WiseVineのリジェネラティブ人事
WiseVineの事業内容と思い
2023年に開発をスタートした行政向けの経営管理システム WiseVine Build & Scrap は、各自治体が行う医療や教育、まちづくりといったさまざまな事業全体の予算案を作成する財政課の仕事をサポートするためのツールです。
このツールは、行政の進化に寄り添い、未来の世代により良い世界を残したいという思いから生まれました。
WiseVine は、限られた予算を可視化し適切に振り分けることで、既存の構造を再編成していこうとする「リジェネラティブなマインド」を持って開発に取り組んでいます。
また弊社は、ビジネスマガジン「Wired」にて、経済活動を通じて人々のつながり、社会、生態系、経済システムを再生する「THE REGENERATIVE COMPANY(リジェネラティブ・カンパニー)」を表彰する「リジェネラティブ・カンパニー・アワード2023」に選出されました。
リジェネラティブとは
一般的にリジェネラティブとは、単に持続可能な(サステナブル)状態を維持するだけでなく、環境や社会の状態をより良くしていくことを目指す考え方です。サステナブルが現状を維持しながら負荷を減らすことを重視するのに対し、リジェネラティブは自発的に改善し、再生を促すことを意図しています。例えば、農業の分野では、土壌の健康を回復し、周辺の生態系も再生することで、持続可能な食料生産を実現します。この考え方は、単に資源を効率的に利用するだけでなく、自然環境自体を再生することを目指しています。
WiseVineはこのリジェネラティブの概念を、環境だけでなく人事の分野にも適用しています。
企業は、利益追求と同時に、社会的な価値を創出し、従業員や事業に関わる全てのコミュニティと共に成長していくことが求められています。
リジェネラティブ人事では、従業員の幸福度や成長を促進することで、組織全体の事業成長を目指します。これは単に人的リソースを効果的に使うだけでなく、従業員一人一人のポテンシャルを引き出し、組織全体の活力を高めることを目指しています。具体的には、従業員のキャリア開発やスキルアップの機会を提供し、彼らが自己実現できる環境を整えることが重要です。
また、リジェネラティブ人事は、組織の文化や価値観の再評価、再開発にもつながります。従業員が自分の役割を理解し、他の部署やチームとの協力を深めることで、より強固な組織体制を築くことができます。これにより、従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上し、結果として事業の成長にも寄与します。
人的資本とリジェネラティブの比較において、人的資本は従業員のスキル、知識、経験を資産と見なし、それを最大限に活用することで組織の競争力を高めることを目的としています。人的資本は、従業員の教育やトレーニングに投資することで、その価値を高めることができるとされています。一方で、リジェネラティブ人事は、単に従業員のスキルや知識を向上させるだけでなく、従業員自身がより幸福で充実した生活を送れるようにすることを事業成長の要素として考えます。このため、キャリア開発やスキルアップだけでなく、従業員の精神的な健康や働きがいも、当社では重要な要素とみなしています。
要するに、リジェネラティブ人事とは、現状を超えて積極的に改善と再生をする組織を作ることを目指すアプローチです。環境、ビジネス、人事などさまざまな分野でこの考え方を取り入れることで、持続可能でありながらも進化し続ける社会を築くことが可能であると考えています。
WiseVineは、事業だけでなく組織の行動指針においてもリジェネラティブな企業として模範を示し続けるために「リジェネラティブ人事」に取り組んでいます。
ヒト、モノ、カネ、情報。四つの資産の中でも「ヒト」はまだまだ発展途上。
現代の人事について考えると、ヒト、モノ、カネ、情報の四つの資産の中でも、特に「ヒト」の領域はまだまだ発展途上の部分が多く残されています。他の三つの要素、すなわちモノ、カネ、情報はすでにかなり洗練され、効率化されています。例えば、製品の製造プロセスや資金の運用、情報の管理といった分野では、テクノロジーの進化や業務改善の取り組みによって高いレベルで経営戦略への最適化が図られています。
一方で、人事の分野はまだまだ発展の余地が多く、特に従業員一人一人のポテンシャルを最大限に引き出し、組織全体の活力を高めるための人事施策が求められています。
現在、既にさまざまな人事施策が企業の発展のため施行されていますが、「ヒト」の領域がより洗練されるために重要なのは、事業成長を目的とする人事施策ではなく、従業員一人一人の幸福が事業成長そのものの加速やグロースである、という考え方です。
