「予測不可能」な社会に挑むフレームワーク「OODAループ」とは。
社会システムが行動化・複雑化した結果、未来の予測困難性が高まっている社会において、大切となるフレームワーク「OODAループ」についてご紹介します。
こんにちは。かすとりです。
以前、「つぶしが効く社会認識」として「VUCA(ブーカ)」についてご説明しました。
上の投稿を読んで頂かなくとも構いません。
結論としては以下のとおりです。
未来の予測困難性が高まっている、ということは、もっと言うと、「計画」を立てても徒労に終わる世界になって来ている、ということです。
(だって、計画を立てたところで、計画通りにいかないことがほとんどなんですから)
今回は、そのような世界で何かに取り組むときに、大切となって来るフレームワーク「OODAループ」についてご紹介したいと思います。
OODAループ
「OODA(ウーダ)ループ」の説明に移る前に、まずは対比出来るものとして「PDCAサイクル」についてご説明したいと思います。
組織人ならおそらくお馴染みのPDCAサイクル。以下の要素で構成されています。
このサイクルを回すことで、ある物事を着実に改善していくことが出来る、というフレームワークで、いまだに多くの組織体の業務計画等で採用されているものだと思います。
ただ、今はVUCAの時代です。
このPDCAの「P」が立てられません。計画を形だけ作ることは出来るかもしれませんが、基本的にその通りになんか行きません。
この「PDCAサイクル」は、「人間は、世界との関わりにおいて、世界を予測できる(計画を立てられる)存在だ」という前提にたっているところが、このVUCAの時代と乖離し始めている要因です。
繰り返しになりますが、このVUCAの時代においては、「予測する」「計画を立てる」ということが本質的にできないのです。
ですので、その「予測困難性までも内包したフレームワーク」が必要となります。
そのフレームワークが、OODAループです。
OODAループとは、米軍で提唱された、戦略の意思決定・実行に関する一般理論です。
常に変化する戦況に対応するために構築された理論であり、そういう意味では、予測が出来ないVUCAの時代に適した理論と言えそうです。
OODAループを構成する要素は以下のとおりであり、OODAループの神髄は、この各要素を「高速で都度都度」回転させていくことです。
目先の予測が困難な状況下において、我々がまずすべきこと。それは、「観察(Observe)」です。外界の状況を冷静に把握し、必要な情報を素早く集めます。この「観察」とは、一般的な科学アプローチにおいてもまず最初に据えられる重要な行為です。
冷静に、五感をフル活用して、必要なデータを集める。先が読めない大変な状況下であるからこそ、まずは判断に必要なデータ集めから始めるわけですね。
その後、「観察」により集めた情報をもとに次の行動の「方向づけ(Orient)」を行います。観察により集めた情報というのは、各々、個別具
体のものです。これを抽象化して意味づけを行うことで、意思決定に使える判断材料とする必要があります。
ここは少し分かりにくいのですが、集めた情報をもとに「仮説を立てる」というように捉えると分かりやすいかもしれませんね。
その後、その「方向づけ」に基づいて、速やかに「意思決定(Decide)」し、そしてすぐ「実行(Act)」に移します。
このプロセスを、状況に変化がある都度、高速で、かつ絶え間なく行っていく。この意思決定・実行理論が、「OODAループ」なのです。
それにより、予測が出来ない社会においてもその瞬間で最良の答えが出せますし、少なくとも、「先が見えないから身動きが取れない」という状況は避けることが出来ます。
そう、一番良くないのは、先が見えないからと言って何も動かないことです。
以前の投稿で、動的モデルとしての現代社会に対する認識として、「現代社会は、常に変化し続けており、私たちもそれに合わせて動き続けなければすぐに死んでしまう社会だ」という理解をお示ししました。
そういう観点では、やはりこのOODAループは、常に高速で変化し続ける現代社会において、重要なフレームワークだと言えそうです。
さて、このVUCAな社会において大切となる視点やアプローチは、このOODAループのほ他にも色々なものがあります。
が、本日は長くなってしまいましたので、それはまた稿を改めて言語化したいと思います。
なお、今回の内容も、noteを活用したダイナミック・インテリジェンス・システム「知性の曼荼羅」の一環です。
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