見出し画像

2021年からしっかり映画を見始めたやつによる2022年2月映画ランキング

  • 2021年から映画をしっかり見始めたやつが、2022年2月に鑑賞した新旧混在の映画の中から5作品を選んで発表します

先月、「2021年から映画をしっかり見始めたやつによる2021年映画ランキング」を行いましたが、それの月次バージョン(ベスト5作品)です。

なお、2月は「人生級」の一本に巡り会えました。良かった。

では、早速発表していきます。

5位 「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」

[あらすじ]
監督・脚本を務めたガイ・リッチーの名を世界に広めたクライム・アクション。ロンドンの下町を舞台に、カードプレーで小金を稼いでいたエディは、仲間たちと一獲千金の賭けに出るが、逆に借金を背負ってしまう。

はい!!はいおもろいーー!!
こんなもん、はいおもろいーーー!!笑
「ジェントルメン」の群像劇要素をもっと強く、かつもっと荒々しくした感じ。
私、分かりました。これ、「ドミノ倒しを眺めて楽しむ感覚」なのな。
ということで、前半はドミノを並べてるパートなので、ここはちょい長く感じる。あと、たいした説明もなく非常に不愛想にドミノを並べていくので、おそらく初見ではついていけない笑
いや、でも、そんなことは良いのよ。だって主題である「並べたドミノが怒涛の勢いで倒れていく様」がめっちゃくちゃ面白いんだから。
いやそれでいて何より、ドミノが倒れ尽くした結果、主人公たちの居る場所が台風の目になっているのが凄く良いんだよな。ものすごドタバタ劇を繰り返しておきながら、ふと気づいてみると、「あれ?俺らなんもない・・・」ってのがむちゃくちゃ面白み!!
あと一点考えさせられたのが、この映画、いうなれば「史上最高にご都合主義」な映画なはずなのに、観終わった感想としてそうは思えない。
これって何なんだろ・・・って思ったときに、「あ、この映画はその『ご都合』自体を楽しんでくれ」っていう映画だからか、と気づいた。
何か別の主題について語りたいときに、手段として作り手の「都合」を優先させた場合「ご都合主義」となるのね。本作はその「都合」の面白さこそを語りたいので、そこのヤな感じがない、ということか。
また、「ジェントルメン」のレビューでも言及したけど、映像作品的・メタ的表現みたいなのを無邪気にやっちゃう感じね。
そしてこの「無邪気さ」ゆえに鼻につかない感じ。もう、センス。ついていきます。

4位 「ドント・ルック・アップ」

[あらすじ]
天文学専攻のランドール・ミンディ博士(演:レオナルド・ディカプリオ)は、落ちこぼれ気味の天文学者。ある日、教え子の大学院生ケイト(演:ジェニファー・ローレンス)とともに地球衝突の恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせるべく奔走することに。仲間の協力も得て、オーリアン大統領(演:メリル・ストリープ)と、彼女の息子であり補佐官のジェイソン(演:ジョナ・ヒル)と対面したり、陽気な司会者ブリー(演:ケイト・ブランシェット)によるテレビ番組出演のチャンスにも恵まれ、熱心に訴えかけますが、相手にしてもらえないばかりか、事態は思わぬ方向へー。果たして2人は手遅れになる前に彗星衝突の危機から地球を救うことが出来るのでしょうか!?