加えて、組織文化や価値観の再評価を通じて、従業員が自分の役割を理解し、他の部署やチームとの協力を深めることも重要視しなければなりません。これにより、より強固な組織体制を築くことができ、従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上し、結果として事業成長にも寄与します。
要するに、「ヒト」の領域は多くの可能性を秘めており、これを科学することで企業はさらなる成長と革新を実現することができると考えています。
WiseVineにおけるリジェネラティブ人事について
私たちが掲げるリジェネラティブ人事とは、「従業員に喜びやミッションを適切に渡すことで、一人一人が自分の役割を理解し、喜びを持って自ら走り出す組織」を作り上げるためのアプローチと考えています。
何を目指しているのか
リジェネラティブ人事に取り組むことで目指している状態は、従業員一人一人が自身の役割を深く理解し、喜びやミッションを持って自ら積極的に行動する組織を築くことです。この状態を実現するためには、以下の要素が必要と考えています。
まず、従業員が自分の役割やミッションに対して強い理解と共感を持つことが必要です。単なる上から落ちてきた仕事ではなく、組織の一員としての自覚を持ち、自らの行動が組織全体にどんな与える影響かを意識するようになります。
次に、従業員の幸福度と精神的な活力を高めることが求められます。これには、従業員が自己実現を感じられる環境を整えることが含まれます。具体的には、キャリア開発の機会やスキルアップの支援、さらには精神的な健康を促進するための取り組みが重要となります。これらの要素が整った環境で働くことで、従業員は自らの成長と組織の成長をリンクさせ、自発的に改善行動をとるようになります。
さらに、組織内のコミュニケーションや協力体制を強化することも必要です。従業員が他の部署やチームとの協力を深めることで、組織全体の一体感が高まり、他部署の従業員が共通の目標に向かって多角的な視点を持ちながら業務に取り組むことができるようになります。これにより、従業員同士が共鳴し合い、組織全体が一つの大きな力となって進化していくことが期待されます。
最終的には、従業員が喜びとワクワクを感じながら働くことで、幸福と事業成長を同時に実現する組織を目指しています。従業員が自己の役割やミッションに対して確信を持ち、日々の業務に前向きな姿勢で取り組むことで、組織全体が持続的に成長し続けることが可能となります。従業員一人一人の幸福度を高めると同時に、組織全体の成長を促進するための最適なアプローチであると考えています。
WiseVineのリジェネラティブ人事は、従業員の幸福と事業成長をイコールと見做します。
取り組み内容の紹介
弊社のリジェネラティブ人事における取り組みにおいて、達成すべき重要指標は以下の通りです。
従業員が自分の役割を深く理解しているか
従業員が会社のビジョン・ミッションの強い理解と共感が得られているか
従業員が自己実現を感じられる環境が整っているか
従業員同士が支え合うことで精神的な健康を促進できているか
従業員が積極的に他部署と連携することで、自身の想像力を超えたアウトプットを実現できることに喜びを感じているか
以下図は、上記指標を達成するために弊社が実行した人事施策の一部です。
具体的な施策事例
サイクルの中で、実際に実行している施策の一部は以下の通りです。
月次アンケート
毎月、正社員のエンゲージメント指数を独自のロジックで算出し、動機づけ要因及び衛生要因が部署ごと、個人、会社全体においてどのようになっているかを定量的に把握します。
組織人事×マネージャーの定例
月次アンケートを元に組織ごとの課題を抽出し、月次でその解決策などを共有、相談します。
1on1の実施
マネージャー(リーダー)と、メンバーとの会話を通して、信ぴょう性の高い定性データを定期的に収集します。素直な意見を話せる場を作ることが大切なので、普段からの信頼関係の構築も重要となります。
ケアデイ制度
SlackのステータスにCareDayスタンプを入れることで、その日は「通常通り働くことが難しい」という意思表示になる仕組み。
背景:社員の中で、定期的な通院が必要な方や、育児、介護のため、レスが遅くなったり会議での発言が難しい場合があるメンバーが複数いたため、勤務中にお互いが「察する」ことや「支える」ことを直接顔を合わせることの少ないリモート環境でも自然に実現するために生まれた仕組みの一つ。
等級要件
全ての職種において、共通する概念だけを等級の定義としています。一般的な役職との連動は目安程度としており、スペシャリスト、マネジメントの双方に共通するものをおいています。当社にとっては、一定の等級に達したタイミングで、スペシャリストも、マネジメントも、「経営戦略or事業戦略」を深く理解し、自身でそれらを達成するゴール設定が必要となります。等級要件にはピープルマネジメントの有無よりも、経営戦略や事業戦略において重要な役割かどうかが指標となります。よってスペシャリストかマネジメントかについては、その手段の一つと捉えています。以下は等級要件の例。
