなかった頃…
新婚でもなかったのですが…

補給艦という船でインド洋に派遣された最初の航海の事です

嫁と一緒に横須賀までクルマで出勤し、少し艦内を見学していると
「出港準備のため家族は艦外へ」
と放送が流れタラップまで見送り
持ち場につきました。

大抵の乗員は家族の見える上甲板という場所で、半年間の別れを惜しむ時間があります。

飛行機と違い船は5分や10分では出て行きません。

小生の持ち場は船の1番高い場所
ブリッジに配置され仕事です。
職務であり持ち場を離れられません。

しばらく逢えない嫁に
「あれも言えば良かった」
「もう少し優しい言葉を…」
という後悔だけが…胸に去来します。

ブリッジからは周囲全体が見えます

岸壁で「ダンナがどこにいるかキョロキョロ探している嫁も手に取るように…」

でも小生は手をふる事もできない。

仕事だから仕方がありません。

そのまま船は岸壁を離れ…
後悔だけを残して浦賀水道を下り…
仕事が済んで自分の部屋へ戻りました。

その瞬間から…
丸一日もうろうと…

おぼろに記憶している小生は…
歌を聞き…
がむしゃらに艦内で走り…
寅さんを見て…
でも…どうしても
「小生がどこにいるのかキョロキョロ探している嫁の姿が脳裏に焼きついて」
…眠れませんでした。

しんどいと誰かに…
言葉に出せなかった自分
少しだけ年長で
少しだけ部下がいて
弱みをさらせない不甲斐ない自分

今の初老の自分になっても…
あのときの自分に…
かける言葉なんてありません。

その後何度も中東やアフリカへ…
船で…飛行機で赴任しました

あのときの落ち込みが…また去来するのが怖くて…見送りは毎回断り
海外へ長期で派遣されるたびに
一人で自宅から出発しました。

最後にアフリカへ赴任する時はさすがに

「子供と成田まで見送りに…」
と言ってくれましたが
普段どおりに通学する子供を家で見送り、いつもの朝のように駅までクルマで送ってもらいました。

小生は大人気ないのかもしれません。
でも20年ほど前の横須賀でのせつなさはもう懲り懲りです…
毎回エエカッコしているうちに…
海外赴任する事はなくなりました。

スマホの時代となり、
映画でもなんでもすぐに見られる便利な世界は夢のようです。

最後の海外赴任も成田のラウンジで寅さんを見ながら過ごしました。

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