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短歌エッセイ𓍯トツキトオカ

(別アカウントで投稿していた記事を編集して再投稿しています)

いつも通り妊婦検診にいき、諸々の検査結果を見ながらエコーを撮ってもらっていると、何やら先生方がバタバタと相談し始めた。予感はしていた。元々持病があって合併症妊娠な上に、多少の自覚症状もあった。

翌日から入院して様子を見ることになった。「落ち着いたら退院の人もいるし、お産まで入院の人もいる」という話をしていた。診察室の中でポロポロ泣いた。

「大事に至る前にしっかり診てもらえてよかった」「必ずお産まで入院とも限らない。また元気になったら戻って来られる」そう前向きに捉えることにして、夫と一緒に入院準備をした。


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入院手続きを済ませると、面談室に案内された。先生から母体と胎児の状態や治療方針、いろいろな可能性やリスクなど、なぜ入院が必要なのか丁寧な説明があった。

「落ち着いたら退院」なんてないんだなと、そこで悟った。妊娠出産は思っていた以上に命懸けで、今の私の状態は思っていた以上に命にかかわる状態なんだと自覚する。

もちろん、知識として妊娠出産にまつわるいろいろな可能性も合併症妊娠のリスクも知っていた。でもなぜか、自分は大丈夫だと思っていた。

先生が「私たちも怖いんです」と話していた。「今日も大丈夫だった。毎日ママと赤ちゃんが無事に生き延びられてよかったなと思うんです」と素直な気持ちを語ってくれた。

毎週「妊娠〇週」と数週を更新する度に「〇週」を迎えたと喜んでいたけれど、1日を生き延びることも奇跡的なこと。「〇週〇日」を毎日更新できることがどんなに幸せなことか。

「まだ早いと感じるかもしれないけれど、赤ちゃんはもう自分で泣けるんだよ。ママも赤ちゃんもここまで本当によくがんばったんだよ」そう言われ、またポロポロ泣いた。


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元々「30週以降は入院の可能性がある」と言われていて、いずれ入院するだろうとわかってはいた。でもそれが“今日”だとは思わなかった。まだ予定日まで2ヶ月以上もあるのに。

個人差があるからみんなそれぞれいろいろあったのかもしれないけれど、順調に進んで出産していく友人たちを見て、私も普通に妊娠して普通に出産できると思っていた。

妊娠出産に“普通”なんてない。母と子が、無事に今日を、明日を迎えることがこんなに奇跡的なことだったなんて。1日の重みを強く感じる。


おめでとう指折り数えいつくしむトツキトオカの今日の日の重み


今日も“今日”を迎えられてよかったなと思う。


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