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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/【ラグナロク・オブ・ピザ・タキ】(前)

こんばんは、望月もなかです。
ニンジャスレイヤーAoMのピザタキが好きです。
ピザタキ重点の独立エピソードが追加される日が来るだなんて。世界は美しい。ありがとうございます。このためだけにでも月590円払ってPLUSに加入してよかったと思っています。ピザタキの日常ドタバタエピソードなんていくらあってもいいですからね!!

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

プレシーズン4【キタノ・アンダーグラウンド】ラストで炎上し、シーズン4本編では何事もなく営業再開していたピザタキ。実はその間に紆余曲折あったんだよっていう日常ドタバタエピソードです。(*PLUS限定)

【序】関連エピソードについて

この「vsピザスキ勝負」エピソードの存在、1年以上前にチラッと情報だけは匂わされていたんですよね。

ビルが改修されるまで、販売ワゴンまで手配し、ピザタキと路上デッドヒートを繰り広げたピザワゴン勝負騒動の記憶も、なんだか幻じみていた。

スレイト/2020年12月【キタノ・スクエアビル向かい:ピザスキ】

ピザワゴン対決でデッドヒートという情報が明かされたときから何それ気になりすぎる!ヨミタイヨミタイヨミタイヨ!と床に転がってじたばたしてましたが、まさか本当にエピソード化していただけるだなんて…ありがとうございます!やったーーーー!!! 

ピザタキが炎上した、キタノスクエア地上げ騒動の顛末はこちらです。

ピザタキの危機にかつてないほどブチ切れるマスラダ・カイが見られる最高エピソードなのでどうぞよろしくお願いします。
参考:【キタノ・アンダーグラウンド】感想記事(ほぼ錯乱しています)

と、いうわけで。ピザタキvsピザスキの勝負騒動のお話です!

AoM-PLUS/【ラグナロク・オブ・ピザ・タキ】前

コトブキとザックは、タキの反対を押し切って、石窯ピザワゴンを始めることにした。好評に気をよくした二人が意気揚々と新商品開発を始めた矢先、広場に重低音が鳴り響く。イェイェイェ、ピザ・スキ! ピザ・スキ! ピザ・ガ・スキ! ――因縁のライバル、大手ピザチェーン「ピザスキ」が、あからさまな妨害行為を仕掛けてきたのだ!

 ♯1

タキさんまたスケベ動画見てる。

ヘッドホンからはオイラン・カーウォッシュの喘ぎ声が音漏れし、タキのタイピングは反復の中で高揚してゆく。

ワオ……スケベ・ドミネイター攻撃の洗車であんな目に遭ってるのに、洗車モノでよく興奮できますね。いっそ感心します。

「タキ=サン! こっちだぜ! こっち!」
 ザックの声がした。そちらを見ると、ザックが駐車場の金網にしがみついて揺さぶっている。タキは呆れた。

かわいい。癒される。平穏な生育環境じゃなかっただろうに、タフさと無邪気さと前向きさを失わずに「少年」でいられるの、ザック少年の美徳だと思います。健やかに育ってくれ……

ザックが喜んだ。「カタナの奴らにビルがあんなふうにされちまって、結構ヒマしてたしさあ! 俺、働くぜ!

えらいなあ。私はこんなにも労働を厭うているというのに。

「オ……オイやめろ! こンなのはピザ屋がやる事だぞ

店名を「ピザ+自分の名前」にした人がなンか言ってるぞ。

しかしタキのピザ屋へのスタンス、どこまでが本音でどこまでがテキトーなのかはかりかねるところがあります。マスラダくんやコトブキちゃんへの態度を見る感じ、扱う商品が「ピザ」であるのにはタキさんなりの思いがあるんじゃないかなって思っているんですけど。

タキさんのこういうところ好き。

 店のスタッフはプエルトリカンの陽気な少年とオレンジ髪の美しいウキヨで、黒板にはイラストメニューがチョークで描かれていた。

ザック少年、プエルトリコ系ってことはスペイン系?ですよね。ちょっと意外でした。 カナダ出身だから色白の北ヨーロッパ系かと思っていました。
ネザーキョウは弱肉強食の旗を掲げ世界中から強者を募っていたようですから、荒廃した南北アメリカ大陸からの移住者/その子どもも多かったということなんでしょうか。

