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すべてはここから。〜インタープリテーション〜

インタープリターという決してメジャーではない職業があります。インタープリテーションも、ほとんどの人が聞いたことのない手法だと思います。初対面で「あ〜○○ですね!」みたいな会話が成立しづらい職業とスキル。代表である高瀬の出発点といえます。そしてまた、Willing Hands Onの根幹を支える大事な考え方でもあります。(なお、先に申し上げておくと、ここで話題にあげるインタープリターは一般的な「通訳」の意ではありません)

「インタープリテーションって、なにそれ?」

遡ること、15年前。

山梨県・清里のキープ協会で、環境教育自然体験活動という分野に飛び込んだ新卒の私。植物生態学専攻から紆余曲折あり偶然に行き着いた仕事です。ちなみにキープ協会は、ソフトクリームで有名。ジャージー牛の濃厚なミルクで作ったソフトクリームは、毎夏敷地内に長蛇の行列と渋滞を生み出しています。さて正直、環境教育に関して学術的な説明はあまりできないのですが・・・私個人の解釈としては、環境問題を解決するための教育であり、環境について学ぶことであり、自然環境のなかで行う教育でもあり、最終的に環境問題に対して行動できる人を育てることです。

そのための手法の一つが「インタープリテーション」。それをする人が「インタープリター」。インタープリテーションとは、ざっくり言うならば「その裏にあるメッセージを伝えること」です。例えば、何かの花が咲いていたら、「バラ科の○○です」と名前を教えてあげること以上に、相手に見たり触ったり嗅いだりしてもらって、その植物に関する何かしらの"気づき"を促すというもの。

すみません、なんだか小難しいですね。

実は当時、インタープリテーションについてはまったくの素人で、インタープリテーションのイの字も知らなかった私です。3年仕事をするなかで、インタープリテーションとはつまり何かを体得していったとも言えます。

だから全然知ってもらわなくてもいいんです。でも、実は用語として知らなくても、その考え方は誰にでも大事だと思っています。

ご関心のある方はいろいろ検索してみてくださいね。業界の老舗「自然教育研究センター」の説明もよかったらぜひ。

インタープリテーションとコピーライティング

さて、勘のよい方ならお気づきかもしれません。それが、私が今たずさわる「コピーライティング」と共通する考え方であることに。

コピーライティングはライティングと混同されがちですが・・・少なくともコピーライティングでは、ダイレクトに「買ってください!」「参加してください!」と発するのではなく、お客さんの思いやニーズに沿ったメッセージに変えて発信します。このあたりは一言では説明が難しいのですが、まぁそういうことです。

結局自然について伝える技術が、回り回って今の仕事に生きているのです。

・・・そうはいっても実は当時、専門ではない広報、どうやったらせっかくの企画にお客さんが来てくれるのか分からず試行錯誤でした。そのヒントがすでに身近にあったにも関わらず、です。灯台下暗しと言えばいいのでしょうか。そして、そのことに気づくのはまだしばらく先になります。

自然を伝える考え方を知っていたこと、その考え方がコピーライティングの考え方と共通することに気づいたこと、それが今のWillig Hands Onの大きなバックグラウンドなのです。

だから、すべてはインタープリテーションから始まっています。私にとっては、すべては八ヶ岳の麓からスタートし、今に至っています。

私の古巣「公益財団法人キープ協会」には、いまでもかつてお世話になった上司や先輩、同僚がいるので、年1回くらいは足を運んで、いまなお刺激をもらっています。

現場にいたことを強みに。

コピーライターとして広告代理店での経験がないことに引け目を感じていた時期もありましたが、何よりも自分の原体験から出発し、同じような悩みをもつ方々の役に立てるならばと今では思えるようになりました。

私のお客様にインタープリテーションを知っていていただく必要は全くありません。でも、結局なんでも同じなんですよね。

以前、芸術大学の通信教育部に通っていたことがあります。デザインを少しだけかじったのですが、ある講師の先生と話していた時、「インタープリテーションを知ってるなら、デザインの考え方も同じだよ」と。これで、私の視界が一気に拓けました。今でも覚えています。

伝える時にほんとうに大切にすべきポイントは、いろいろなシーンで似通っているものです。このことをセミナーやワークショップで伝えてゆけたらと思っています。

※写真は、山梨県・清里の公益財団法人キープ協会の牧草地からの景色。八ヶ岳が見事な姿でした。(2018年2月撮影)

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