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忍殺トリロジー感想/書籍第三部(3)『キリング・フィールド・サップーケイ』(下)

◇注意◇

現行AoMシリーズからニンジャを読んだ人が、
旧三部作(トリロジー)に戻って色々読んだ感想記事です。
感想の中でAoMのお話もします。

こんばんは、望月もなかです!
引っ越しのため荷造りをしているのですが、本棚に入っているときはそんなでもなさそうなのに、いざ段ボールに詰め始めると(本、詰めても詰めてもなくならない……!)と絶望してしまいます。学生時代は暇にあかせて蔵書リストを作ったこともあるのですが、子供の本や趣味の読み聞かせ絵本なども増えまくっておりもう何もわかりませんね。なおニンジャ物理書籍だけで一箱です。でか……。

前回感想はこちらです。

◇◇◇

今回読んだのはこちら。


ニンジャスレイヤー第3部 ♯3/キリング・フィールド・サップーケイ(後)

ニンジャが一様に邪悪なのではない。ならばニンジャスレイヤーが殺すべき相手とは。暗黒非合法探偵の日々を通して、フジキドは、新たな敵を見定めようとしていた。

【ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード】

娘と婚約者を殺された老夫婦から依頼を受けたイチロー・モリタは、ハイウェイで捜査を開始する。婚約者の男が殺されたのはルート808の高速道路上であった。現場にはニンジャ武器。現場付近では、暴走族とニンジャ愚連隊の衝突歴があった。やがて事件はオムラの遺産をめぐり、思わぬ方向へ走り出していく。

noteアーカイブ版既読です。
note版の感想記事はこちら。(ダブった箇所の感想は適宜省略していきますので、併せてお読みいただければ!)

加筆修正でけっこう展開が変わっているようです。

 1 ゴー・ストレイト

ルート808では、暴走族「ワンダリングマンモス・レンゴウ」とニンジャ愚連隊「サークル・シマナガシ」がレース勝負の真っ最中であった。彼らを注視するのは赤黒の影。そしてハイウェイの都市伝説、謎のバイクに跨ったサイボーグニンジャ。その背には、オムラの雷神紋が焼きついていた。

探偵しているフジキドさんに何度でも新鮮に驚きます。探偵もできるんだ。(1つ前の「キリング・フィールド・サップーケイ」で道場破りを自称し推理を盛大に外していた謎のカラテおじさんを見せられたので余計に……)

この夜、「レース」のアトモスフィアはいつにもまして剣呑であり、一触即発めいていた。横に並ぶ二台のオートバイ。一方はボディにスイスチーズ軽量化を施す一方、(以下略)

スイスチーズ軽量化とは。
私が知らないだけでよくあるバイク用語なのかな……(調査中)……ギターとかではあるらしいですが、バイク関連用語としてはなさそうです。

とりあえず小さい穴をいくつも開けて軽量化しているっぽい?

スリムジーンズに、上半身は裸、鍛え上げられた肉体をさらし、背中には威圧的なタトゥー。「……俺たちがか? テメェらが仕掛けてきたんだぜ」

これnote版の感想でも書いた気がするんですけど、イキってるスーサイドさんを見ると(この場にヤモトさんを引っ張ってきてマジ狼狽えさせたい)という衝動に襲われてしまう。ごめんなさい。

あと何度読んでもフィルギアさんの「コワイもの」が魔性すぎてコラッ!という気持ちになります。怖いのはあなただよ!

高速で頭上を通り過ぎる灯火はまるでカケルの人生のメタファーだ。光りながら走り抜ける。

この文章いいですね。

しかしこのエピソード、単発の短期連載でいいからひと足早くコミカライズしてほしい。読者がドッと増えると思います。ブラックフライデーさんの力で倍になった部数をさらに力強く伸ばしていきたいね!

マーブル迷彩のニンジャは(略)カワラ割りの形の拳を振り下ろした……ZZZZZM! その拳はルーフの鉄板を打ち割り、捻じ曲げ、運転席まで抉り込み、「アバーッ!」運転ヤクザの脳天を破砕し、腰まで引き裂いた。

ルイナー氏かっけー。

このあたりnote版とだいぶ展開が違いますね。

赤黒と、金。恐るべき眼光がぶつかり合った。
「何だ。テメェは」「邪魔させてもらっている」

それ不法侵入だよ。

「当然、用があって参上した」とか言っていますが当然じゃあないんだよ……という感じですね。しかもまた推理が間違っているし……推理が合ってるならまだしも、間違ってたらただの言いがかり不法侵入殺忍おじさんなんだよッ!

