見出し画像

過度な期待よりも「ゼロベース」で捉える

最近ずっとマネジメントについて書かせてもらっています。
僕は福祉業に携わっているので、常に「人」と向き合うことがほとんど。それが利用者さんだったりスタッフだったり、コミュニティの仲間だったり。
右を向いても左を向いても人、人、人。
 
 
時には支援者だったり、時にはマネジャーだったりしながら人と関わっています。
当たり前ですが、自分とは違う価値観や考え方、行動様式や生活を持っている「人」と関わってるものですから思うようになんてなかなかいきません。
 
 
それでも支援者としてはその方の人生を前に進めていくためにあれやこれやと手を打っていかないといけませんし、マネジャーとしてはスタッフを取りまとめながら事業を前に進めなきゃいけません。
 
 
今までもいろんな組織やチームでマネジメントをしてきて、そんな中で自分としては結構大事なマインドセットだなぁ、と思っていることを今日は書きたいと思います。
 
 
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
期待ってある意味「利己的」だな
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
これはちょっとマネジャーとしては「拗れた」発想なのかもしれません。
 
 
事業を進めていくにあたって、当然僕らは計画を立てます。
収支のことだけでなく、自分の管轄内の事業についてはコンセプトを考え、ビジョンを打ち立てたりその方針に従って行動指針や具体的なアクションプランまで考えます。
 
 
そしてそれを基にミーティングや面談などを通じて伝えながら事業活動を進めていくわけです。
 
 
当然その中で一人一人のスタッフに求めるものもありますし、込める期待もあります。
時期によっては自分の仕事よりもスタッフの事を考えている時間の方が長い時さえあるくらい、正直「こうなってほしいな」と思ったり「こっちへ向けて動く方がこの方は成長する」とか考えちゃったりしています。
 
 
 
ですが最初に言ったように相手は自分とは全く違う価値観や考え方を持っている人です。そんな簡単に僕の思うように動いてもらえるばかりじゃありません。
 
 
僕はできるだけ自分が相手に対して考えることはオープンにしておいた方がフェアだよな、と思う方なので(わざわざネガティブなことを投げつけたりはしませんが)自分が考えている相手への期待値みたいなものはできるだけ丁寧に説明しながら伝えるようにしています。
 
 
僕の伝え方が相当拙くない限りはそれなりに理解はしてもらえているような気はしていますが、それでも思うようにはいきません。
なんならびっくりするぐらい真逆に向かって突っ走られたりもします。
 
 
 
で、そういう時ってやっぱり僕も人間なので、期待をしていてしかもそれを懇切丁寧に伝えて理解をしてくれていると思っている中でその期待に背かれたり期待値に足りないと、そのスタッフにネガティブな感情を抱いていたんです。
 
 
つまり「努力が足りない」とか「期待を裏切られた」とか、若い頃だとなんなら「怠慢だ」と思うこともあったかもしれません。
露骨に責め立てたりはしていないですが、おそらく「評価」という名の恨み言をフィードバックしていたこともあるでしょうし、マイナスを重ねていってたと思います。
 
 
そして何よりそういう風に捉えている時ってめちゃくちゃ自分の精神衛生的には良くないんです。
自分の期待に応えてもらえない、ということが相手に対してと自分の仕事が滞ることに対してものすごくストレスになるんですね。
ストレスというよりも苛立ちみたいなものですが。
 
 
時期によっては自分の仕事そのものよりもスタッフの事ばかり考える時期があったりするもので(評価をしなきゃいけない時とか)、そういう時のメンタルはなかなか不安定になります。
 
 
 
ずっと自分の中のそういう感情を重ねていってた頃、もう何のきっかけだったかは覚えていないんですが、ふと「あれ?自分は一体何にそんなにストレスを溜めているんだろう?何にそんなに苛立っているんだろう?」と整理してみようという気になったんです。
 
 
そして自分のストレスになっているものや苛立っているものについて書き出してみたんです。
 
 
書き並べてみると、そのほとんどが「自分としてはこうしてほしいと思っていたのに相手がそのようにしてくれない」みたいな内容のものばかりだった事に気がつきました。
 
 
相手に寄せている「僕の」期待と相手との差異に僕は苛立っていたんです。
 
 
そしてもう少し言うと、自分の期待に寄せるためにどうやら相手の意思をおざなりにしていたんです。
 
 
もちろん仕事をしていく上で必要なことでもあったとは思うんですが、自分で勝手に期待を相手にかけて相手がそれに応えられないと、それを「不足」やなんなら「裏切り」みたいに捉えていたんですね。
 
