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ワインの持つ不思議な力


皆さまは、ワインにどんなイメージをお持ちですか?

自分は、この世界に入るまでずーーっと、

オフィシャルで髭ダンディズムなイメージを持っていました。


髭ダンディズム


確かにそういう一面もありますが(どういう一面でしょうか笑)、ワインに携わる仕事をさせていただく中で、ワインはもっとカジュアルに楽しんでいいものだと思うようになりました。知識やウンチクは二の次、三の次。

勿論、我々のようなプロは、ワインに関する様々なことを日々学び、お客様に求められるものをご紹介できなければなりませんが、

ワインを楽しむという点では、美味しければいいのです!自分の好きな人たちと乾杯できれば、それでいいのです!


本日は、少しでもワインを身近に感じていただきたく、僕が思うワインそのものが持つ2つの大きな力についてお話しさせていただこうと思います。


1つめ:求心力


新卒で入社した大手ワインショップで働き出し、日々きょどりまくっていた僕ですが、ある日ふと、ひとつのことに気がつきました。


そのお店には、簡単なバーカウンターが設けられていたのですが、そこへ一人のお客様が腰をかけ、グラスワインを1杯。すると「お久しぶりです、奇遇だねえ」という声と共にまた一人。


お仕事の話や 美味しい食事処の共有から始まり、それぞれが店内でワインを選び、「このワイン、1杯どうですか?」この甘い誘いに、初めてご来店されたお客様も吸い寄せられ、一人、また一人と笑顔に。


なんだかいい仕事を選んだなぁと、ほくそ笑み、お気に入りの曲を聴きながら帰った覚えがあります。


あの日から5年後、大変お世話になった前職を離れ、サンフランシスコへ語学とワイン留学へ行きました。


初日、重たい荷物を抱えながら、下調べしておいたワインショップへ直行。

夜、食事を共にしてくれる友人は勿論ゼロなので、ワインボトル片手に併設のキッチンスペースへ向かい、スイスからの団体旅行者4人組へ、5年前にお客様から教わった魔法の一言「Do you mind if I join you?(一緒に飲んでくれますか?)」(向かう機内で100回以上、暗唱しました笑)

返事は、大きめの「Why not!?(あたぼーよ)古。」


まるでこのワインを目掛けるように、ブラジルの方や台湾の方が集まり、最終的に15人以上の大きい飲み会で僕の留学生活は幕を開けました。


前職とそのお客様には本当に感謝しています。

皆さまも是非、機会があったら「1杯どうですか?」やってみてください。


2つめ:想起力


人の記憶力とは、凄まじいもので、見たものだけでなく、音や匂いでも、その当時の出来事や人物を瞬時に、無意識に思い出すことができます。

例えば、ふとした拍子に漂ってきた香水の香りに、以前の恋人を思い出したり、デオドラントスプレーの匂いで、灼熱の中、相当な大厚着で竹刀を振り回した部活動を思い出したりします。

ワインにも同様の力があるのです。ワインほど1つ1つの味わいの個性がある飲み物はないと思っています。(あくまで僕個人の意見です)

赤、白、ロゼ、泡。

何千を超えるぶどう品種。

世界中の産地それぞれの気候や土壌。

ぶどうを摘む年。

何より、ワインを作る生産者ひとりひとり。

数えきれない要素が、1本のワインに個性を与えます。それを表現する言葉は、果実、草花、スパイス、ナッツ、お菓子、動物、鉱物など実に100種以上です。

その個性が、先に挙げた例のように、特別なその日を思い出す鍵になるのです。


僕には、ワインの世界に踏み込むきっかけになった1本があります。それは、両親の銀婚式でレストランのソムリエがおすすめしてくれたもので、

その輝く琥珀色に思わず、「え!!?これワイン!?」 グラスに鼻を近づけると、「パーラダイス!」

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居酒屋チェーン店でしかワイン飲んだことありませんでしたので、その色、香り、味わいに当時の僕は、度肝を抜かれました。

その日から、少しでも似た味わいのワインを両親と飲むと、「あーこれ、銀婚式のワインに似てる。そういえば、あの時さ〜」と、思い出に浸ります。

ワイン1本1本の個性が銀婚式というひとつの思い出の鍵となり、楽しかったその日を振り返って共有することができるのです。

素敵な思い出でも、唐突に話すのが小っ恥ずかしくて難しい方も「あの時のワインってさ〜」とその香りと味わいを鍵に、思い出の扉を開けることができます。

新型コロナウイルスの影響で、直接会う機会が減ってしまいましたが、ウェブ飲みや家飲みもまたひとつ特別な日にしたいですね。


まとめると


ワインには、人との距離を近づけ笑顔にする力がある。

ワインには、素敵な思い出を呼び起こし、共有させる力がある。


次回は、昨年7月末に訪れた山梨県塩山にある98WINEsさんについて書きたいと思います。最高のワイナリーです!また早く行きたい・・・

Instagramもどんどん更新して参りますので、フォローいただけたら幸いです。








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