にせママ

30歳過ぎたら増えてきた「自分の努力だけではどーにもならないこと」を書きます。今ある幸…

にせママ

30歳過ぎたら増えてきた「自分の努力だけではどーにもならないこと」を書きます。今ある幸せに目を向けつつ、心の機微をさらけたい。

マガジン

  • 二世帯住宅が完成しない

    二世帯住宅を通じて家族について考えるエッセイ

  • 生きる力が湧くショートショート

    ノンフィクション×妄想

  • ワンオペママの戦場

    育休中2児の母の とっちらかった育児エッセイ

  • 発展途上夫婦

    結婚してもうすぐ5年。子育て&共働きでハイパー時間貧乏だけど、いつまでもスキ同士でいたい!

  • 97歳の一人暮らし

    97歳で一人暮らしをする祖父のお話。祖父を敬愛する私は遠距離介護(介護というより見守り)のキーパーソンをしています。 戦争禍を生き抜いた人の人生の最期とは。

最近の記事

二世帯住宅が完成しない #20 5年

先日、結婚5周年を迎えた。 ありがたいことだ。飲食店も「5年もったら安泰」という。 喧嘩もあったが、私達も安泰か。そうであったら、素直に嬉しい。 「結婚記念日、どうしようか。」 安泰夫婦の我々は、阿吽のブレスで外食先を決めた。 ロシスー で シースー (スシローで寿司) 夫も私も、寿司が好きだ。 それも、安くてうまいやつ。 ということで、スシローで子ども達と4人でテーブルを囲んだ。 席に着くとゴングが鳴ったように、私達はタブレットから次々と寿司を注文する。この日

    • 3人目妊活中に育休復帰するゾ

      私は4月に復帰する。人生2度目の育休復帰。 目を閉じれば、私の育休のエンドロールが流れてくる。 【出演】 娘(3)  息子(1)  夫  【協力】 娘の保育園 会社 【製作】 私 …FIN… …短いっ。 トイレットペーパーなら大変心もとない長さだ。 エンディングソングは「3月9日」を選曲したが、イントロで終わった。 何はともあれ、楽しかった育休生活は終わりを迎えており、いよいよ私は仕事復帰する。 3人目妊活中でありながら。 1年半の育休が終わる… 「復帰」…

      • 二世帯住宅が完成しない ~なかがき~

        こんにちは…! え?「アナタ誰ですか」って?(幻聴) 少しご無沙汰していますもんね…。最近更新が途絶えがちですみません…。 「あ~二世帯住宅で色々こじらせてるアイツか…」(幻聴) そうです!思い出していただけましたでしょうか? どうも、アイツです! この連載を楽しみにしてくださっている方も、別にそうでもない方も、いつも読んでくださり、本当にありがとうございます!! 久々の更新かと思いきや、そうでなく…「まえがき」でも「あとがき」でもない、今回は「なかがき」を書きたい

        • 二世帯住宅が完成しない #19 対等

          私は、とあるエッセイ本にハマっている。 三五館シンシャの職業日記シリーズ。 私の連載を読んでいる方は「家」にご興味がある方が多いと思うので、シリーズの中ではこちらがオススメ↓↓ 住宅業界の内情も垣間見れるので面白い。 職業日記の著者たちは、皆50代~80代一般の方。人生の酸いも甘いも経験した彼らが、自身の職業で経験した辛かったことを中心に日記形式で1冊の本に綴られている。 現場ならではの理不尽な出来事や涙ぐましい苦労。大きなものや境遇には逆らえない「人の弱さ」。そして

        二世帯住宅が完成しない #20 5年

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        • 二世帯住宅が完成しない
          20本
        • 生きる力が湧くショートショート
          5本
        • ワンオペママの戦場
          6本
        • 発展途上夫婦
          5本
        • 97歳の一人暮らし
          4本

