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数理:n個の施策・仕掛けの累積効果予測式

この記事が提供するもの

前提としての課題意識

たとえば、商談(SQL)における契約獲得顧客(New UU)への転換効率(CVR)を向上させるために、

  • 施策1:それまでのCVRを1.2倍に押し上げる

  • 施策2:CVRを+10 ptする

  • 施策3:失注顧客の30%を契約顧客に転換可能

…のように施策案を考え、効果を積み上げていった時に「100%越えのCVR」 のような困った計算結果になってしまうことはないでしょうか。
あるいは、そこまで行かなくても、これらの効果全てをナイーブに適用したCVRで予算を組んで良いものかどうか、悩むことはないでしょうか。

一般に、ある母集団の何%かを(通常はより望ましい)別の状態へ転換させるようなファネルにおいて、$${a_0 … a_n}$$の施策 / 仕掛けをすべて適用した際の予測される転換効率は、どのように求めれば良いのでしょうか。

この答えの提供が、本記事の課題意識です。

課題意識・疑問に対して本記事が提供するもの

施策や仕掛け$${a_0 … a_n}$$のそれぞれの転換効率を$${r_0 … r_n}$$とした時、累積効果$${E}$$は、

$$
E = 1 - (1 - r_0)(1-r_1)…(1-r_n)=1 - \prod_{i=0}^n(1 - r_i)
$$

…で求められるという数式を提供します。

なお施策 / 仕掛け$${a_n}$$の転換効率$${r_n}$$は$${a_n}$$適用前の転換効率を$${r_b}$$とした時、

  • $${a_n}$$の単体適用で全体の転換効率を$${m \cdot r_b}$$にできるなら$${r_n = 1 + \frac{m \cdot r_b - 1}{1 - r_b}}$$

  • $${a_n}$$の単体適用で全体の転換効率を$${r_b + p}$$にできるなら $${r_n = \frac{p}{1 - r_b}}$$

…で求められます。

補足としての考え方

上図をもとにした時に、

  • $${a_1}$$の施策が効果を持ちうるのは$${1 - r_0}$$の領域のみ

  • $${a_2}$$の施策が効果を持ちるるのは$${(1 - r_0)(1 - r_1)}$$の領域のみ

…というように考えていきます。
ここで$${1 - r_n}$$は$${a_n}$$が効果を持ち得る中での転換失敗した領域の広さを示すため、

$$
(1 - r_0)(1-r_1)…(1-r_n) = \prod_{i=0}^n(1 - r_i)
$$

…は、$${a_0 … a_n}$$を全て適用してもなお転換失敗した領域の広さを示すことになります。
また、掛け算なので交換法則が成立し、施策や仕掛けの計算順序は無関係となります。

後はこれを全体$${1}$$から引けばOKです。

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