【男鹿の魅力を語り尽くす】④真山神社とナマハゲたち
前回はアジサイの名所をご紹介させていただいたのですが、風景以外のリポートをするのは久しぶりでしたので、なかなか要領を得ませんでした。まあ、アジサイの風景であることには違いないんですけども。
たしか前回も反省の弁から始めたような気もします。同じようなスタートで申し訳ありません。心からお詫び申し上げます。
顔長い。そのヒゲの位置っておかしくないか? その前にあなたの出番はまだです。説明がまだなので、それまで大人しく控え室でお待ちください。
【男鹿真山神社とは】
社伝によると、その始まりは景行天皇の御代だとされています。あまり精通していませんので調べてみたのですが、これは4世紀前半にあたるようです。いわゆる古墳時代かな?
その当時、武内宿禰(たけのうちのすくね)という伝説的な忠臣がいて、北陸地方を視察したあとここに立ち寄り、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)・武甕槌命(たけみかづちのみこと)を祀ったことが始まりだ、と言い伝えられています。
しかし私にはこの社伝……先述の通りあまり日本史には精通していないのですが、疑問が残りました。当時の東北地方には、まだ政権が及んでいないはずでは……? しかし確かに「武内宿禰の東北視察」は古事記や日本書紀などに記録されているようです。それによると彼は、景行天皇のもとに戻ったあと、次のように報告しています。
つまり武内宿禰はこのあたりを単純に「視察」したというよりは、「スパイ」していたのではないかと思われます。いわゆる「敵情視察」ですね。
なお蝦夷(えみし)については色々な解釈がありますが、僕は彼らのことを「縄文人」の生き残り、だと思っています(勝手な想像です)。
髪型は頭上にまとめていたのですね……。体には刺青があって、見た目が怖い、つまり野蛮だと。でも土地は豊饒なので、「撃ち取るべし」。
……なんか切ないです。
あなたは蝦夷じゃなくてナマハゲです。まだ説明の途中なので引っ込んでいなさい。おとなしく控え室でお待ちくださるよう、お願いします。
武内宿禰がこのような化外の民が住む地を訪れて、わざわざ瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)や武甕槌命(たけみかづちのみこと)を祀ったという行為には、この地の住民を教化する目的があったのかもしれません。ただ社伝によると、「武運長久」・「国土安泰」を祈願するために、とありますから、やはりその目的は、もともとこの地に住んでいた人たちをやっつけるためだった、と言うことができるでしょう。
その後の歴史を見ると、確かにそれは達成されるわけです。
う〜ん、この地に住む人間としては、やっぱり切ない。
僕自身はどっちの子孫なんでしょう。
いやです。そんなの(笑)。とにかく、あなたがたの出番はまだなのです。とりあえず控え室で……きんぴらごぼうでも食べていなさい。
その後、平安時代になるとこの地にも仏教が伝来し、平泉中尊寺や恐山、さらには浅草寺などを開いた慈覚大師によって、ここも仏教寺院となりました。神仏習合の形がとられたわけですが、明治時代の分離令によって、現在のような神社の形に収まっています。
あなたのHPはせいぜい30ptくらいです。それにしてもなにその顔。個性強すぎじゃないですか。とにかく出番がくるまで控え室でテレビでも見てたらどうですか? 岩合さんの世界ネコ歩きがお勧めです。
何度か申し上げているように、秋田県は全体的に文化的見どころが少ないので、自然景観に観光は頼りがちなのですが、男鹿は全体的にバランスがとれていると思います。海を見たあと、前回ではアジサイ寺も見ましたね。今回はナマハゲ由来の神社を見て……予定ではありますが、最後には山を登ります。もっと時間があれば、宿泊は温泉で……というコースをとることも可能なのです。
ただし男鹿の温泉には地縛霊で有名な廃ホテルがありますので、その種のものが見える方は注意してください。
地元の人たちはこちらのことを「男鹿ップリ」と呼びます。別の意味での観光名所です。
話題が逸れてしまいました。
真山神社に話を戻しますと、毎年2月中旬にここを会場として「なまはげ柴灯祭」が行われます。「柴灯祭」は「せどまつり」と読みます。本来神社が主催して行う神事は1月3日の「柴灯祭(こちらは『さいとうさい』と読みます)」なのですが、これに民俗行事としてのなまはげを組み合わせた「地域のイベント」、という立ち位置のお祭りです。