◇◇

 ♯2

キタノスクエア店が営業停止に追い込まれたのは、ピザタキによる営業妨害のせいらしい。選り抜きのピザスキ・エージェント2名は、憎きピザタキを完膚なきまでに叩き潰そうと画策する。ピザワゴンの運命やいかに。

「奴らの営業は慣れないピザワゴンだ。一方で、我がピザスキは移動店舗のノウハウが完全に蓄積されており、集合知において圧倒している。つまり……」「奴らと同じ広場に、ピザワゴンを出店するんだ!」

この異常なネオサイタマ社会において、こんなに普通の営業戦略プレゼンテーションが見られるとは思っていなかったので感心している。逆に新鮮。

【キタノ・アンダーグラウンド】では先輩ウザいみたいな態度をとっていたノミタケさんが、今や亡き先輩への巨大感情で復讐に狂ってしまってるの「良い」な…と噛みしめています。

「様子を見に来てくれたのですね! でも、勝手にやれと言った手前、なんとなくバツが悪くて、どうやってアイサツするか迷っていたのですか?」

何度見ても最高

タキさんが複雑な内心をコトブキちゃんにズバズバ言語化されちゃうのほんとに笑ってしまいます。目を逸らしながらザックくんに素直じゃない誉め方するのも可愛い~~~!

でもコトブキちゃんが言語化できるのってこの、タキさんの「わかりやすくお人好しなところ」だけなんですよね。ハッキング業に対してタキが抱く姉貴の死とは切っても切り離せない複雑な思いとか、マスラダとのピザNTR心理劇については、そもそも気づいてもいなかったりするわけで……

というわけで出ましたピザNTR。マスラダお前何なんだよ!!!!

「この前、依頼ミッションの合間を縫って、ニンジャスレイヤー=サンも来てくれました。味にもゴーサインを出してくれたんです」
「ハァ? 何だと?」
 タキは聞き捨てならなかった。
「なんでアイツがピザを食うんだよ。オレの店で他所のスシを取るような外道だぜ! アイツがなんでピザを食うんだ!」

これすごい滋味あふれる……様々な文脈が載せられていると思うんですけど何がアレってマスラダ依頼ミッション中ってことはタキといつでも連絡が取れる状態なのにタキへの連絡をせずに二人のもとを訪れてピザを食べ、口止めもせずに去ったことなんですよ何なんだよ!!!お前なんなのお前なんなの!?? 依頼ミッション中ってことはタキを通して受けた仕事じゃないですか! その業務中、勝手にタキ以外のピザを食べてたってことでしょ!? 報告もせずにこっそりと! 一緒に暮らしている家族の応援に駆け付けたことをなぜ言わない!?  報連相してくださいよ報・連・相! 社会人の基本でしょマスラダくん!! (ピザをめぐる感情相互循環について)何も知らないコトブキちゃんを通して、実は浮気してたってことを遠回しにわざわざ知らせるのもさあ! それはいったい何のプレイなんですか!? お前ら二人だけで……二人だけでなんで冷凍ピザをめぐってそういうゴニョゴニョを……!!!!(演説台に打ちつける拳)

ほんとになんなんですか?

明らかに浮気なんですよね文脈が

なお、マスラダは「冷凍ピザにプロ意識の欠如を感じて許せないから食べないのだ」「タキが心を込めて焼いた手作りピザなら食べるはずだ」という仮説がしばしばTL上で提唱されており、確かにマスラダの性格的に一理ありますが私はちょっと懐疑的です。個人的には「引っ込みつかなくなってる」説を推したい。あとたぶん、タキは性格的に手作りピザを焼かない…それでも食べてもらえなかったらきっと心が耐えられないので…(それもどうなんですか?)