(((グググ……(略)憑依相手を選べぬことわりはまこと残酷よのう……好機だフジキド……仕留めるのは容易いぞ!)))

さりげなく読み飛ばしかけましたが、よく考えたら同じ憑依ニンジャでも、ナラクは「憑依相手を選べる」んですね? フジキドさんもマスラダくんも、あれ、自分の意志で選んで憑りついている……のですよね。どうなんだろ。

フィルギアさんが「ウチのアナイアレイター」っていうところ(シマサーの姫、怖っ)てなります。

「オヌシはナラクの何を知る!」「それ、本題じゃないよ」フィルギアは肩をすくめた。「まずアンタがここに何しに来たかを話すところからだろ。お客さん……」

マジでそれすぎる。

「間違いなく、ニンジャの仕業だ」

だからって犯人と決めつけて不法侵入で押しかけるのはどうかと思いますが……。不法侵入+推理が間違っている+本題を忘れるのコンボはさすがにまずいと思うんですよ。
ガーランドさんあなたの憧れのこの人のことどう思いますか? 探偵名乗ってもいいと思いますか? それでも胸は高鳴りますか?

「おい、頼むよ。コロナまだあるか?」「ある」ルイナーが冷蔵庫から追加の瓶を取り出した。

素直に冷蔵庫からビールを出して謎の赤黒ニンジャおじさんに差し出すルイナー氏、なんかいいなと思った箇所です

ヤクザは面子とソンケイを崇拝する呪術的氏族社会を形成している。ケジメとは社会を回す潤滑油なのだ。

呪術的氏族社会
(言い得て妙な気はする)


 2 ターン・アラウンド

サークル・シマナガシの容疑を晴らすべく捜査に同行した謎の男・フィルギア。彼は悠久を生きるリアルニンジャであった。フジキドは、平安時代から幾度も出現したという「ニンジャスレイヤー」の災禍を聞かされる。

今のニンジャスレイヤーはトレンチコートとハンチングを身につけ、市民達に無理なく溶け込んでいる。

本当ですかあ?

「どうやって……お前どうやって、そうしてる?」「どうやって、とは?」「ナラクはさァ、現れるたび、それこそ、まるで台風や竜巻みたいなものでさァ……お前はどうやってるんだァ……」

ナラクちゃんをフジキドが抑えていられるのは、やはりフジキド本人の姿勢によるところが大きいのではないでしょうか。

なんであれ一度受け入れ、対話しようとする姿勢。それは敵ニンジャのトンチキ土俵に常に乗っていく(野球もするし冷蔵庫にも入るしソバも啜る)姿と表裏一体なわけですが……、ナラクちゃんに対してはすごく良い方向に働いている気がします。

大前提として、完全に吞まれてしまったところをドラゴン・ゲンドーソーが抑えてくれた事実があります。チャドーとの出会いがなければ、今頃フジキドさんはここにいませんでした。そしてギンカクにまつわる善良なニンジャ、カタオキとの出会い。自分とナラクは別個の人格なのだと再認識させてもらったこと。さらにユカノさんの覚醒と、ガンドーさんの導きにより、フジキドが自分自身を少しずつ大切にできるくらいに回復したことも見逃せないポイントですね。
本人の資質に加え、幾つものめぐり逢いを経て、奇跡的にフジキドはこれまでありえなかったナラクとの共存に成功しているのかな、と思います。

逆にマスラダくんはなんやねんである。ナラクちゃんもやけに甘いし……(フジキドさんとの日々を経て、短期間で使い潰すよりも、ほどほどに甘やかして一緒にいた方が長期的にはいっぱいニンジャを殺せてお得!と学んだのでしょうか……)

蛇は机の上へ這い登ると、チロチロと舌を出しながら、整頓されたファイル類を物色した。

舌を……舌をチロチロするな……蛇だからって合法的に全年齢で舌を出せると思ったら大間違いだぞ! 逮捕だ!