いまや東北を代表する冬祭りとして有名ですので、冬に時間のある方は、ぜひ一度……見る価値は充分あると思います。
6月は大祓の月として、上の写真のような茅の輪が設置されます。これをくぐってお参りすれば、心身の穢れ(けがれ)、災厄の原因となる諸々の罪、過ちを祓い清めることができるそうです。
穢れ・罪・過ち……そんな風に説明されると不安になりますね。自分は何も罪らしき罪を犯していないつもりですが、それは法律に照らした場合に限られますので、例えば道を歩いていて蟻を踏み潰したとか、そんな罪はいくらでもあると思われます。存在自体が罪だとか……。
以前、あなたに似た人を見たことがあるような気がします。僕の気のせいですか? 小学校時代の同級生にいたような気がしますけど。
とにかくもう少しだけ待ってください。まだ、お呼びじゃありません。それと、出番の前にヒゲ剃ってください。特にあなたは口の中からヒゲが生えてます。
「真山神社」の「真山」とは本当に山の名前であって、標高567mの低山です。隣には標高715mの「本山」があって、このふたつの山はともに山岳信仰の対象となっています。が、どちらも1000m以下の低山ですので、トレッキングコースとしてちょうどよいと評判です。
【NAMAHAGE ALL STARS】
さて……出番が来るまでだいぶ控え室でお待たせしたことですので、ここでナマハゲくんたちにインタビューを試みたいと思います。
「おいら、ナマハゲの出来損ないさぁ。わかるかい? 後ろの赤いやつがイケメンよぉ。こんなおいらでも……」
「もうわかりましたので、次の方お願いします」
「大丈夫だよ。がお〜♪」
「君、意外とかわいいね♥」
「俺がこの包丁で切ったのは……」
「秋田名物、ハタハタだね!」
「……な、なぜそれを……」
「僕は色々自分を怖く見せようと思っているうちに、方向性を間違えてしまいました。もはや何が何だか分かりません」
「キン肉マンにでも出た方がいいですよ。悪魔超人っぽい」
「そうですか? がお〜♥」
「がお〜♪」
「とんでもねえぜ! この赤い髪は返り血だぜ!」
「そのレインボー包丁のことを言っているのですが」
「わかっちゃった? がおん♪」
「……今日、一緒に帰ろうか」
「……ほっとするな!」
「量産型です」
「僕17歳。」
「意外と若いんだね」
「あいつはズルい。ズルすぎる」
「予算がなくて……」
「予算がなくて……」
「イエィ♪」
「ははは……」
「だめ? もうインパクトない?」
「意外とそういうことも気にするんだね?」
「え…………」
「きゃっほう!」
「きゃっほう!」
「君たち、素晴らしいよ!」
【なまはげ館・男鹿真山伝承館】
「なまはげ」は真山がその文化の中心地ではありますが、半島全体あるいは周辺の町村にもその文化は存在します。上記のナマハゲたちはみな顔が違いましたが、出現する地方によって顔が違うのですね。場所によっては「アマハゲ」だとか「ヤマハゲ」などの呼び名もあるそうです。
なお、なまはげの語源としては「なもみはぎ」という言葉がそうであるらしいです。「なもみ」とは囲炉裏や暖炉などの火に長くあたっていると肌が赤くなる現象を指すそうで、それを「はぐ」……要は「剥ぐ」。つまり、いつまでも暖まっているな、さっさと働け、という戒めの意味が込められている、とのことです。
でもナマハゲが実際に戒める対象は年端もいかない子供なので、この説は信用できません。きっと、作り話だと思います(笑)。
【今回訪れたところ】
①タイトル画像:「潮瀬崎(合成)」
②「男鹿真山神社」
③「なまはげ館」
④「男鹿真山伝承館」
今回は長々とナマハゲたちへ無益な、しかも中身のないインタビューを試みてしまったため、ずいぶん記事自体が長くなってしまいました。いちおう旅行記を作成しているつもりではあるのですが、特に今回は私の「なまはげ愛」を語ったに過ぎない記事になってしまった感があります。ついてこれなかった人には、いまのうち謝っておきます。ごめんなさい。
最後に男鹿周遊記のリンクを貼っておきます。
過去の記事も、ぜひお楽しみ頂ければと思います。
それでは、今回もここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。
次回は「寒風山」頂上からの風景と、全体のダイジェストをお送りしたいと思います。
次回もお楽しみに!
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