ユウグレ信

2023年4月、48歳で卵そうがんがわかりました。病気をきっかけに、自分の身の回りで起…

ユウグレ信

2023年4月、48歳で卵そうがんがわかりました。病気をきっかけに、自分の身の回りで起こる出来事や雑感などを徒然書いていきたいと思います。

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  • 私の卵巣(病気まわりのエッセイ)

    2023年4月の卵巣がん発症をきっかけに、自身の身のまわりで起こった出来事や気持ちをエッセイ形式で書いていきたいと思います。

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闘病記①卵そうに白いモコモコがあります

4月6日木曜日。 産婦人科の診察室で私はポロポロポロポロ涙をこぼす。 「ごめんねー、こんなこと言われたらびっくりするよね」 先生は申し訳なさそうにしているが、事態の原因は先生のせいでも、産婦人科のせいでも何でもない。 「先生が謝ることじゃありませんからー。でも、受け止めきれないー。受け止めきれません。えーなんでー。えー。」 私は感情を抑えることができない。先生だろうが看護師だろうが、それほど面識のない方々の前であるにも関わらず、ただただ涙は流れるまま。 先生も看護師もそんな

    • ヒトリヲモテアマス

      カルボプラチン単剤投与したのが、先週の火曜。 1週間経つことになる。 やっと4回目が終わった。 あと2回だ。 食欲は出てきてるけど、身体のなんとも言えないだるさが取れない。 睡眠薬を飲まないとこの期間は眠れない。 そのせいか昼間でもぼうっとしている。 抗がん剤の体の怠さなのか、睡眠薬のせいなのか…。 何かしたいけれど、あまりに怠くて体を動かせない。 せっかく食べられるようなったから、アイスクリームなんて、食べたくもないのに口に運んでみる。 甘重い塊があっという間に

      • #8 アナフィラキシーショック

        卵巣腫瘍はステージ2Bで、両方の卵巣と子宮、リンパ節、大網を摘出した。 腫瘍は大腸に癒着していたが、大腸を切らずに剥がせたとのことだった。 目に見えていた腫瘍は取り切れたとのこと。 体中に管が繋がれて身うごきが取れない。 しかしその管も一本ずつ抜けて、身軽になっていく。 お腹の傷の痛みはやはり相当なものだ。 腹を掻っ捌いているのだから当たり前だ。 傷の痛みを庇って、前屈みになりよちよちと歩幅を狭めて歩くので、おじいちゃんおばあちゃんのようだ。 術後12日で退院した。

        • #7 麻酔の直前に

          いよいよ入院手続きをし、病棟に案内される。 病棟は幸いにも新しく、大部屋と呼ばれるところで、4台のベッドがあって、どのベッドにもなるべく大小なりの窓がくるように、入り口から放射状に配置されるなどの工夫がされていた。 ちょっと昔の大部屋なら、日中は患者たちがカーテンをそれぞれ開けて、世間話をしながら互いを知っていくようなイメージを持っていたが、それぞれの部屋にびっちりカーテンが閉められていて、ちょっと新参者のご挨拶・・という雰囲気は皆無だ。 私はいつも朝食をきちんと7時くら

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        闘病記①卵そうに白いモコモコがあります

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        • 私の卵巣(病気まわりのエッセイ)
          8本

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          闘病記#6 父と母と弟と私

          手術は5月1日。 その前日から入院となった。 弟が病院まで送ってくれることになった。 弟は私の2歳年下である。 弟は、私とは正反対の性格で、 小学生の頃から、イタズラをしては母親が職員室に呼び出されるみたいなことが、たびたびあった。 友達関係は幅広くて、人気者だった。 また、担任の先生のキャラクターによって、弟の評価がよくなったり悪くなったりもした。 一方私はおとなしくて、ぼうっと生きてるだけなのに、その佇まいがなぜか大人には「しっかりしている」と思わせた。 友達は少

          闘病記#6 父と母と弟と私

          闘病記#5 紹介状を持って

          4月6日に婦人科に紹介状をもらい、なんとかマインドセットして、10日には総合病院へ向かった。 産婦人科の中でも専門がわかれていて、腫瘍内科専門医師が診察することとなっていた。 「腫瘍内科」という字面が、私の目に飛び込んできて、改めてショックを受ける。 そりゃそうだよね…。 白いモコモコって腫瘍だよね。 診察室に入ると、ここで診察を受けるに至った経緯を説明するように言われ、一通り説明した。 先生は部長という役職なので、大層お偉い感じなのかと勝手に想像していたが、非常に物腰が

          闘病記#5 紹介状を持って

          闘病記#4 カウンセリングと私②

          自分の怒りの根源はどこにあるのか、自分がどことなく感じている生きづらさはどこから来ているものなのか。 自力で心の中を紐解き、生きづらさを解消できないか、ネットで調べたり本を読んだりした。 本は20冊近くを読んだ。 数冊読んだ中で、実際にカウンセリングルームを開いている方の本を多く読み、その方のカウンセリングを受けることにした。 今までイメージしていた、または経験したカウンセリングとは違い、 自己を振り返って整理するのみならず、時に自己の無意識に働きかけるというようなとこ

          闘病記#4 カウンセリングと私②

          闘病記③カウンセリングと私

          ところで、私はカレコレ、7年前からカウンセリングを受けている。 きっかけは、息子の癇癪だった。 2歳になるころには、立派な自我が出ていて、日常動作のやり直しとか、何を言っても「やらない!!」の一点張りとか、夜驚症に関連していると思われる起きぐずりなどが私を相当に悩ませた。 子育て支援センター、地元の大学の教育機関や、その附属機関、ネットを叩いてはヒットするところ、あらゆるところに相談に行った。 発達障害も疑って、児童精神内科を訪ねたこともあった。 子どもがどのような状態に

          闘病記③カウンセリングと私

          闘病記②グジャグジャの気持ち

          病院をあとにしたと言っても、駐車場の中で私は動けないでいた。 もちろん涙は止まらない。 …卵巣にある白いモコモコー。 …腫瘍マーカーの値が高いー。 こんなのどう考えても癌に違いない。 運転席に座り、エンジンがかかっているものの、ハンドルを握る気持ちには到底なれない。 しかし、この日は診察を終え次第、出勤することになっていた。 こんな気持ちのまま、仕事なんてできそうにないのに。 職場にはまだ何も言ってない。 どのみち職場に伝えなければいけない。 タイミングとしては早す

          闘病記②グジャグジャの気持ち