 
その時に僕にとって「期待」というのは一見ポジティブな言葉だけど、けっこう利己的なものだな、というのを痛感させられたんです。
 
 
 
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
減点で見るんじゃなくて加点で見る
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
そこから僕はマネジメントの仕方を少しずつ変えました。
悪い意味じゃなく「期待に期待しない」というか、常に相手をゼロベースで見よう、と思うようになりました。
 
 
良し悪しあると思うんですが、たとえ僕がマネジメントする中であれこれと考えていたとしても、それを相手が同じように全て考えてくれるとはそもそも限らないじゃないですか。
 
 
「仕事だろ!」と言ってしまえばそれはそうなんですが、そもそもスタッフだっていろんな動機や思いを持って働いているわけで、もちろん誰もフザけているわけでも不真面目なわけでもない中でそりゃマネジメントしている僕と全員が全員同じ温度感で捉えているわけでも捉えようとしているわけでもないわな、と。
 
 
それぞれ得手不得手があって、長所も短所もある中であまりに一方的な期待値で推し量るのはあまりに乱暴だな、と思うんです。
 
 
もちろんこちらが求めるものや期待しているもの、っていうものについては投げかけはします。
でも、その期待の方を基準値にしてしまうのではなく、スタッフの「今」という方が基準値です。つまりゼロベースです。
 
 
期待していることができないから減点していたらそのうちスタッフは全員0点になってしまうか見放すしかなくなってしまいます。
そうじゃなくて、たとえスキルが高かろうが低かろうが、あるいは意識が高かろうが低かろうが「今」がそれぞれのゼロです。
 
 
そう考えると、僕が期待を投げかけているもの、求めるものの10分の1でも適えばプラスに捉えられます。そして僕の期待が基準値ではないので、スタッフが主体的に行った何かが形になったり成果が出れば当然それもプラスです。
 
 
つまり「考え方」の問題ですね。
 
 
どうしてもマネジメントをしていると、それなりに責任もあれば「ノルマ」とは言わないまでも事業なのでそこにお金も動きます。
正直自分の思い描くようにことが進められる方がいいのはそりゃあるんです。
 
 
でも、最初に言ったようにスタッフは「自分」ではありません。
他者の価値観や思考までゴソっと変えるなんてそりゃ難しい。それより僕らがしなきゃならないのは、まずスタッフのゼロベースがどこなのか、というのを日々探ったり確認することで、相手の意思を大きく除外して自分の思い描くところに無理やり当てはめようとすることよりも、伸びたい人は思い切り伸ばして、そんなに急いで伸びたくない人は急がず伸びるマネジメントを探ることです。
 
 
あるいは、自分の期待を適えられる確証を持てる人材を自分で引っ張って来ればいいか、と。
 
 
まぁそう考えるようになって、マネジメント自体が良くなったかどうかは分かりませんが、少なくとも自分の精神衛生は良くなったので、むしろ落ち着いて物事を見られるようにはなったんじゃないかな、と思います。
そして、この辺りの感覚が「人を活かす」マネジメントのスタイルを築くきっかけにもなったんでしょう。
 
 
 
 
もしかしたこういう考え方はちょっとぬるいのかもしれません。見ようによればものすごくスタッフに寄り添いすぎた感覚かもしれないので。
他の業態に転用できるものではないかも知れません。
 
 
でも逆にこういう捉え方、というのが「人を活かす」ということの着想になったり、「心理的安全性」に繋がったりするのもまた事実なのかな、と思います。
 
 
あくまで期待とか評価ありきの基準値をボーダーラインにしたマネジメントではなく、スタッフそれぞれをゼロベースで捉えていく。
多分それがまずスタートラインなんじゃないでしょうか。
 
 
 
これってマネジメントだけじゃなく僕はいろんな場面で転用します。
ゼロベースで物事を考える、ってこと。
 
 
どうやらその方が自分も楽ですし、減点ではなく加点でものを見られるようになるので、世の中もちょっと良く見える気がします。
 
 
結構これはマネジャーの精神衛生にも関わるものなので、大事な視点なのかもしれないな、と思い書かせてもらいました。
もし何かの参考になれば幸いです。
 
 
ということで今日はこのくらいに。
 
 
 
 
 
 
▼福祉を少し前に進めたい福祉人のためのオンラインコミュニティ「ふくし会社margin  」WEBサイトはこちら(下のmarginのロゴをタップ)
 
(※月額制コミュニティです。Facebookの非公開グループで運営しています。サイト内リンクよりBASEにアクセスして、会費決済後、商品説明のリンクから、もしくはFacebookで「ふくし会社margin」を検索して、Facebook非公開グループに参加申請をして下さい。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?