        記事

          二世帯住宅が完成しない #18 仏壇

          突然だが、皆さんはお仏壇について真剣に考えたことはあるだろうか。 まだまだ先の話でしょ。と頭の隅にもなかった我々は二世帯住宅を建てるにあたって、仏壇問題に直面していた。 「嫌よ!リビングにお義父さんの仏壇なんて辛気臭い!」 ヒステリックな声が実家に響く。 2021年春。我々は二世帯住宅(完全分離型)の詳細設計を進めていた。 新居の親のリビング一角には、家の構造の関係で半畳ほどの凹み空間が1つあり、そこをどう使うかについて議論がされていた。 「将来、オヤジの仏壇を置く

          二世帯住宅が完成しない #18 仏壇

          二世帯住宅が完成しない #17 メール

          「ピロリン♬ メールだヨ!」 これを聞くと中学生の私は、条件反射のように母のケータイをつかみ取る。 当時ケータイを買ってもらえなかった私は、母のケータイからメールを送らせてもらっていた。 友人からメールが届くと、私はすぐに返信する。時にはケータイを握りしめ、友人と追っかけるアイドルがMステなどに出ていると、実況するように感想を送り合った。 「山Pキターー!」「萌え~!!!!」などと、なんとも中身のないメールであったが、返信後、私はこまめに友人とのメールを削除する。母に

          二世帯住宅が完成しない #17 メール

          二世帯住宅が完成しない #16 黒歴史

          「ママ、若くてキレイだね。」 友人からそう言われると、私は少し鼻高々だった。 母は、早くに結婚出産したのもあって、子どもながらに周囲のママより若く感じた。そして、昔からずば抜けて社交的な性格だった。よそよそしい親戚同士の集まりも、彼女がいれば場が持って助かる。 私は母が大好きだった。毎日ハグしてくれたし、「可愛い」「大好き」と言ってくれた。私はあまりにも「可愛い」と言われるので、「私って、可愛いんだ」と一時誤ったアイデンティティを確立したくらいだ。 私の自己肯定感グラ

          二世帯住宅が完成しない #16 黒歴史

          二世帯住宅が完成しない #15 ため息

          朝4時。私はそっと布団をすり抜け、リビングに向かう。 あたたかい飲み物を作り、PCを開く。そしてnoteを書く。 一番集中できるのは朝。私の頭は冴えている。気分は知的な小説家。 カタカタカタ…と執筆すること2時間。時計を見ると、早くも6時前。そろそろかな。名残惜しくもPCを閉じる。 家族が起きてくる前に、私は、夫のお弁当と朝食づくりに取りかかる。気分は良妻賢母の磯野フネ。トントントンとまな板を鳴らす。 夫のお弁当も詰め終わり、手際よく配膳をしていると「ママ~」と目をこ

          二世帯住宅が完成しない #15 ため息

          大晦日は雨が降ったね

          と言い、大泉洋は「見て。雨にうなだれる僕の写真。」と私にスマホを見せてきた。紅白の本番前だったろうに、制作スタッフに怒られないのか。 「関西も夕方は小雨でしたけど、紅白の時には止んでましたよ。」 「通天閣前で歌った天童よしみさんも、気が気じゃなかっただろうね~。」 あっはっはと彼は笑う。 「大泉さん、初出場お疲れ様でした。今回の紅白、よかったです。」 私は親指を立てる。 「今回のって…過去の2回はどうだったの?!」 「あ、それもよかったですよ。司会してましたもんね。

          大晦日は雨が降ったね

          二世帯住宅が完成しない #14 キーパーソン

          「兄嫁ちゃんがね、あんたは育休中何してるのかなって気にしてたよ。」 へえ。 「兄嫁ちゃんはね、育休中のスキマ時間に簿記の勉強してるんだって。」 エライねえ。 2021年春のこと。 私は第一子の娘を出産してから、5か月が経とうとしていた。 同じく兄嫁も0歳の娘(姪)がいて、育休中であった。彼女と母の会話を又聞きした私は、奥歯にネギが挟まったような違和感を覚える。 「お義母さん、義妹ちゃん(私)は育休中に何しているんですか?私は簿記の勉強してますけど。」 これに何の

