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私は安心して眠りたい。

夜、目を瞑ると途端に眠れなくなる。

ここ最近は特に酷く、眠気のピークに夢うつつの状態で1時間、2時間過ごして目が覚める。
そして寝たい気持ちと65%くらいの眠気が延々と続く。
あぁ、今日も眠れなかったと思いながらアルバイトに行き、耐えられず休憩中に15分程寝る。
実はレジで立ち寝もする。
帰宅し晩御飯を食べると、満腹感と疲労から1、2時間程寝る。
そして深夜と早朝の狭間のような、夜の禍々しさが充満している訳の分からない時間に起きて、65%眠気に延々と付き合わされる。

そうして休日を迎えると、肉体的な限界が来るのだろう、日は高いというのに突然意識が途切れる。
目が覚めると薄暗くなっている。

そんな生活が続いている。

常々0時ごろには寝て6時前後に起きる生活を理想としている故に、理想と現状の乖離に心が圧迫されるのを感じる。
すると不思議と体もグッタリするもので、起き上がることもできないほど鉛のように重い。
まるで自分の皮膚の細胞がシーツや布団、枕と絡まり合ってしまっているのではないかとさえ思う。
もしくは私の肉体が溶け出して、寝具に染み出してしまっているのではないかと。
こんな生活なのだから、きっと私の脳はもうヘドロのように醜い液体になっているのではないかと思う。

「脳が溶ける」という感覚、この発端は小学生のころに読んだ『銃とチョコレート』である。
大体のことは忘れてしまったが、何故か忘れられない台詞があった、それが、「お前の脳みそはヨーグルトか。」この一言である。
誰が何故こんなことを言ったのか、それすら覚えていない。

ーーーー。
なぜ眠れないのか、理由はたった2文字、「不安」だ。

目を閉じると、日中はただ体育座りをしてこちらを眺めていただけの不安という奴が立ち上がり、近づいてくるのだ。
陰湿で、お喋りで、本当に厄介者だ。
「最近どう?ちゃんと生活してる?」
あぁ、来てしまった。口を開かせたらもう止まらない。

「昨日も結局ろくに動かなかったけれど、やらなければいけないことどうする?」
「このままじゃ手遅れになるんじゃない?」
「今後のこととかどう?進路とかどう考えてるの?」
「就職して、働き始めたら日々に何を生産するの?」
「結婚とかどう考えてる?子供欲しいって前言ってたよね。」
「働くとか、結婚するとか、その先の人生の目的とかってどう思う?」
「生まれて死ぬまでの何十年っていう月日、どういう意味にしたいと思う?」

「生きてるって、どう?」

煩い。
放っておいてくれ。

「でも、私は私だし、あなたはあなたで、私はあなただし、あなたは私でもあるんだよ。」

頭が真っ白に、そして真っ黒になる。
いつか絶対にお前を殺す、と、怒りに震える。
同時に早足で過ぎていく時間や世界が、恨めしくなり、でも彼らの中でしか存在できない現実に失望する。
徐々に周りが暗くなり、遂には上も下も、右も左もわからなくなってきたころに、カーテンの隙間から漏れる朝日が目に入る。
あぁ、朝だ、今日が始まった。
24時間毎に今日というチャンスが与えられ、まるで同じ24時間を永遠にループしているかのように、毎朝今日こそ、と思い、願う。

光を避けるように暗闇と共に去ってゆく奴は、必ず去り際にこう吐いていく。

「今日も期待を裏切らないと良いですね。」

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