アトピーの新薬について
■デュピルマブが投与可能に
アトピーに朗報なのかどうかはわからないが、今までの治療で効果不十分だった患者に投与可能な注射のアトピー治療薬が投与可能となった。
薬には添付文書といって、専門家向けの薬の説明書が存在するが、デュピルマブの添付文書には以下の記載がある。
<アトピー性皮膚炎>
5.1 ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること。
5.2 原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用すること。
5.3 本剤投与時も保湿外用剤を継続使用すること。
とある。あくまでもステロイドやタクロリムスを含有する軟膏で治療し、上手くいかなかった人は使えるよってことである。
だから、
「ステロイドは嫌です!だから、新薬を!」
という患者の希望にはおそらく添えないだろう。
ちなみに使用レビューみたいなのも読んだが、
改善が見込めるだけで、完治とまでは至らない感じ
だ。
そして、投与頻度だが、
<アトピー性皮膚炎>
通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。
と書いてあるので最初は2本、2週間隔で1本を投与するのだ。
■薬に頼りきりは良くない
薬剤師らしからぬと思われそうだが、僕なら本当にあの手この手を尽くして最終的にどうしようもないと判断したら使うべきだと思う。というのも、個人的にはアトピーの悪化パターンが掴めてきたから、悪化したらそれを実践してやれば沈められるからだ。
しかも、デュピルマブを使うと年間で60万円ほどの自己負担額が発生するといわれている。バカにならない治療費で完治も見込めないのだ。
もちろん、僕が紹介するノウハウも
完治は見込めない
という点では一緒だ。デュピルマブは奇跡的に完治するかもしれないが、あまりにも可能性も低そうだし、割りに合わなさそうだ。
しかも、副作用という点からみても僕が紹介するノウハウの方がはるかに安全だと思う。
デュピルマブは免疫に関連する部位を抑える薬だが、長期的に見てこういう部分に働きかける薬にあまり良い印象を個人的に抱かない。だから、僕は手段が尽きたらやるべき治療だと思う。
■普通じゃないことを受け入れる
医療者として
病気というのは体の標準からズレた状態
だと僕は考えている。治療薬っていうのはそれを標準に戻すものだ。そして、生活習慣の改善とかも同じく標準に戻すものだと思っている。
僕が今までに関わった皮膚科のアトピー治療って、
生活習慣の是正に関しては積極的に介入せず、ひたすら薬で改善させようとする
治療が全てだった。
はっきり言おう。
まずは、生活習慣から変えなければならない。
はっきりとアレルギーの対象が分かる人には彼らはそれを避けるように指導する。
「あなたはエビアレルギーですから、エビは金輪際食べてはいけません。」
とはっきり言うにも関わらず、アトピーに関してはあまり日常にあり得る原因に目を向けず薬を処方するばかりだ。
アトピーってのは、標準すなわち普通からズレた状態だ。生活習慣を見直さないというのは、普通からズレた状態をさらにズラすことにつながる。
薬は、標準側へ縄を引くが、生活習慣が逆方向に縄を引いていては現状は変わらない。今回の治療薬デュピルマブも標準側へ縄を引くに過ぎず、まずは他の手を使い標準側へ寄せる努力が大事になる。
以上をまとめると
◎デュピルマブは高いし、完治は見込めない
◎結局、普通の方向に向かわせるという意味で考えてると、デュピルマブは今までのステロイドとかと同じ
◎アトピーは普通からズレた状態と認識し、生活習慣改善などでまずは普通の方向に持っていくことが大事
だ。
あまり、こういうことは言いたくないが、皮膚科は製薬メーカーとの利権が絡んでいる可能性大なので、それを踏まえて治療を決めましょう。治療を決めるのはあくまでもあなたですから。