選考基準
カルチャーフィットで採用はしません。理由としては、事業のフェーズによってカルチャーが変わると考えているからです。例えば、ある時期にその時のやりがいを感じて入社した従業員も、事業のフェーズが変わればギャップが生まれることもあるからです。この時に月次アンケートによってどのタイミングでどの項目が低評価になっているかを把握できるので、従業員が求めているやりがいと会社の課題をマージさせるような配置やミッションを提案することで、再び高いモチベーションで働くことができます。またそれを採用基準に素早く反映させ、そのタイミングでのカルチャー構成に必要な人材を獲得します。
全社キックオフ
年に一度、全従業員が集まるイベント。事業のフェーズや会社が抱える課題に合わせ、キックオフで行われるコンテンツも毎年変化します。
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現時点での変化
離職率の低下やエンゲージメントが向上した。
例えば、離職率が27%から5%に減少したり、エンゲージメントの重要項目における動機づけ要因の高満足者比率が上昇するなどの具体的な成果が見られました。これらの成果は、従業員が自分の役割やミッションに対する理解を深め、組織全体で協力し合う風土が醸成された結果と考えています。
Slack内の個人タイムズのコメントに他部署の人が混ざるようになった。
オープンな場で部署を超えた意見交換が頻繁に行われたことで、情報を共有しながら開発を進めていく従業員が増え始めました。
自発的な組織横断プロジェクトが発足し始めた。
一人のフロントエンジニアの提案に対して、自発的に他部署の人が乗っかり、新しい機能を作るプロジェクトが発足しました。
Bizチームの従業員と元マーケティング担当のデザイナーにより、マーケティングプロジェクトが発足しました。
自分の仕事に高い社会貢献性を感じている従業員が増えた
当社は、社会貢献性の高いプロダクト作ってたのにも関わらず、社会貢献性を感じない従業員が20%以上いました。これを改善するために、全従業員が年に一度集まる全社会で、社会課題解決ソリューションのプロダクトを作るワークショップを実施。別部署の人同士を集めた少人数チームを作り、小さな会社として仮想プロダクトの立案まで作成し、発表してもらいました。これにより、会社での立ち位置、仲間の役割、自分の業務が他者に与える影響等をワークショップを通して実感してもらったことで、自社プロダクトの社会貢献性と仲間へのリスペクトと自分の役割理解のポイントが上がりました。
リジェネラティブ人事を始めた理由
行政向けのプロダクトを作っている弊社はドメインに強みがあります。これが現在、我々の採用競争力や競合優位性に繋がっています。しかし事業戦略において、多角的な視点を持ちながら発展する力が必要なフェーズに差し掛かったため、部署ごとに固まって仕事をするのではなく、全員が自ら他部署にまたがって連携し、情報を共有しながら開発していく組織に転換していく必要がありました。多方向でそれぞれのスペシャリティを持ちつつ、領域を狭めずに開発を同時並行で走らせるためには、経営からトップダウンで落とすよりも、自発的に改善し発展する組織にしていくことでこれを解決できると考えました。つまり、自走力研修やモチベーション向上の研修をするのではなく、会社側が、やりがいのきかっけ、喜び、ミッションを渡すことで、従業員が喜びを持って自ら走り出す組織=「リジェネラティブな組織」を作ることに至りました。
まとめ
プロダクトの社会貢献性を理解し、仲間へのリスペクトを持ち、自分の役割に誇りを持って仕事に取り組む人が増えることは、自発的に改善と再生を繰り返し成長する組織となる。
つまり、従業員の幸福と事業成長は同じことでありどちらかに優劣をつけることはできません。
リジェネラティブ人事により、強固な組織体制を築き、従業員のエンゲージメントやモチベーションを向上させ、同時に事業の永続的な成長を実現することが可能になれば、経営戦略における重要資産である、「ヒト」の領域もより進化し、それを広めることで社会にある様々な課題解決や価値創造の成長を加速させ、人々の幸福に還元していくことができるのではないかと考えています。
また、弊社の人事施策を多くの企業に知っていただき、リジェネラティブな組織づくりを実践する企業が増えることで、未来の社会がより豊かになれば良いなと思っております。
WiseVineはリジェネラティブな社会を作る仕掛け人を募集しています!
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