「こんな事、犯罪だよ、犯罪……いけない事だぜ」フィルギアはニヤニヤと呟いた。「犯罪者だよ……」

う、うるせー!あなたの存在そのものがなんかこう風紀とかの法に触れているとは思わないのか! 逮捕だ!!

それはそれとしてフジキドさんの探偵捜査が、常に堂々と違法行為を行っているのは確かであり……。偽造警察手帳で不法侵入してUNIX強奪って、やってることが犯罪者じゃないですか。

ニンジャスレイヤーは言った。そしておもむろにUNIXデッキのボディパネルを引き剥がし、記憶ディスクを取り出した。「持ち帰り解析する」

ナンシーさんだから笑顔ノリノリで付き合ってくれてますけど、タキさんだったら多分ここまでの捜査全部にドン引きだよ。シキベさんでもドン引きだと思う。フジキド&ナンシー、最高の暴走列車バディ。


 3 ブレイク・オン・スルー(トゥ・ジ・アザー・サイド)

ニンジャスレイヤーは捜査の中で、婚約者ケンザが今も生きていることを知る。ケンザ・キシオミは、かつてオムラ社所属のニンジャであった。瀕死の重傷を負った彼は、オムラ時代の同僚にサイバネティクス処置を施され、ルート808に現れる都市伝説――クロームドルフィンとなっていたのだ。
その頃。オムラの遺産奪取を狙うアマクダリのニンジャ・オーファンは、暴走族首領のカケルを利用し、クロームドルフィン狩りに乗り出していた。

道の左右には破壊されたキマリテ・レンゴウの武装バイク達。炎。鎌バット。

鎌バットって何?(特に知りたくないです)

HUD上に「殴り薬?」の表示が瞬く。

殴り薬って何?(特に知りたくないです)

トレーラーとトレーラーの隙間にカケルは飛び込んだ。左右ワン・インチに死がある。カケルは笑い続けた。

良い表現~! 唸ります!

「ドーモ。ニンジャスレイヤーです。オヌシらの獲物には私も用がある。オヌシは殺す」

最後の「オヌシは殺す」があまりにも脈絡なさ過ぎて笑ってしまう。

vsオーファンや、レクティファイアさんが攻撃されてるところ、noteで描写があったはずのところがなかったり、なかったものがあったりするので記憶違いかな?と思って読み比べてみましたが気のせいではありませんでした。
このあたりも流れがだいぶ変わっていますね。

オーファンさんの爆発四散も、死因は同じ「カケルによる轢殺」なのですが、視点の描写が違うので印象がかなり変わっています。個人的にはnote版が好きかな…オーファンさんがより可哀想なので(ひどい!)


 4 シェード・オブ・ブッダスピード

オーファンの独断専行はアマクダリ上層部に筒抜けであった。彼らはクロームドルフィン捕獲のため、万全の布陣を敷いている。ニンジャスレイヤーはアマクダリ・ニンジャを退けながらもクロームドルフィンを追わねばならない! 風に魅入られクロームドルフィンの背を追うカケル、サークル・シマナガシも乱入し、ルート808上の乱戦は加速していく。

「探偵気取りめ!」

申し訳ないけど私もちょっとそう思う。

「探偵だ」ニンジャスレイヤーは言った。「ニンジャを殺す探偵だ」

フジキドさんが新しい人生の目的をそう定めたのなら、思いのままに前を向いて生きていってほしい…という思いと、それは探偵の仕事じゃないのですが?という思いが同じくらいある。ガンドーさん何か言ってやってよ!!

「な……グワーッ!」アルバレストは予想外の反撃に防御タイミングを逸し、肩と鎖骨にスリケンを受けた。

アルバレストさん、自分がバイク上に立って攻撃してるのに、相手はそれをしないと思い込んでいたあたり普通に詰めが甘すぎますね。カステラのシートにくっついたザラメくらい甘い。

「アルバレスト=サンは手練れのニンジャであったが……」スターゲイザーは低く言った。

本当かなぁ。
ニンジャスレイヤー相手にいいところを見せられず退場しちゃったので、実感がわかない。

その後ろに、マーブル迷彩のフード装束を着た男。肩に抱えた盗品ロケットランチャーをガランと投げ捨てる。たった今、輸送ヘリを撃ち落としたばかり。「ドーモ。ルイナーです」

ルイナー氏だ!!
盗品ロケットランチャーという選択に気性が現れており、とても良いです。

シマナガシといえば、note版冒頭のガバガバ宣戦布告シーンも書籍版ではなくなっていますね。その代わり、書籍版だとスターゲイザーさんの戦闘描写が詳しくなっている気がします。フクロウのフィルギアさんがアイアンオトメに乗っかるシーンもなかったよね?

