【異動経験者が語る】あるコトの達人になったら、同僚から感謝された話
とにかく異動が多い。もはや異動することを前提に働いているとしか思えないほど、私は毎年のように異動している。最短で5ヶ月で新しい部署に異動した。大企業に勤める宿命だろうか?
パンドラの箱
◆異動する前提で働く
私物を会社に置くのは最小限の筆記用具だけにしている。資料はすべてパソコンの中。異動が出たら、いつでも引っ越せるように。
自分が業務を引き継ぐときは、次の方に引き継ぐことを前提としたマニュアルを作成している。
会社にとって、これほど"異動させやすい人"はいないだろうというくらいには異動に慣れている。
そして異動を経験するうちに私には”ある特技”があることに気づいた。嬉しいことではないけれど。
それは・・・
部署に必ず1つくらいはある”パンドラの箱”の処理である。
◆パンドラの箱とは?
この時点で、「パンドラの箱って何?」と思った方も多いと思う。
私も異動を重ねるうちにどこにでもあるのだと気づくようになったモノだ。
簡単に言うと”その部署で長年放置されていた処理に困る案件”のことである。特徴をまとめてみた。
どうでしょう。皆さんの職場にひとつくらいはあるのでは?
◆パンドラの箱を受け取る
異動通達が出て、私が新しい部署に引っ越すと「ちょうど良い人が来た」と言わんばかりにそのパンドラの箱を渡される。(苦笑)
渡されない場合でも私の嗅覚がいいのか何なのか、探し当ててしまうことさえある。そのときはさすがに「しまった。」と頭を抱える。
その箱は、案件としてはそれほど重いモノではないことが多い。だからこそ長年放置されていたのだ。そして大抵、相手方が絡んでいるモノだ。
なぜなら社員が自分一人でできる案件であるならば、業務として進めやすいのでパンドラの箱にはなりえないのだ。
◆パンドラの箱を開ける
さて、さっそくその箱を開けてみよう。
ここで少し深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
深呼吸を終えたら、「よしいくぞ」と意気込んで開けてみる。
以下の(カッコ)は私の心の声である。
(わあ、思っていた通り、処理が面倒くさそうだ。)
見てしまったからこそ、蓋を閉めるわけにはいかない。もう後戻りできないのだ。
まずは案件の中身を整理してみる。
(うーん。これって何?)と思うものがどんどん飛び出して来る。
◆パンドラの箱の処理
部署の同僚に相談してみた。もはや同僚もよくそのタスクの全体像が分かっていないようだ。
私に相談された同僚が口を揃えて言うのは、「Aさんが担当していたからね、ちょっと分からないね。」だ。しかしその時点でAさんは退職していることが多い。
仕方がないので案件に絡んでいる相手方に連絡してみる。
もういつから放置されていたか分からないような案件なので、相手方にはびっくりされる。当然のことだが。
もう謝罪から入るしかない。よくわからない案件のことで謝っている私も滑稽だが、放置していたことについてはこちら側が全面的に悪いので、仕方ない。私が異動してきたばかりかどうかは先方には関係ない話だ。
部内で分かる者がいないので、相手方にもヒアリングしながら進めてみる。この時点でなかなかの苦痛である。
しかも何といっても業務全体からしたら優先順位が低いのである。数字に結びつけにくい案件だからだ。
でもここまでくると、次に異動が発令されたときに、このままの状態で後任者に渡したくないくらいには、私の責任感が芽生えている。
私が次、いつ異動するのかは誰も分からないから、処理のリミットも決めづらい。
自分の他のタスクとの兼ね合いもあるが、できる範囲で早く対応するようにしている。そしてようやく終わりが見えた頃を見計らったかのように、「異動」が出る。
終わりに
(私はこの部署に何をしにきたのだろう?)と思うことも多いが、誰も対応したがらなかったパンドラの箱の処理をしている点で、去る時には感謝されることが多い。「あなたが来てくれなかったらこんなに早く処理ができていなかった。」と。
(それは良かったです。)と笑顔を浮かべている私がいる。そしてダメージを受けて疲弊した体を引きずり、次の部署に異動する。
さて次はどんなパンドラの箱が待っているだろうか。ある意味ドキドキである。
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