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認知症と診断された利用者さんとの関わりと私の頭の中

認知症と診断された利用者さん。時には、精神的に興奮してしまう場面もあります。
作業療法士として関わらせて頂く中で、どのように私が考えて接しているかを書いていきます。
ときには、大声や攻撃的な行動をとる利用者さんと関わることもあります。私は、行動の理解、信頼関係の構築、落ち着いた環境の構築、一貫した日常生活の確立、気晴らしの手段、適応的活動、検証療法、行動管理戦略、チームの協力、多職種との相談という10のステップを意識して関わるようにしています。
それぞのステップでは、利用者さんの歩んできた背景や好みの理解、安心感の提供と情報を処理する時間の提供、音楽やゲームによる注意の集中、活動の調整、感情の肯定、攻撃的行動抑制のテクニック、ケアチームとの協力が必要と考えています。忍耐力、柔軟性、共感性が求められ、時間はかかるかもしれませんが、利用者さんのQOLの向上に向けて関わって参ります。

認知症で大声や攻撃的な行動をとる方への関わりは、接する人にとって難しいことだと思います。しかし、利用者さんにとって安全で快適な環境を作り、効果的な介入を促すために、様々な方法を取ることができます。いくつかの方法を紹介させていただきます。

1.利用者さんの行動を理解する:まず、利用者さんの背景、好み、攻撃的な行動のきっかけとなりうるものを知ることから始めます。利用者さんの家族、介護者、医療チームとコミュニケーションをとり、関連情報を収集します。そうすることで、利用者さんのニーズや好みに合わせて、アプローチを調整することができます。出身地やよく見るテレビ番組は情報収集がしやすい項目です。青春時代に流行した出来事や人気が出ていた俳優さんは、年代から推測することができます。同年代の他の利用者さんから当時の話をメモにまとめ、同世代の共通の話題として用いることもあります。

2.信頼を築く:利用者さんとの信頼関係性を築くことが重要です。穏やかで安心感のある口調で話し、明確でシンプルな言葉を使う。アイコンタクトを保ち、威嚇的でないボディランゲージを使用する。利用者さんが情報を処理し、反応するための時間を確保します。「ありがとうございます」フレーズを用い、自尊心を保つ関わりを意識しています。

3.落ち着いた環境を作る:利用者さんの環境が静かで、過度の騒音や散乱物など、気が散るものがないことを確認します。そうすることで、興奮を最小限に抑え、利用者さんの集中力を高めることができます。利用者様の家に訪問するときは、訪問者の目線が高い位置で会話をしがちなので、しゃがんだりして目線を落として会話をします。

4.日課を確立する:食事時間、活動、休息時間など、利用者さんにとって一貫した日常生活を送るためのルーチンを確立を目指します。一貫性を持たせることで、不安を軽減し、親しみを感じてもらうことができます。

5.気晴らしのテクニックを使う:利用者さんが興奮状態になった場合は、より前向きで魅力的な活動に注意を向けさせる。音楽、触感のあるもの、簡単なゲームなどを使って、意識を集中させるように意識します。

6.活動を変更する:利用者さんの現在の認知能力や身体能力に合わせて、成功感や達成感を高めるような活動に焦点を当てます。作業をより小さなステップに分け、必要に応じてサポートを提供する。

7.バリデーション(検証)療法を使う:たとえ現実が自分と違っていても、利用者さんの気持ちや感情を肯定する。判断することなく、経験や感情を認め、支援や安心感を与えます。

8.行動管理戦略を実施する:穏やかに話す、安全な距離を保つ、利用者さんに選択肢を提供するなど、攻撃的な行動を緩和します。また、言葉や視覚的な合図を使って、利用者さんがより理解しやすいように心掛けます。

9.ケアチームと協力する:利用者さんの家族、介護者、その他の医療従事者と緊密に連携し、包括的なケアプランを策定する。利用者さんの経過、課題、病状の変化について定期的に情報共有を行います。

10.多職種と相談する:認知症専門医や療法士と相談します。ケアチームが利用者さんのニーズに効果的に対処するために、新しい情報の共有を図ります。

認知症と診断された利用者さんと接する際には、忍耐力、柔軟性、共感力が重要であると考えています。攻撃的な行動を管理するための最も効果的な戦略を見つけるには時間がかかるかもしれませんが、粘り強く協力することで、患者さんの生活の質を向上させることができると考えています。

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