「スーサイド。そいつのこと頼むぜ」フィルギアは言った。スーサイドは地面に唾を吐いた。

「クソ野郎」スーサイドは唸った。「あのゾンビ―野郎にしてもよォ。説明も無しに取りに行かせやがって」

スーサイドさん、悪いおにーさんにめちゃくちゃ働かされとる。
こんな事、犯罪だよ、犯罪……いけないんだー。

風の道に執着し、スピードを追い続けるクロームドルフィン。けれど、本当に本気でスピードを追い求めるのなら、メンテナンスもせずに走り続けるのは間違っています。
愛する人を失った哀しみを、何かへの執着という感情で塗りつぶし、現実逃避を続けているだけ。そんな男に「彼女を弔え、逃げずに向き合え」と伝えられるのは、フジキド・ケンジだからです。彼もまた一時期、復讐で己を無理やり突き動かすことで、哀しみから逃げていた部分があったのかもしれない。今のフジキドだから伝えられる言葉なのだと思います。

「その先にマカナ=サンはおらん」ニンジャスレイヤーは言った。「既にオヌシのもとに在る。己の中の彼女と対せ」

ヴワーーーーーーーーーーッ!(涙)

フジキドの中にいるナラクちゃんの中にいるフユコ……!(魂のマトリョーシカ!!)

ハイウェイを走り去っていくクロームドルフィンと、カケル。書籍版のカケルは、note版に比べてかなり実体が希薄な感じといいますか、この世とあの世のあわいにいる存在のように描かれていた印象を受けました。彼らはどうなってしまったのでしょうか。死体は発見されなかったそうですが、彼らの身体はほぼサイバネ化していたのですから、実際にただのスクラップになっていて、下層市民たちにパーツの残りひとつまで回収してしまっただけなのかもしれません。でも、行方も知れず、都市伝説そのものになってしまったとも取れる終わり方、余韻があって良いですよね。

ケンザ・キシオミのUNIXに残っていたデータの解析結果……ナンシーから。何かしらの進展があったという。「タイサ・ルニヨシ」フジキドは呟いた。「モーターカナタ」

タイサ・ルニヨシ、誰かと思えばあの人ですか。【モータードリヴン・ブルース】に出てきた、檄文メールを送信したオムラ社員……。

クソッ! タイサの野郎……貴様のせいで魚類が調子に乗ったんだぞ! ことわざを得意げに披露したりする魚類が生まれてしまったんだぞ!! 責任を取れ! でもこのメールのおかげでユンコちゃんが生き返ったともいえますからね……チッ。このくらいにしといてやりますよぉ~。

◇◇

【トゥー・レイト・フォー・インガオホー】

スカラムーシュは妻にどやされ自宅を後にした。「甲斐性なし、稼いで来い」。愛する女を命懸けで守り、得たはずの、ささやかな二人の暮らしはもはや瑞々しい盛りを過ぎていた。アマクダリの台頭、ヤクザクランの急激な縮小。フリーランス・ニンジャにはつらい時代だ。

以前「ネオサイタマネオサイタマしているエピソードを教えてください!」とマシュマロ募集したとき、おススメいただいて楽しみにしていました。

ブッダは次に読む予定です

隣の部屋で奥さんがテレビショッピング見てるので仕事に集中できない旦那! 生活感のあるニンジャ!
トリロジーでは相当めずらしくないですか? AoMまで時代が下るとちらほらいそうではありますが。

【Scaramouche】
(仏)イタリア即興喜劇中の道化役。事が起こると逃げ腰になっておかしみをかもす。17世紀の名優フィオリッリにより完成された。

スーパー大辞林3.0

名前の由来はこれかな。
ニンジャになってても本名で呼び続ける奥さん、いいですね。

「つまりですね、ビジネスチャンスの阻害要因なのです。我々の革新的なソリューションの滞りを生んでいる」(略)スーツ男の名刺には「電臣ニストソリューションシステムズCEO、コバヤシノ・シバ」と書かれている。

あからさまに詐欺っぽいよ~。
社名にソリューションがついてたらそれはもう詐欺だと思う(偏見すぎる!)

