見出し画像

【1分で読了。即興小説】戦争と狐

【お題】


戦争と狐


【本文】



爆音とともに機体は大きく揺らぎ、きりもみしながら地面に叩きつけられた。

機体はバラバラになり、密林の中に落ちた。


しかし、幸い乗組員のひとりである私は生き残ることができた。
満身創痍ではあるが。


ここは激戦区のひとつで、似たようなバラバラになった機体が至るところに転がっている。
このゲリラ戦において、私たちはだいぶ苦戦している。


何とか司令部に連絡をするため、この場からの脱出と連絡手段の確保のため行動を開始することにした。


機関銃の音、爆音、飛び交う戦闘機やヘリの音が聞こえる。

一刻も早く密林から抜け出さなくては。


道中、狐に出会った。
正確に言うと狐のような動物だ。

その可愛いやつは、人懐っこく寄ってきて口に加えた何かを私に渡そうとしてきた。

遠くから見たら、それはおにぎりに見えた。



私は腹が空いていたので、狐からそれを取り上げ貪り食おうとしたのだが、
手に取ったときにはじめて気がついた。

これは手榴弾だ。

起爆の信管は抜けていないようだったので、安心した。装備のひとつとしてポケットにいれておいた。




しかし、腹がすいた。

私の意識はもうろうとなり、

わかってはいるけれど、
わかってはいるけれど、

手榴弾がどうしてもおにぎりに見えて、


私は我慢できずに、おにぎり(手榴弾)を食べた。

食べてる最中に信管が抜けて、



あとはご想像の通りだ。




バラバラになった私を、
狐がうまそうに食べていた。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?