弊社の仮説です

「ザック=サンは一人前の人間として、自分の面倒を見てくれているタキ=サンの役に立ちたいと考えています。(略)ニンジャスレイヤー=サンも、そんなザック=サンの熱い心に、なにか感じ入るものがあったに違いありません……!」
「オレの店で出してるピザは……ピザは昔からあるんだ。冷凍のやつが! それを、アイツ……! 依頼を回してやってるのはオレなんだ!」
「タキ=サン……?(略)」

ザック少年の健気な心情を伝えてるコトブキちゃんを全スルーしてピザNTRへの怒りに打ち震えるタキさんに頬の緩みが収まらずもう大変である。

コトブキちゃんが語るザック少年の気持ち、これは推測なのか、ザック少年がピザワゴン営業計画を練る中でコトブキちゃんに本音を漏らしたのか、どっちなんでしょう(後者だったら私が嬉しい!)。
そんな姉弟めいた光景を想像すると実に微笑ましく、マスラダもちょっとは少年の健気さを見習って、家主のタキに対して何かもっとこうないんですか? 猫だからってスシの出前を取らせて当然みたいな顔をしないでくれます? おい聞いてるのか? 芋食ってないでこっち向けちゃんと聞けという思いにも駆られ……何の話をしていたんでしたっけ。
あとやっぱりコトブキちゃんがタキとマスラダとピザの三角関係に気づいてないの無限に笑えてしまう。ほんとなんなんだろうな!!!

「ニンジャスレイヤー=サンも、真正面からあの冷酷なタイクーンに勝負を挑んで、やっつけたではないですか。恐ろしいシテンノやゲニン、そういうファック野郎達を沢山引き連れた、すごい城に住む恐ろしいニンジャキングと一騎打ちしたのです

コトブキちゃんのvsネザーキョウ解像度がだいぶガバガバでびっくりしました。映画脳すぎるwww

でもそういうコトブキちゃんが隣で戦っているからこそ、マスラダがマスラダでいられるんだと思います。

「へこたれてんじゃねえよ。オレは奴らのピザも食ってみた。ようく観察したンだ。いいか。奴らの勢いは……続かねえ」

タキさん格好良すぎるよ……(もともと好きでしたけど)ますます大好きになってしまう。

懸命にザック少年を励ましてたコトブキちゃんが、タキの厳しい言葉ひとつで俯いて、希望のある言葉に「助けてくれるんですか?」と顔を上げるところで心がめちゃくちゃになり私はもうだめです。土砂降りの河原を逸る心が走っていくから、傘を持って泥だらけの水たまりを見つめて俯くことしかできないんだ……コトブキちゃんも本当は不安で助けてほしかったし、タキさんがいたらってきっと心の隅っこではちょっとだけ思ってしまっていたんだ……そうに違いないんだ……いやそのはずだ……なぜなら可能性が1%あればそれは0%じゃないってことであり忍殺世界は0と1の世界なので0じゃなければ1すなわち100%ってことだから……そうだよね?

ちがうよ

そんな……0と1の世界は希望なのに!!!

頼もしく去ろうとしたタキさんが、最後はコトブキちゃんにスクーターの応急修理してもらうところが大好きです。
タキさんはこういうところが魅力的なんですよね! やる気なく文句ばっかり言ってるかと思えば、なんだかんだと見守っていて助け船を出してくれる。頼りになるのにしまらない。でもそこがタキさんのいいところ。コトブキちゃんもザック少年も、そんなタキだからこそ、選択肢の多いネオサイタマという広大な都市の中で、「ピザタキ」をホームグラウンドに選んだのだと思うのです。マスラダくんもそうだよね? そういうところがいいと思ってるんだよね? だからローカルコトダマ空間がピザタキなんだし、ハマヤが撃たれて精神ぐちゃぐちゃになっちゃったんでしょ? ねえそうだよね?? オラッ芋食ってないでこっち見ろ素直になれッ!!!散歩から帰りたくない柴犬みたいな顔をやめろ!!!!!!

例によってそんなに長くもないエピソードなのに文字数がすごいことになっているのでいったんここで区切ります。

後編の感想でまたお会いいたしましょう!ではでは。

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次の感想はこちら。

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参考:過去のピザNTR関連記事

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【AoM感想目次】


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