スカラムーシュのものはシンプルである。「ニンジャ、バウンティハンター、用心棒、暴力、実直な性格」

名刺の文句が既にこの仕事に向いてなさすぎる。心配です。
危険地帯の清掃員とか、ヤクザ……はアマクダリのせいで落ち目なのでだめかな……闇金持ちのエントランス警備員とかの方が向いてると思う。用心棒は向いてないと思う。

というかシバのような後ろ暗い新興ソリューション詐欺企業ってもう堂々と詐欺企業って書かれてるじゃないですか。ネオサイタマってほんとに最悪!

「危ないかどうかは、そりゃお前次第だろ。今日び、市民プールのシステムだって脳を焼きに来るっていうぜ。(以下略)」

最悪すぎる!!!!!

スカラムーシュさんが妻をビジネスパートナーに寝取られている。ニンジャでもカミさんを寝取られることはある……。そっかぁ…

元ケンドー機動隊。〈戦争〉が始まってからこっち、この手のドロップアウト組も増加傾向にある。

戦争って何だろう? アマクダリの台頭にかかわる事件でしょうか。別のエピソードで明かされそうですね。

どこかのオフィス、激しい戦闘の痕跡と爆発四散痕、そこに血文字……恐怖をあおる書体で書かれたそれは、「忍」「殺」。

スカラムーシュさんの反応を見て、フジキドさんこういう効果を見越していつもペイントしてるんだ…マメだね……と納得しながら遠い目になりました。

スカラムーシュはニンジャスレイヤーについて詳しい!

そうなんだ!?

かつてはネオサイタマを牛耳っていたソウカイヤと事を構え、ヘマをしでかしてほとぼりをさましにキョートへ逃げ、

そうでもなかった。
でも「ニンジャスレイヤーはニンジャを殺してまわる異常者」という点は合ってますし、サヴァイヴするニンジャにとって重要なのはその一点のみですからね。

「来るかどうかもわからぬ都市伝説サイコホラー」とか言われまくりで笑ってしまいました。それはそう!(笑)

「ご機嫌取りのつもりかい」「そう言うなって」「だいたいこんな店! 先に借金返さなきゃだろ」「そりゃお前、全部辻褄が合うようになってるからよ」

夫婦喧嘩微笑ましい。
トリロジーの時代に、ニンジャでありながらもこういう関係性を継続していられるのって、とても貴重な精神性によるものなのでは? と思います。
汚いカタオキ・シンイチみたいな……(ひどい!)(褒めています)

中庭の奥、軒先には恐竜化石めいたドラゴンの骨格彫刻と、「幽霊腐れドラゴン悪者」とショドーされた木片が飾られている。

幽霊腐れドラゴン悪者……ゴーストオブドラゴンゾンビー・クランだから……ってこと…そ、そう……どんな顔をすればいいのかわからない…

禁煙中だからライターが懐にない描写とか、禁煙の理由が部屋の壁にヤニがつくからだとか、生活感あふれる等身大な姿がすごくいいですね、スカラムーシュさん。これまでいなかったタイプな気がします。一番近いのがシルバーキー氏じゃないでしょうか? 性格は似ていませんが、気質はけっこう似てますよね。

◇◇

仕事は瀕死になりつつ無事完遂。だが事前情報よりもきな臭く、不可解な点があった。スカラムーシュは相棒にクライアントの裏を調査させ、とりあえず闇医者にかかるのだが……この仕事はすべて罠だった。

「守銭奴め。勝手にサイバネ手術にしたら酷いぞ」「ハハン! バシダのとこみたいなマネはしないわよ」

ハッ! バシダさんご健在!? 嬉しい! 勝手にサイバネ手術しちゃうタイプの闇医者なんだw

「お前はルール違反を犯した。チャンピオンがドヒョーを降りてマス席の人間を調べたら……もしお前が客ならどうだ。全く興ざめだろうが」

ああぁぁ~~……ノバラさん……! めでたしめでたしの先で怠惰と倦怠に塗れても、そこには確かに生活があったのに……

スカラムーシュはその光景を横から眺めている。サーガタナスが後ろへ飛び下がる。ガラス片が宙を舞う。何かが飛び込んできた。人型の影が。赤黒い。

フジキドさん遅いよ!!!!!!!!
あと30分早く来てくれてればさああ!!

