tales

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翼を生やそうとする少年の話

少年は空を飛びたがった。ただ、それだけだ。それも飛行機や気球に乗るのではなく、自分の翼で空を羽ばたきたかった。
それでいつも、暇さえあれば、背中に念力を送って待っていた。

けれど、なかなかその時は来なかった。どんなに強く念じても、背中から翼が生えてくることはなかった。

それでも背中に異様なエネルギーを感じることは多々あった。彼はそれを兆候だと信じていた。

少年は成長し、サンタクロースの存在を

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ねこのまおう に

子猫の姿をした魔王は、畏れひれふさぬ人間たちに、たいへん腹をたてていました。

そこで、とびっきり強大で、恐ろしげな様子をした魔物たちを呼び集めました。

小さな魔王の呼び声に応えて、魔界の城の広間に、大勢の魔物たちが集まりました。

猛る炎を吐くドラゴン、一つ目の巨人、三つの頭を持つ大きな狼、鉄をもひきさく獅子の爪を持つグリフォン……。

続々とつめかける魔物を見て、魔王は満足げに笑いました。

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ねこぶとん そのさん

男の子は、ねそべっている猫のおなかをなでてみました。
 いつまでもなでていたくなるほど、てざわりが良くて、ふかふかでした。

「遠慮しないですにょ。世界一の眠りを提供にょ。さ、早くのるですにょ」
 またうながされて、男の子は、猫の体をよじのぼるようにして、その腹の上に、ごろんと寝ころがりました。

 ほわっと体が沈むような気のしたあと、ふわあんと浮かびあがって、まるで空に浮いているようでした。
 

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ねこぶとん そのに

夜、パジャマに着替えを終えた男の子は、お父さんとお母さんにおやすみを言ったあと、自分の部屋のドアを開けました。

手さぐりで電気をつけると、

「こんばんにょ。もうおやすみかにょ?」

みおぼえのある、大きな白猫が、うれしそうな様子で、部屋の真ん中にたたずんでいました。

そのとなりには、これまた大きな白い鳥がいました。

男の子は、「本当に来たんだ」とおどろきました。もしかしたら、あれは夢だった

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カデット・コデット

カデット・コデット、スラリとしたお嬢さん。

白い肌にお似合いの、夕日色の帽子をもらってごきげん。

あんまり似合うので、嬉し涙がポトポト落ちた。

泣き続けるカデット・コデット、どんどん背が縮む。

足元には、波のような涙のあと。

カデット・コデット泣きすぎて、ついには消えちゃった。

今やそこには、黒い墓標がたつばかり。

かわいそうなカデット・コデットのおはなし、これでおしまい。

ねこぶとん

『ねこぶとん あります 時価』

そう書かれた看板の横で、大きくて、まっ白な猫が、言いました。

「ワタシがふとんになるのですにょ。とても気持ちよく、おやすみになれますにょ」

 男の子は、よくわからないまま、こたえました。

「まだお昼だよ。寝ないよ」

「それじゃ、夜に、おたくに出張するですにょ。料金は、前払いでお願いしますにょ。300万円にょ」

「高すぎるよー」

 男の子は、冗談だと思っ

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ねこのまおう

うまれたばかりの魔王は、子猫そっくりの姿をしていました。

「せかいせいふく、するにゃ」

やみ色のマントを長く引きずりながら、人間たちに宣誓布告。

「あら、かわいい、ちっちゃい子猫」

「ばかにするにゃ。おろかなにんげんども、ちにひれふすにゃ」

だれも気にも留めません。

むしろ、かわいいかわいいと、なでくりまわされました。

小さな魔王は怒りました。

「ワシはまおうにゃ。おまえらみなごろ

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ウロコインコ

同じ部屋にいるたくさんの中型インコ。

みんなにおやつをくばってまわる。

最初にもらった鳥は、とくいげに胸をそらして、

「わたくしが一番かわいがられている者です」

みたいな顔をする。