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仕事を通じて考えたことをまとめるnoteです。 「考え方」を考える…的な、抽象度高めな…

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仕事を通じて考えたことをまとめるnoteです。 「考え方」を考える…的な、抽象度高めな記事多め。

最近の記事

随筆:理屈はウザいが役に立つ。だがウザい。

この記事は、 論理的:好意的表現 理屈っぽい:嫌悪的表現 …ということで、2つは同じ意味という前提で書かれています。 理屈はウザい「論理的である」とは「情報変換の形式・手順が正しい」こと 論理的な結論は、その論理性が厳密であればあるほど、 誰もが同意できる事柄(公理)から出発していて 正しい形式・手順に沿った情報変換のみを経て 導かれた結論 …という性格を持ちます。 「論理的に真」であることは「現実的に有意義」ことを意味しない $${A \Rightar

    • 道具:TRIZ40発明原理用スプシツール

      この記事の提供するものTRIZ40発明原理とは TRIZという思考支援ツールがあります。 筆者も最近知ったばかりですが、どうも1946年から続く、比較的歴史の長い思考支援ツールだそうです。 その根本発想は、 克服すべき問題の原因を「あちらを立てればこちらが立たず」的なトレードオフの存在に求めて そのトレードオフを解決する際の視点・考え方・切り口を 数十万件〜数百万件のオーダーに及ぶ実際の特許文献調査から抽出して 40個の発明原理としてまとめた …というものです。

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      • 仮説:確率加重関数の解釈と応用

        この記事が提供するもの累積プロスペクト理論は、規範的ではなく記述的なモデルの提供を目指した理論であるため、数式の構成に厳密な意味での必然性はありません。 それにも関わらず、累積プロスペクト理論は近年行われた大規模追試で強い再現性を(しかも国や言語の壁をかなりの程度乗り越えて)示しており、信頼がおけるモデルだと言えます。 参考:Replicating patterns of prospect theory for decision under risk そうなると、モデルを

        • 歴史:期待値からプロスペクトへの展開

          この記事の提供するもの確率加重関数の理論的展開(2013, 中村)にて示されている客観的な期待値からプロスペクト理論への発展過程を、シンプルな1枚図で提供します。 行動経済学や意思決定論について初学者の人が、自身の学習内容への納得性を高めるために副読本的位置づけとして読んでくれることを期待しており、そのため数式の詳細な解説等には踏み入りません。 上述の元ネタ論文に正確・簡明な形で示されているので、そちらを参照してください。 そもそもプロスペクトとは 「ある人にとっての、

        随筆:理屈はウザいが役に立つ。だがウザい。

          方法:戦略を組む

          この記事の提供するもの前提としての課題意識 筆者は業務で自ら手を動かして戦略を策定したり、または戦略策定に関する相談を受けることがしばしばあります。 その中で、戦略策定業務に不慣れな人から、 「何からどう考えていけば良いのか…」 という悩みを何度か聞いたことがあります。 もちろん、具体的な検討事項や順序は、対象領域や時と場合、携わる人などによって様々だとは思いますが、基本的(と筆者が思う)手順を抽象的文書に起こしておくことで、戦略策定業務初心者の方に全体感を提供できるので

          方法:戦略を組む

          メモ:Willの中身

          リクルート発祥(らしい)Will-Can-Mustというフレームワークがあります。 会社の後輩と話していて思ったのですが、この「Will = やりたいこと」は、 A:Whatへのこだわり - 自分の思い描く理想を実現したい B:Howへのこだわり - 自分の思うようにやりたい …という2つの評価項目を内包しているのではないかと。 この2つの評価項目における、 絶対的なウェイトの大きさ or 小ささ 評価項目感の相対的なウェイト比 …は人によって異なり、そこに状況

          メモ:Willの中身

          方法:検証ポイントを適切に絞る

          「検証ポイントを適切に絞りたい」動機何かの意思決定をする際に、事前検証を行いたい場合がよくあります。 そこで不確実性を伴う事柄を洗い出してみたところ、その全てを調査・検証している余裕などとてもない…という場合も珍しくなくあります。 そうでなくとも時間という貴重なリソースを節約するために、必要最低限の調査・検証に留めたいという場合もしばしばです。 だからといって、必要な検証を欠くことで不要なリスクが発生するのは避けたいのが人情です。 では、どういう整理を行えば数多くの検証点を

          方法:検証ポイントを適切に絞る

          数理:成功確率改善の効用逓減

          この記事の提供するもの前提としての課題意識 改善前の成功率の高さによって改善後の効用がどう逓減するのか 必要なレバレッジ係数を確保できる改善前の成功率はどれくらいか この2つの疑問に答えることが本記事の課題です。 課題意識・疑問に対して本記事が提供するもの 疑問に解を出すための式と、その手触りを得るためのグラフです。 成功確率改善の効用逓減失敗確率を縮小した時の成功率の変化倍率m いま、改善前の元々の成功率$${p}$$ ($${0 < p < 1}$$とします