半年後に彗星が地球に衝突することが分かったら「実際には」どうなる?というところを描いた、笑うに笑えないブラックコメディー映画。
いやーなんというか、ほんとによく出来ている。要所要所声出して笑っちゃったんだけど、笑った後に「いや実際こういうこと起きそうだよな、ってか似たようなこと既に起きてるわ・・・」ってゾッとすること多数・・・。
テンポも良いし、物語展開の突飛さと必然性が絶妙にバランスされていて、一本のコメディー映画として純粋に傑作。
俳優陣も良いー。ディカプリオは相変わらず最高だし、他も皆素晴らしい。すんごい面白いシーンが多いので、ディテールについてあれこれ語りたくなる。とりあえず一点、ディカプリオとケイト・ブランシェット演じるキャスターが突如キスしたときのジェニファー・ローレンスのリアクションは笑うたー。
で、終始楽しく観てたんだけど、「いやーそれにしても、半年後に地球が滅びるってわかったら、さすがに人類ももう少しちゃんと動くでしょ笑」と思いながら見ていて、ある瞬間にふと気づいた。
これ、「半年」っていうレンジだから分かりづらいけど、「数十年」単位で見たときに、「現在の人類活動を継続していたら地球は全然サステナブルじゃない」ってのはサイエンティフィックな事実としてあるわけで。
「将来確実に起きる破滅を知りながら、現状さして危機感を持たず、目の前の些末な事象に一喜一憂している」という点で、この映画の登場人物も自分も、全く同じじゃん、って気づいて結構衝撃受けました。
こういう深い部分での内省に繋がるところが、本作を人と語らいたくなる所以だろうなー。自分だとこうする!とかいやそんなこと実際出来るわけなくね!?とか言い合いたい・・・。
主人公陣営を善性に割り切らなかったのも良い!だよな。そんな単純ではないよな。問題はもっと根深いんだよな。The Choice Is Yours…
ということで、めちゃくちゃ面白かった。エンドクレジット後のメリル・ストリープのオチも最高!
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」と言い、最近のネトフリ・オリジナル映画、やりよるー。

3位 「サマーウォーズ」

[あらすじ]
『時をかける少女』の細田守監督が手掛ける長編オリジナルアニメーション。謎の人工知能“ラブマシーン”の暴走によって生じた世界の危機を救うため、インターネット上の仮想空間「OZ」と現実世界、両方の世界で奮闘する。

「時をかける少女」以来の細田守監督作品鑑賞2作目。
ものすごく面白かったです!テーマも今はやりのメタバースだし。
まず、お話の筋として真っ向から面白いよね。鑑賞者側が「アガる」要素を一つずつ丁寧に押さえてシナリオ化していっているような。終盤に向けてぐいぐい加速して、問題が解決したかと思えばまだ続いていて、でもそれに対して新たなソリューションで・・・ってうおおお!やったーー!勝った~~!みたいな。完全に乗せられているな。。
いやね、正直、キャラクターの演出の仕方とか、工夫の余地はたくさんあると思うの。もっと大勢出た登場人物の一人一人の弱みや強みを伏線的に描き出しておいて、敵との闘いの中で、メタバース上ではその弱みが強みに転嫁するような展開っていくらでも描き出せると思うし、それにより作品のカタルシスは大幅にアップすると思う。
ただ、本作、なんかパワーと勢いが凄まじくて、もうそんなことどうでも良く感じてくるのよね。私、映画におけるパワーと勢いってホント大事な要素だなーと、最近よく思うものです。
あと、元々アニメ作品をほとんど見て来なかったので、最近意識的にちょこちょこ観るようにしてるんだけど、アニメ的表現ってすごいレベルまで来てるのねってよく思います。ベタだけど、本作も、高いレベルのアニメ映像を見ているだけで楽しい、っていう要素が結構でかい。そういうところもこの作品のパワーと勢いに繋がっている気がする。

2位 「街の上で」

[あらすじ]
下北沢の古着屋で働いている荒川青。青は基本的にひとりで行動している。たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったり。口数が多くもなく、少なくもなく。ただ生活圏は異常に狭いし、行動範囲も下北沢を出ない。事足りてしまうから。そんな青の日常生活に、ふと訪れる「自主映画への出演依頼」という非日常、また、いざ出演することにするまでの流れと、出てみたものの、それで何か変わったのかわからない数日間、またその過程で青が出会う女性たちを描いた物語。

