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ワークライフバランス:キャリアと家庭の両立について(2)

こんにちは。前回からワークライフバランス(キャリアと家庭の両立)について実体験談を記載しています。前回の記事で出産前後の話を端折りすぎたので、少し戻ります。

逃げられない大きな責任を前に、将来をまじめに考える

こんなこと言うと呆れられそうですが、若いときは「明日何が起きるかわからないから、将来のことなんて考えてもしょうがない」と本気で思ってました。学生時代、30歳以降長生きしている自分が想像できなかったというのもあります。当時の友人からは、「そんなこと言っている人が長生きするんだよねー」と言われていました(事実、ストレスがない生活のせいか、今まで病気一つせずぴんぴんしてます)。

その意識が大きく変わったのが出産後です。それまで好きなように、やりたいことをやって生きてきましたが、小さな息子を見て、逃げられない大きな責任を背負ったことに気づきました。この子が無事に大人になるまで、私は生きないといけないんだ。もう自分だけのことを考えて、行き当たりばったりというわけにはいかない。例えば夫に何かあったときに、自分一人でも子どもが育てられるように。

ですので、一般に言う「マザーズギルト」(子どもを保育園に預けて働き続けることに対する母親の罪悪感)みたいなものは私にはなかったのですが、自分がなぜ働き続けるのかは、子どもに対して説明責任がある、とはいつも思っていました。子どもにお母さんはなぜ働くのか、きちんと説明のできないような、自分自身が誇りに思えないような働き方はできない、と。罪悪感よりも使命感のほうが強かったと思います。

同時に、息子が大きくなった時の未来に対して、現在の私たち親世代が背負っている責任といったものも感じ始めます。それまであまり関心のなかったこと、教育、政治、経済や地域のコミュニティまで、自分ごととして興味を持ち始めました。

出産後の働き方と子育てとの両立で磨かれる力

育休から復帰後は育休前と同じようには働けません。時短にするにせよフルタイムで働くにせよ、お迎えの時間は決まっているので、今までのような仕事のやり方では終わらない。皆さん一度は通る道なんですが、完璧主義的な傾向が強かった私も、頭がぼーん、と爆発しそうになって焦りました。

その時にどうするかは人によってさまざまかと思いますが、私がまずやったのは、やらないことを決めること。仕事については出席する会議を選ぶ、不要なメールの返信はしない、資料を作りこまない。家事も同様に、洗濯物はたたまない、料理は手作りにこだわらないなど、それまで何となくやってきたことを、かけた時間に見合うかという観点から見直し、きっぱりやめました。結果、単位時間当たりの効率性に対する感覚が鋭くなり、仕事のスピードは速くなりました。また、何が重要なのかを見極め、同じ時間をかけるのにも、どこに力を注げばよいかがわかるようになります。上手な手抜き、です。
そのおかげで、今までよりも短い時間で、同じかそれ以上のアウトプットを出すことができるようになりましたし、問題の本質を見極める力、問題解決力もさらに磨かれました。(話は脱線しますが、問題が解決しない時って、そもそもの問題の立て方が間違っていることが多いんですよね。)

また、特に子どもが小さい間(3歳ぐらいまで)は、突発的な出来事が起こるものです。大事な会議の時に限って子どもが熱を出したり、保育園からのお迎えの電話がかかってきたり。そこで磨かれるのは段取り力とシミュレーション力です。特にそれまでの私の仕事はデータが相手であり、自分のペースで進められるものが多かったため、最悪の事態を想定して動いたり、逆にリスクを取って進めたり、という経験はあまりありませんでした。
一方、当たり前のことなのですが、他人(子ども)は自分の思い通りにはならないし、しようとも思わないこと。例え子どもであっても一人の人格としてリスペクトすることの重要性は今でも日々痛感しています。

一人で抱えないこと、周りの人に頼ることも新しく覚えたことでもありました。仕事は何でも引き取らず、場合によっては他のチームメンバーに頼む。上司に動いてもらったほうが早そうな案件は上手に使う。
夫とは同じ子育てプロジェクトチームのメンバーとして、スケジュールを互いに公開し、仕事に合わせてお迎えの日を調整したり、子供が病気の時には交互に休みを取って対応したりしていました。
ワンオペなんて言葉がありますが、子育てとキャリアの継続は一人では厳しいので、パートナーにサポートしてもらえないのであれば、誰か他にサポートしてくれる人を探す必要があります。

キャリアが中断されることを恐れて、子どもを持つことを躊躇される方がいらっしゃるかもしれませんが、もしそれが理由ならとてももったいないな、と思います。
子育ては親育て。男女問わず、育児の経験は自らの成長の機会としても非常に大きなチャンスです。業務上での人の育成は育児と共通する部分も多くありますし、育児とキャリアの両立を通して、人としても、ビジネスパーソンとしても一皮むけることができるんじゃないかと思います。
私自身、出産、育児の経験は色々な意味でプラスでしかなかったです。

可能性を狭めているのは、実は自分自身

前回、2歳の子どもを置いて米国に3か月の出張に行ったという話をしましたが、この話をするとよく思い切ったね、自分にはできない、と言われることが多く、やはりハードルは高いのかな、と思います。
(3か月間、私のほうが息子が恋しくて、毎週のように子供服を買ってましたが、彼はSkypeでのビデオ通話にも全く出てくれず。さみしかった。。)

ただし、離れていたことの子どもへの影響という意味では、逆に良い経験になった、ママ以外の人に甘えられるようになった、とベテランの保育園の先生におっしゃっていただいたことを覚えています。
また、出張中に同僚に「2歳の息子を置いてきた」と話しても誰も驚かず、ほぼ全員から「2才なら問題ない、覚えていないから」と言われたことに逆に驚かされました。
母は料理上手な専業主婦だったので、自分の育った環境からくる思い込みやバイアスは根深く、知らないうちに自分を縛っているということにも気づかされた出来事です。

子どもを置いて出張することを勧めるわけでは全くありませんが、キャリアのドアが開く瞬間は自分ではコントロールできないので、子どもを理由にせず、その時が来たら飛びこんでみるのもありだと思います(案外何とかなっちゃうものです)。子どもにとっても、大きくなってから「あの時あなたがいたから〇〇できなかった」なんて言われるの、たまったもんじゃないですよね。

一経験談でしかありませんが、この記事が皆さまの何かのお役に立てれば幸いです。つづく。

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