【詩集】あした

1.今日と同じ明日
2.雨模様
3.心にあいた穴
4.こらえる
5.諦めるってこと
6.わからない
7.意味を探す
8.直感
9.一緒にご飯を
10.缶コーヒー1本分の時間
11.迎える夜明け
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1.今日と同じ明日
明日言おう
明日伝えよう
明日から始めよう

今日と同じ明日が来るって思っているのね

明日こそ言おう
明日こそ伝えよう
明日こそ始めよう

今日と同じ明日が来るって思っているのね
今日と同じ明日が来るって疑ってないのね

今日と同じ明日が来るかなんて誰にもわからないのに

今日と同じ明日が来るなんて奇跡なのに


2.雨模様
今日の空は雨模様
薄暗くて肌寒い一日のはじまり

長袖のニットを引っ張り出す
折り畳み傘をバッグに入れる
一歩外に出ると風も冷たい
早足で駅まで歩く

こんな天気のせいか電車がいつもより混んでいる
知らない人だらけの電車に揺られる
雨はまだ降らない

改札を出て重たい空の下を歩く
荷物がいつもより重い
目の前の信号が変わりそうで急ぐ

どうして今日はこんな天気なんだろう
降りそうで降らない雨も
いつもより重い荷物も
どうしてなんだろう

見上げた空に色は無い

わたしが今見ている空には色が無い
無い
何も無い

どうしてなんだろう


3.心にあいた穴
今日も一日終わったと
ため息をつく独りきりの部屋
缶ビール片手にいつもの深夜番組
疲れた身体（からだ）を投げ出すベッド
天井見上げれば
心にあいた穴が拡大していく
テレビの中では
夢を叶えたミュージシャン
疲れた顔で歌ってる

どこにも居場所なんてない
いつだってどこにいたって
「ここじゃない」って思いを抱えて
「今日」という舞台で「自分」を演じてる
出番を間違わぬよう
台詞を間違わぬよう
巧くやりきってみせる
「本当」は決して見せたりしない

心にあいた穴が拡大していく

巧くやりきった先に何があるんだろう
何を掴めるんだろう
見せないうちにわからなくなる「本当」

諦めて逃げてなんとなく行き着いたこの場所
諦めて耐えてなんとなく居続けるこの場所

見せないうちにわからなくなる「本当」
心にあいた穴が拡大していく


4.こらえる
ここで涙をこらえたら
いま流れるはずの涙は何処にいくんだろう

ここで涙をこらえたら
いまのこの気持ちは何処にいくんだろう

ここで涙をこらえたら
涙の理由は無かったことになるんだろうか

だったらこらえる
だったら、こらえるよ。


5.諦めるってこと
期待しても無駄だって
わかっていても
今度こそはって思っちゃう
そしてやっぱり裏切られる
悲しいのか悔しいのか腹立たしいのか情けないのか
わかんない気持ちでいっぱいになる

諦めるってことは
どうしてこんなにも難しいんだろう

これで最後これが最後って
思ったはずなのに
結局最後にならない
結局最後にできない
弱いのか臆病なのか決められないのか怖いのか
わかんない自分でいっぱいになる

諦めるってことは
どうしてこんなにも難しいんだろう
どうしてこんなにも難しいんだろう


6.わからない
もう無理かも
ここまで結構耐えてきたつもりだけど
まさかさらに荷物が増えるなんて
ほんと予期せぬことって起こるよね
想像のナナメ上をゆく現実
想像のナナメ上をゆくっていう言葉は良い意味で使いたいけどね

こんなとき思う
何のために誰のために
これ以上がんばるんだろう
やりたくもないことをがんばるんだろう
だからといってやりたいこともないんだけどさ
やりたくないことはやりたくないんだよ
それって我儘なのかな
やりたくないこともやるのが大人なのかな
どこまで耐えたらいいのかな
そのラインがわからないよ
わからないんだよ

わたしは何と何を天秤にかけて
何と戦っているんだろう
天秤にはふたつしかかけられないけど
かけたいものがいっぱいある
わからないんだよ

どうしてこんなにわからないんだろう
もうわからないことだらけだよ
わからないことが増えてゆく
どうしたらいいんだ
わからないんだよ
わからないことが深くなってゆく
どうしたらいいんだ
わからないんだよ


7.意味を探す
意味を探す
働く意味
此処にいる意味
生きる意味
あるのかもしれないし
ないのかもしれない

耐えるために意味を探す

繰り返される毎日
灰色の日常
冷たい真夜中
独り膝を抱えて思う
わたしはいつまでこうしているんだろう
行き場のない怖さと虚しさで
潰れてしまいそうになる

耐えるために意味を探す

今の自分を許せる意味
今の自分を認められる意味
今の自分を愛せる意味

あるのかもしれない
意味を探す


8.直感
なんか違う
その直感はきっと正しい

その「なんか」が
わからないんだけど

その直感はきっと正しい

正解はないし
間違いもない

いちばん難しいルール
だから
迷ったり悩んだりする
必要なのは
直感を答えにする覚悟

なんか違う
その直感はきっと正しい

その「なんか」が
わからないんだけど

その直感はきっと正しい


9.一緒にご飯を
空気が重たくなるのがつらい
だからそうならないように
バランスをとる
空気を読んで
人の想いを読んで
空気が重たくならないように
自分にウソをつく
平気なフリをしてウソをつく
少しずつ苦しくなるけど仕方ない
仕方ない
仕方ない？
でもね
そんなあなたを心配する人が居るよ
と言っても
そんな性格を変えることは難しいだろうから
苦しくなったらさ
一緒にご飯を食べよう
温かい部屋で一緒に美味しいご飯を食べよう


10.缶コーヒー1本分の時間
一度でいいから
夜のベンチに並んで座って
缶コーヒーを飲みながら
他愛もないおしゃべりをしてみたい

今日あった出来事
昨日みたテレビ
嫌いな食べ物
そんなことを
笑いながら話したい

最近嬉しかったこと
腹が立ったこと
嫌いな言葉
そんなことを
笑いながら話したい

缶コーヒー1本分
缶コーヒー1本分の時間だけ
あなたの時間をわたしに


11.迎える夜明け
何かがうまくいきそうな時
何だかソワソワしてワクワクしてる
何だろうな
きっとこの先いいことがある
きっとこの先嬉しいことがある

これまでいろんな思いをしたけれど
やっと、ついに、とうとう、
こんな気持ちになれる時が来た
いま漆黒の闇を越えてゆく
深い深い夜の終わり
夜が深いほど
迎える夜明けは美しい

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