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おそらくサッカーライターとして転機になるであろう新刊『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-』について徒然に話してみる

またまたnoteが放置状態になってました。
プレシーズンから開幕を経て、いま第5節が終わったところ。わたしの担当する大分トリニータは目下4勝1分と好成績でスタートしました。

そんなさなかの3月3日、桃の節句。拙著新刊が刊行されていたのであります。…と、他人事みたいに言ってみる。でもなんだかこの一冊、自分にとって転機というかパワーアップの契機というか、そんな感じになりそうな本になったなという気が、じわじわと確信に変わりつつある今日このごろ。

サッカー本6冊目。3冊目の『監督の異常な愛情』(2018年・内外出版社)に続く、Jリーグ監督たちのノンフィクション集になります。今回の出版社は初めてお世話になるエクスナレッジ。前作までを作ってくださった通称「編集T」が業界から足を洗ってしまったので(笑)、また信頼できる編集者のもとへと新たに身を寄せさせていただきました。

今作で書かせていただいた監督は9人。『監督の異常な愛情』にも登場した田坂和昭監督、片野坂知宏監督、北野誠監督、高木琢也監督に加え、小林伸二監督、石崎信弘監督、木山隆之監督、吉田謙監督、下平隆宏監督という最強布陣です。「Jリーグファン垂涎」と、まずは人選からお褒めにあずかりました。担当クラブの監督だったり敵将だったりと、いずれもわたしがトリニータの番記者として実際に関わってきた人たちばかり。その通常の取材の中で見てきた彼らに、それぞれの指揮官半生における「決断」を切口に取材させていただいて、9編の物語集に仕上げました。

シモさんがじきじきに告知ツイートしてくださったり。

いつもお世話になっている『蹴球メガネーズ』のライブ配信にもゲストに呼んでいただきました。ありがとうございます!心ゆくまでイジられたしなんかずっと笑ってた。

4月4日には北野さんと馬場賢治さんをお迎えして、大阪は梅田・ラテラルさん主催でトークイベントも開催されます。サッカー監督という仕事について、その表側とか裏側とか、取材こぼれ話とか。おふたりが最高に面白いのできっと楽しい夜になることでしょう。もちろん来場も大歓迎ですがライブ配信も行われるようですので、遠方にお住まいの方はそちらで是非。

SNSなどでは早速、御覧いただいた方々からぼちぼち感想を寄せていただいていて、ありがとうございます。泣いたり笑ったりしていただけているようで、筆者冥利に尽きます。

で、何故この本を書いたことが転機になりそうなのか。

それはもしかしたら「脱コロナ禍」の時期と重なっていることとも無関係ではないのかもしれません。

コロナ禍で取材が制限されまくったこの3年間、砂漠で探しあてた水を出来るだけ広く染みわたらせるように記事を書き続けてきて。この本もその最中にオンラインでインタビューしたりしながら取材を進めました。昨季は担当しているトリニータがシーズン前半、とんでもない過密日程を強いられることになり、試合にまつわるルーティンだけで力尽きてはこの本の原稿締切をぶっちぎる繰り返し。何度もリスケさせてしまった編集のお二人にはあらためて陳謝したい所存です。でもそのぶん余計に渾身で書いたよね。

そんなコロナ禍によるもろもろの制限が今季は一気に緩和。日数は限られているしまだ完全に元通りとは言えないですが、グラウンドに練習取材に行って対面で監督や選手たちの話を聞けるようになりました。

満足に取材できなかった3年間の不完全燃焼ぶんを取り戻すように、入ってくる情報量の多いこと。いや、そういうインプットの仕方をしているのは自分自身なんだけど。そしてアウトプットのほうも、以前に増して「もっと取材対象の人間性を掘り下げたい」とか「もっと読者の心に届くものを書きたい」といった欲望が増している感触があるのです。上手く言えないけど、おそらくコロナ禍という「大リーグボール養成ギプス」を嵌められた状態で本一冊を書く筋力を振り絞った結果、いつのまにか関節の可動域が広がっていた感じ、というか。いや、肺活量のほうが言い得てるかな。

プレシーズンの頃からなんとなく「今季は自分の出来ることを力のかぎりすべてやってみようかな…」という気持ちが芽生えていて、「いやそれは危険じゃね?絶対倒れる」とも思いつつ、せっかく広がった可動域は限界まで使いたくなってしまうのが大馬鹿者の性分で。

そんな感じでいろいろと書かせていただいております。フットボリスタさんでは下平隆宏監督の「筋肉プロモーション(?)」について書けという編集長からの依頼を受けて、新境地な一本。ヴィジュアルインパクト止まりで終わらずちゃんと記事もたくさんの方々に読んでいただけたようでよかったです。タツさんやタカクさんが広めてくださったおかげだな(笑)。

もちろん今季もシーズンを通じて、試合ごとのプレビューやレポートはお馴染み「エルゴラ+」と「トリテン」で。

ひとつ「トリテン」でパワーアップさせたのは、選手たちの姿をより深く描く読みものをぐっと増やしていこうということ。これまでにもときどき書いていた「ピッチサイド小話」に加え「もうひとつのプレビュー」など、今後も折に触れて増やしていく予定です。

いままで選手ひとりひとりにここまで踏み込むことは少なかったので、自分にとっても新たな試み。

こんな感じで書き続けながら、まだその「転機」がどこへどうつながっていくのかは明確には見えてこないのですが、呼気と吸気が自分の内部により深く届くようになった、この肺活量は絶対に、コロナ禍の制限下で一冊を書き上げたことで養われたと言って間違いないと思っています。

というわけで、是非とも、2023年春のひぐらしひなつの全力を、お楽しみいただけたらと思います。『サッカー監督の決断と采配』、9人の指揮官たちの渾身の生きざまを、ドライブシュートでお届けします。

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