          数理:成功確率改善の効用逓減

          方法:優先順位を付ける

          この記事の提供するもの前提としての課題意識 $${A}$$:やるべき or やりたいことに必要なリソース量 $${B}$$:実際に使えるリソース量 という2つの量について考える時、多くの場合で$${A > B}$$となります。 ここに「何からやるか」という優先順位をつける動機が発生します。 この優先順位づけを適切に行なうには、どのような考え方が有効なのか…が、本記事の課題意識です。 課題意識・疑問に対して本記事が提供するもの 以前に書いた、 仮説:戦略と戦術の違

          方法:優先順位を付ける

          数理:不可逆な意思決定のペイ条件

          この記事が提供するもの"不可逆な意思決定"がペイする条件への数理的な分析です。 不可逆な意思決定のペイ条件今、不可逆な意思決定について回避するケースと実施するケースでの期待値計算のために記号を下表のように定義するとします。 $$ \begin{array}{l:c:c} 項目 & 回避するケース & 実施するケース \\ \hline アクション可能回数 & n & n \cdot q \\ アクション成功確率 & p & p \cdot r \\ 成功時の平均

          数理:不可逆な意思決定のペイ条件

          数理:リスクテイクがペイする条件

          この記事の提供するもの前提としての課題意識 ある法則(例えばビジネスルール)の下である明示的な目標(例えば売上ゴール)の達成を目指す行為を「ゲーム」として捉えた時に、そのクリア条件は、 「ゲームオーバーになる前に目標を達成すること」 …だと言えます。これは当然と言えば当然のことです。 一方でまた、「ノーリスク・ノーリターン」という言葉もあります。 これも当然のこととして世に広く受け入れられている言葉です。 しかしリスクテイクは、ゲームオーバーに近づく可能性を向上させます。

          数理:リスクテイクがペイする条件

          小技:REGEXP関数でのグループ参照

          前提としての課題意識Google Spreadsheetを使っていて、例えば「静岡県浜松市西区」という住所を「静岡県浜松市」に整形したい場合が、まれによくあります。 このような場合、$${(.*市)(.*区)}$$でマッチングすれば良さげですが、関数REGEXPREPLACEのヘルプには、そのような場合にどう指定すれば良いかが書かれていません。 ためしに$${"\1"}$$と指定してみましたが、うまく動きませんでした。 このような場合にどうすれば良いか…が本記事の課題です

          小技:REGEXP関数でのグループ参照

          仮説:戦略と戦術の違い

          この記事の提供するもの表題件に関する筆者なりの見解です。 戦略と戦術の違い筆者は、戦略と戦術をそれぞれ下図のようなものと捉えています。 戦術は、(何らかのメカニズムにより生み出された)眼前の状況を所与の前提とした上での行動選択を問題とします。 したがって言及範囲も、眼前の状況と、眼前状況への介入に伴う直接的結果に限定されます。 一方で戦略は、状況に先行する背景メカニズムに着目し、いかに有利な状況を生み出すメカニズムを実現するかを重視します。 したがって言及範囲は、背景メ

          仮説:戦略と戦術の違い

          数理:n個の施策・仕掛けの累積効果予測式

          この記事が提供するもの前提としての課題意識 たとえば、商談(SQL)における契約獲得顧客(New UU)への転換効率(CVR)を向上させるために、 施策1:それまでのCVRを1.2倍に押し上げる 施策2:CVRを+10 ptする 施策3:失注顧客の30%を契約顧客に転換可能 …のように施策案を考え、効果を積み上げていった時に「100%越えのCVR」 のような困った計算結果になってしまうことはないでしょうか。 あるいは、そこまで行かなくても、これらの効果全てをナイーブ

          数理:n個の施策・仕掛けの累積効果予測式

          方法:センスを良くする

          この記事が提供するもの前提としての課題意識 「いいセンスだ」 …と言われたいのは、人類共通の普遍的欲求です。 しかし、そう言われるまでの道のりは自明ではありません。 そこで、「いいセンスだ」という評価に至る再現性の高い道筋・方法を確立したいという欲求が自然と生まれてきます。 つまり「センス」なるものをハックしたくなるわけです。 ハックするには、まず対象の構造や現象の機序についてよく理解する必要がありますが、それについては「仮説:センスとは」で筆者なりの仮説を、 …という

          方法:センスを良くする

          方法:本質的な理解へと近づく

          この記事が提供するもの前提としての課題意識 筆者はこれまで、 数理:コンパクトで抽象的な知識の有効性 仮説:理解 = 顕在破綻のない仮の説明 仮説:「妥当な推論」の構造 方法:情報の信頼度を評価する 方法:概念を適切なモデルで可視化する 方法:分解能を高める …という記事を、個別に書いてきました。 ひとつひとつの記事でも有用となるように留意し、かつ、有用であることを信じて上記の記事を書いてきました。 しかし、 「で、本質的な理解を得るためにはどうすれば良いんだ

          方法:本質的な理解へと近づく