親子のこころに波及する交通事故の痕

 親子関係で悩みを抱えているお母さんって、本当に多いですよね。
大変な思いをして、出産して、育児して、それでも子供とのいい関係を持てない。
何とかしたいと思って、子供の事を考えて、かける言葉がさらに関係をこじらせていく。
時折、聞きます。

 先日も交通事故で怪我をされた成人した子供に、「焦らないでしっかり治してね。」とかけた言葉に、切れられるという話をお聞きしました。
子供のことを気遣ってかけた言葉に、「どうして、その反応?」となる訳です。
驚きと戸惑いが、怒りや落胆に変わり、自己否定に波及して落ち込むという状態になってしまいます。
こうした事も交通事故が親と子のこころに波及する一例ですが、頻繁に起こっています。
 
 別の例としては、高齢の親が交通事故の被害者になって怪我をしてしまいます。
子供が病院に連れて行ったり、お世話をしておられるんですが、徐々に言葉や態度が、キツイものに変化していってしまう。
なんてこともよくあります。

 これらは交通事故と、事故後に起こる様々な出来事が、こころの中にある類似の不快な記憶と結びついて、いらいらを発するというケースです。
いらいらを発する直前の言葉や態度が、本当の原因ではないのです。
「しっかり治してね。」という言葉に、不快感を覚えている訳ではないということです。
その言葉の何かが、こころの不快な記憶と反応し、感情が動き始めます。
もしあなたが、同じ立場で、これに気付いたら、それ自体は、母親の自分に対する気遣いの言葉なのに、どうして自分はいらだちを覚えるんだろう?
気付いていない、どんな事をこころは思い出し、結び付けているんだろう?
と考える事はできるでしょうか。
これはこころを知る一つのアクションですが、こうした事が自分のこころを知る一つの入口になります。

 交通事故に遭われた方々のお話に耳を傾け、ご様子を目にする時、こころがさまざまな感情を発する仕組みを知っていれば、また自分のこころにあるトリガーを理解していれば、望んていない不快な感情に振り回されないで済んでいたかもしれないな~と感じさせられます。

 こうした事が積み重なるのを交通事故が解決するまで、気付かず放置していると、毎日不快な感情がこころを占拠してしまいます。
悪くすると、うつ状態になったり、家族関係が悪化したり、体に様々な不調が表れたりしてしまいます。

こうした方々にお会いする時、こころのトリガーを消す為の新しい見方を話したりして、ヒントを置いてくるのですが、今頃、皆さん、どうされているかな~。
交通事故もこころの不快も解決されているといいけれど。

元気になっていることを願うばかりです。

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