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多細胞から成る「人」を「個体」として成立させる「統率システム」

前回までのまとめで、「ヒト」を構成している細胞たちがどうやって生活を営んでいるのか?ということをまとめてきました。
そして、細胞レベルで微生物からどうやって身を守っているか?というところまでまとめてきました。

細胞たちがてんでバラバラに動くと、「個体」としてうまくいかない

ここからは、「ヒト」という「個体」がどうやって体内の細胞たち(37兆個もいる!)をコントロール(制御)しているのか?という話になります。

このコントロールがうまくいかないと、間違いなく困ります。

細胞レベルでの話になると、ちょっと細かすぎるので、もうちょっとマクロな目で見てみましょう。

たとえば臓器同士がうまく協調しないとどうなる?

「生体防御」の前半でもちょっと紹介しましたが、たとえば「ヒト」という個体が、クマのような天敵に出会ったとして、それを認識し、全力で逃げるという行動をとります。このとき、「左足と右足が協調」してくれないと、逃げられませんよね。足がもつれて転倒してしまい、結局クマに食べられてしまうでしょう。

一方、両足がうまく協調しあって走って逃げることができたとします。全力疾走で逃げていると、全身の筋肉は大量の酸素を消費し始めます。このとき、全身に酸素を届けるはずの心臓が「サボっちゃおー」といって、頑張ってくれない(頑張って収縮したり、心拍数を増やしたり、ということをしない)と、どうなるでしょうか?すぐに全身の筋肉は酸欠になってしまい、すぐ休まないといけなくなりますよね。

呼吸だってそうですね。全身の筋肉も、心臓も頑張ってくれているのに、のんびり換気していては、必要な酸素が取り込めず心臓や筋肉は「頑張り損」になるはずです。体力のことを「心肺機能」というくらいですから、心臓と肺が協調してくれないと。

社会がうまく機能するためにも「国家」や「会社組織」のような統治システムが必要

こうして、「ヒト」という1個体は、37兆個の細胞の塊であると同時に、それらがきちんと協力しあって働くよう、「司令塔」が必要なんです。これって、人間社会とそっくりだと思いませんか?

たとえば、この記事を読んでくださっているみなさんが「大学生」だったとします。部活動なんかをやっていたら、まず「キャプテン」という役割の人がいて、一つの部全体を仕切り、方針を決めると思います。そしてたとえば「主務」と「会計」と「渉外」という役割の人がいて、キャプテンから直々に「こうして欲しい」「ああして欲しい」なんて指示があると思います。そうすると、それぞれの役割の人達が、さらに部下(大学でいえば低学年の子たち)に具体的にどういう仕事をするか指示していく。そして、部下たちは指示された仕事をやりながら、実際にやってみた現場の状況を上司(主務や会計)に報告する。そうやって、「ひとつの部活動」としてうまくやっていくわけですよね。

大学の部活動なんか、人数が少ないので役職も多くはありませんが、それでも結構内部でトラブルもあったりしますよね。「個々人の利害」と、「部全体の利害」が常に一致するとは限りませんから。

部活より大きなものの例として、会社も同じように組織図で表されているのを見たことがあるかもしれませんね。社長をトップとするピラミッドです。

それが、さらに大きくなって、約1億人を統括する「国」となると、統治機構は複雑です。上部の階層だけHPから引っ張ってきましたが、一枚に収まりません!笑

そう考えると、37兆個もの細胞の集合体であるヒトが、個体としてうまくいっている(統治されている)のはものすごいことだなと思いませんか?

「脳」を中枢(ボス)として「神経系」と「内分泌系」が統括する

さて、「例ばかりでなかなか本題に入らないなぁ」と退屈に思われたみなさん、すみません。実は具体的な内容は次回以降になります。

なぜ、1記事も使って、こんな話をしたのか?

それは、やはり「ヒト」を「システムごとにざっくり見る」目線を提供し、医学の世界を理解しやすくする「とっかかり」を作るためです。ここから、体内の統治システムである「神経系」と「内分泌系」について説明します。いずれも「脳」をトップに持つ機構です。やはりヒトは脳が大事ということを再認識させられますね。

人体というのは本当に複雑なので、こんなにクリアカットに分かれているわけではありませんが、わたしなりに、今後の理解を深めやすいよう、こんな組織図を作ってみました。「ふむふむ、なるほど」と思ってみていただけると嬉しいです。また、わたしのレクチャーやブログはこの図を参考にしながら見ていただくとより理解が深まりやすいと思いますので、良ければメモなどしておいてくださいね!

余力のある方は、次回まで、

① 神経系は「電話」
② 内分泌系は「手紙(電子メールじゃない」

と、まずは覚えておいてください!

では次回をお楽しみに!おつかれさまでした!

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