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アートをめぐるあれこれ

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さすがに長く生きていると色々考えてきた。 文章にすることで少しずつ思考をまとめようとしたら、 書き散らしているだけだなこれは。
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2024年5月の記事一覧

顔考

顔考

昔、石膏デッサンの下手なやつは、どの像を描いても顔が本人に似る、という都市伝説があった。

これには多少のエビデンスがあって、誰でも人生で一番よく観察している顔は、たぶん自分自身の顔なので、無意識のうちにそれが出てくる、という理屈である。

毎朝鏡で見る顔こそが、ベーシックなものとして、意識に刻み込まれるのではないか、というわけだ。

確かにわたしの経験では、生徒に自画像を描かせるのと、二人組にし

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2024 5 13の3行日記 (小難しい)

2024 5 13の3行日記 (小難しい)

世界を観察して、それを自分というフィルターを通して再構成し、出力するのが芸術である。

フィルタリングの手順や方法に自覚的であればあるほど、それは技術に近いものとなり、他方、作家本人が把握しきれていないブラックボックスの思考回路がある場合、これを感性と呼ぶことがままある。

作家とは、己のフィルターとしての性能を信じられる人間のことだ。