おお。。なんかめっちゃ良かった。。
若葉竜也(そして彼が演じる荒川青)が狂おしいほど好きになる作品。
(っていうか登場人物全員好きになっちゃうけど)
これまでの彼に対する私の印象は、「葛城事件」で演じた、もう本当にそういうやつにしか見えない最凶最悪の人間のだった。それが、本作の彼、見た目とかはそのときとあまり変わってないし、コミュニケーションが不器用そうな感じとかも共通してるけど、演技一つで最終的な仕上がりがこうもキュートになるのかという驚き。すごいよなぁ役者って。
あとこの作品、コント的な意味合いで、最初から最後までフラットに面白い。オフビートなコミュニケーションのズレ系、又はあるある系の笑いとしてかなりちゃんと成立していて、結構普通に笑っちゃってました。
あと登場人物みんな良いんだけど、特に女性陣が素晴らしい。みんな可愛い。この可愛さも、女優さんとして綺麗!っていうわけじゃなく、「めちゃくちゃリアル可愛い」笑。ほんと、「そこら辺に普通にいそうな雰囲気の中で最高に可愛い」という笑。伝わるんかいな。
特に関西弁の城定イハを演じた中田青渚氏。この子ものすご可愛いんだけど、それだけじゃなく、演技エグくないか?あの自分の部屋での長回しシーン、もう「演技」を見てるってことを忘れちゃってたよ。普通~~の、日常にある会話じゃん。痺れるわ。
一点、主人公「青」の彼女関連のストーリー展開だけはさすがにご都合主義的な感じが拭えないけど、もうなんかみんな愛しちゃってるから良いや笑
終わり方も、「ええええこんな甘い感じでいいのーー!!??」ってなったけど、それもやっぱ良いんです。ええ、良いんです。結果して、今、余韻として最高ですし。
なんだかかなり気持ちを持っていかれてしまいました。今泉力哉監督作品全く見て来なかったので、これからディグっていきます。

1位 「燃ゆる女の肖像」

[あらすじ]
画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた──。

久々に人生級の傑作に出会ってしまった。
ここまで、混じり気なしの「愛」について描き出した映画ってあるだろうか。とにかく「愛」という論点以外の無駄な要素を排し、真っ向から突きつけて来るような映画だった。
本作を見ていて深く考えさせられたのが、「面白い映画ってなんなんだろう」ということ。本作、終始静かなトーンで派手な演出があるわけでもなく、当然ながら物語上の大きなアクションが起こるような作品でもないんだけど、全く退屈しないんだよな。映画が始まって最初から最後までずっと面白い。目まぐるしい展開を見せていても退屈な映画っていうのはたくさんあって、ここは何か考えるきっかけになりました。
やっぱり、それぞれのシーンに言語外(映像・音楽・演技・演出等)の意味を持たせることで、我々が常にその映画の画面から意味を読み取り、考えを巡らせるようにすること、そしてそれに対する工夫が隅々までいきわたっている映画を、「面白い映画」と定義づけることが出来るのかもしれない。
そういう意味では、本作、上記の言語外の要素がすべて素晴らしい。っていうことはやはり映画的表現が秀逸、ということになるんだけど、特に素晴らしいのはまず映像。
もう、全カット美しい。家の中も、自然も、その中に「在る」人間も。
全カット美しい映画。それは映画として正義でしょう。
あと役者陣も良い。「演技」とは呼べないような、なんだこの存在の説得力。顔つきから佇まいから、「ただ当たり前にいる」というような存在感。画家の主人公の、アンドリュー・ガーフィールド × エマ・ワトソン のような意思の強い顔つきとかまで含めて、完全体。
演出で言うと、とにかく「視線」を意識させるカット割りが印象的。自分の視点が映像と重なり、それにより非常に意識させられる「見る」「見られる」の関係性
こう考えると、やはり、主題について、「映画的」「映画ならでは」の語り方で丁寧に丁寧に提示してくる、というところがこの作品の魅力を形作っているような気がする。
以上、素晴らしい作品でした。最終シーンの解釈等も分かれると思うので、誰かと一緒に見るのも良いと思う。

【おまけ:次点(6~10位)】
・アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン
・ワイルドスピードMAX
・パワー・オブ・ザ・ドッグ
・ドクター・ストレンジ
・ジョン・ウィック:パラベラム

以上です。
3月もお楽しみに

↓ 以下、1月のランキングです!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?