          二世帯住宅が完成しない #14 キーパーソン

          二世帯住宅が完成しない #13 蛙の覚悟

          「死にたい。」 そう言われてしまい、私は何も返せなかった。 励まそうと思いつく言葉は、どれも軽く感じ、飲み込んだ。 相手は冗談では言っていない。 本心だ。 「長生きしてもな、ええことないで。」 今年97歳になった祖父が言う。 かめはめ波 並みの説得力だった。 日に日に思うように動かなくなる身体、ひどくなる物忘れ。できないことが増え、自分が自分でなくなっていくような不安感。 やり残したことがあっても、自分の身体ではどうにもできない。冒頭の言葉には、そんなやるせない思

          二世帯住宅が完成しない #13 蛙の覚悟

          一緒に飲もうよ

          そう言って、倫也が横に座り、プシュッと缶ビールを開けた。 「わ、びっくりした。」 物思いにふけっていた私は、横に目を向ける。 自然と視線は、倫也の持っている缶ビールの絵柄へと移った。 最近の缶ビールは、「水曜日のネコ」など可愛いパッケージのものが増えた。倫也が手に持つ缶ビールも、絵柄が可愛らしい。 「倫也って、可愛いビールが似合うね。」 「そう?ジャケ買いしちゃった。」 倫也は笑う。 倫也と可愛い缶ビール。相性がよく、絵になっている。 彼の結婚の知らせを聞いた時と、同

          一緒に飲もうよ

          二世帯住宅が完成しない #12 一世一代

          Pardon? 英検準2級の面接では、英会話ができずとも、「コレを言っとけば受かる」と聞いたことがある。何を質問されても Pardon?だけで乗り切れると。 和訳すると、 「聞き取りにくかったので、もう一度言ってください。」 サンドイッチマンの富澤さん的に言うと、 「ちょっと何言ってるかわかんないっす」 確かに、これを言うと会場が笑いで湧く。 しかし、残念ながら、人生は英検準2級ほど舐めたものでない。 富澤さんも窮地に立たされて、このネタを作り、M-1で優勝した。

          二世帯住宅が完成しない #12 一世一代

          二世帯住宅が完成しない #11 禁じ手

          「このような家だと、I社では、おいくらで建ちますか。」 ここは、I社モデルハウスの打ち合わせテーブル。 私は、他社である設計事務所が作った図面を、ケインコスギ(似のI社営業)に見せていた。私たちの要望が詰まった間取り図。設計事務所の名前は伏せている。 このやり方は、禁じ手かもしれないが、私は単刀直入に聞いた。 I社は、私たちの理想の家を、どれほど安く建てられるのか。 この日、私がI社モデルハウスに突撃訪問したのは、この確認のためだった。二世帯住宅をI社か設計事務所のど

          二世帯住宅が完成しない #11 禁じ手

          難しい顔して、どうしたんですか?

          そう言われ、私は全集中していたスマホから目を離し、顔を上げる。 「あれ…もしかして福くん?!」 びっくりしつつ、私は福くんに笑いかける。 「大きくなって~!眉毛少し整えた?かっこいい!」 私は、チョキの手を自分の眉に添える。10ほど年下の男子を前に、私のジェスチャーはババアだ。福くんは照れてくさそうに笑う。 「今から大学の講義なんですけど、時間あるので寄り道してたんです。」「え、福くんってもう大学生?!」 衝撃の事実に言葉を失う。マルモリの福くんを昨日のように思い出す

          難しい顔して、どうしたんですか?

          二世帯住宅が完成しない #10 突撃

          「いらっしゃいませ!」 白い歯が光る男性が、笑顔で出迎える。彼は、センチュリー21のケインコスギに似たイケメン。スーツは黄土色でなく、上品なグレーだった。 「二世帯を検討中で、Ⅰ社の家ってどんな感じかな~と思いまして。」「ご案内しますよ。」 私は、I社のモデルハウスに足を運んでいた。 ここまでの経緯を説明させてほしい。 はじまりは、父の藪からスティックな発言だった。 「I社で家を建てないか?工事費が安くなりそうなんだ。」 私は動揺した。 私たちは、設計事務所で二世帯

          二世帯住宅が完成しない #10 突撃