「狩りだ。アマクダリ・セクトよ」「死に損なった折、誇大妄想までも身についたか」サーガタナスは肩を揺らして笑った。

この口ぶりからして、フジキドさんは一度アマクダリとぶつかって瀕死になるほどガッツリ負けてるんでしょうか。そのエピソードはまだ読んでいない気がする。これから来そうですね。

「ニンジャを殺すんだろ。殺せよ」スカラムーシュはなかば捨て鉢に言葉を絞り出した。「サーガタナスみたいに俺もやってくれよ。じゃなきゃおかしいだろ。死神ィ……」

ここ、昔のフジキドさんなら、スカラムーシュさんが意識回復する前に「ニンジャだから」という理由だけで殺してくれていたと思うんですよ。でももうガンドーさんとカタオキくんに出会っちゃったからさあ!(八つ当たり)

「オヌシはどうする」「俺は」スカラムーシュは唸った。そして言った。「俺も行く。俺も行く……俺も、行く!」「よかろう」

ここでニンジャスレイヤーさんが躊躇なく頷くのさぁ~~! ガンドーさんとカタオキくんに出会っちゃったせいなんだよ!! ありがとうございます。

「元々それはサイバーツジギリを担う非合法コーポレーションが母体だ」

サイバーツジギリってカギさんの依頼元会社!? まだあったんだ。

というか武装霊柩車が本来の仕事をしてるの……霊柩車としてノバラさんを守り走っているの……泣いてしまう……。

巨大ダークスーツに身を包み、ホッケーマスクを被ったスモトリヤクザも数名。彼らはポケットからナックルダスターを取り出し装着する。

は?
ホッケーマスクを被ってナックルダスターを…何?

ころそう。俺も行く。俺も……行く! ハァッ、ハァッ!!

「ドッソイ!」「ハッキヨホ!」銃撃のリロード時間をついて、柱を回り込んでくるスモトリヤクザの巨体!

殺意!!! オラァ!!!!!!(イマジナリー・チャカ・ガン!)

何年も忍殺を読み続けているのに未だにスモトリには殺意を抱いてしまうし、「暗黒カラテ技・ボディチェック」の単語で脳の処理速度がウイルスチェック入ったみたいに急速に低下するんですよね。

『首尾は上々』女の声がスピーカーから発せられる。『ここから辿ることができる。いよいよパーティーが始まるわ』

ナンシーさんノリノリすぎるwww
ホントに面白いですよね。都市伝説サイコホラー・ケンジくんと対等な関係を築けるだけあります。

「どうだ」ニンジャスレイヤーは尋ねた。「立てるか」

ア゛ーーーーーーーーー!!!

ニンジャスレイヤーが手を差し出す。

ア゛ーーーーーーーーーーーーー!!!泣!!!!!

生き残ってしまったんですね。命をかけて、一生守り抜きたいと思った人を亡くして、思い出は幻みたいに遠くなっていって、それでも生きていかなければならない。

ようやくここで、フジキドさんも同じように奥さんを亡くしているから他人事じゃなかったのかも…と気づいてしまって、余計に顔を覆っています。ア゛~~~~~~無理

ネオサイタマらしいだけでなく、結末も含めて非常に「ニンジャスレイヤー」らしいお話でした。スカラムーシュさん、また出てきてほしいです。


おまけ

手書き感想ノートを端末カメラで撮っただけのやつです。記事では取り上げなかった細かな感想メモや、こんな感じの

ちまちましたノート隅の落書きがたまにあります。

補足代わりにどうぞ。

というわけで、今回はここまで。
次はおすすめいただいてる「ブッダ逮捕」?を読もうかな~と思っています! 引っ越しを控えてバタバタしているのと、ニンジャオン4用のピザタキ二次創作再録本の締切が近い(早割入稿なので)ので、次は少し間が空くと思いますが、気長にお待ちください。それではまた、次回の感想記事でお会いいたしましょう。

【感想目次】



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