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小説・「塔とパイン」

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作:よわ🔎 概要:45歳、片田舎の洋菓子店のパティシエが、紆余曲折、海を渡ってドイツでバームクーヘンを焼き始めた。 ※毎週日曜日更新(予定) ※作品は全てフィクションです。著…
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#アパート

小説・「塔とパイン」 #18

小説・「塔とパイン」 #18

僕の住んでいるアパートは、7階建て。外壁の配色は薄いグリーン。周りのアパートの外壁も、ピンクやブルー、ホワイトと色とりどりだから、僕の住むアパートは目立たない感じもある。

東欧に見られるような画一的なアパートの並びと違って、西欧の国々のカラーリングだけじゃなく、装飾や意匠も様々だ。細かくみて見ると細部にこだわっているのがよくわかる。

こういうところが、中世から続く造形物の繊細さが形作られてきた

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小説・「塔とパイン」 #17

小説・「塔とパイン」 #17

街のシンボルの教会と教会の前にたたずむ簡易的なストロベリーハウスの間を抜けて、住宅街を歩く。ここら辺一帯は、比較的新しい建物が多い。伝え聞くところによると、戦争のあとに建てられたものが多いからだそうだ。

それでも、十数年は経っている。ヨーロッパの建物は、百年前に建てられた家にそのまま住んでいるというのもあるそうだ。

夕闇が近づく時間帯に差し掛かり、街灯にも火がともった。この街灯も電気が使われる

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