2021年から映画をしっかり見始めたやつによる2021年映画ランキング
2021年から映画をしっかり見始めたやつが、2021年に鑑賞した新旧混在の約230本の映画の中から10作品を選んで発表します
こんにちは。かすとりです。
私、昨年(2021年)の元旦に「俺、音楽とか本とかのカルチャーにはまぁまぁついていけるけど、映画は全くだな。。そうだ。今年は映画をたくさん観る年にしよう!」と急に思い立ち、結局、1年間で約230本の映画を鑑賞しました。
感想は全作Filmarksに投稿していて、ありがたいことに、1年を過ぎた現在、約980人の方にフォロー頂いております。
(もう少しで1,000人です!ぜひフォローをお願いします!)
今回、2021年に観た映画の中から、良かった映画トップ10をお知らせしたいと思います。
なお、作品は新旧混在で、かつ、映画館に行く時間がなかなかとれないので、新作についてはレンタル解禁直後に観るような鑑賞スタイルです。
それではご覧ください。
○ 10位から6位
10位 「デスプルーフ in グラインドハウス」
今回確信したのは、タランティーノ監督、映画の神からの寵愛のされ方半端じゃない。
こんなプロットの映画、凡百の監督が撮ったら唾吐きかけられるやつよ。
それがなんだこの「うおー!映画の面白さってこれなのよー!こんな体験させてくれてありがとー!」ってなる感じは!言葉が追いついて来ないのよ。
ダラダラ会話のとこはさすがに少しだれるかなーと思ってたけど、そこをタメにしてからのクライマックス!!
多くの映画を見る中でごく稀に体験できる、すご過ぎて笑いがこぼれる感覚。ものすご敬意を込めた「やべーこの監督馬鹿だ笑」っていう。
そこからの「End」表示のキレ!!まじで喝采。ありがとう、タランティーノ!!
9位 「透明人間」
純粋にめっちゃくちゃ面白かった!(なんかタイトルで損している感。)
全体通して、「透明人間」の存在を予感させる演出が巧み過ぎる。
何もない空間を「違和感ある間(ま)で」じーーっと映してるとことか、ものすごどきどきする。「何か画面に変化があるんだろうな」と思ってこちらも食い入るように画面を見つめるも、特に何もなかったり。
ここら辺の「演出を通じたクリエイター側と観客側の駆け引き」みたいなところ、すごく新鮮で楽しかったです。
次に脚本。これ、ほぼほぼ完璧では。中盤にかけての主人公の追い詰められ方も、直接的な攻撃じゃなく、主人公を社会的に殺そうとしてくるの、ほんとイヤーな感じでたまらん。
敵役も「まじで最っ低な野郎だな」と思わせてくれるからこその、ラストのカタルシス!相手の得意技を利用して・・・って展開が胸熱すぎる。着地点として想像の遥か斜め上を行ってくれました。
様々な伏線貼りとその回収の手際もスマート。超絶面白作品。
8位 「イコライザー」
最高!!めちゃくちゃ面白い!!
ナイスハードボイルド!ナイスバイオレンス!ナイス勧善懲悪!
「過去のアウトローな所業を悔い改めて平凡な生活に戻ろうと努力している主人公が、ひょんなことから、再度アウトローな世界に引き戻され、苦悩しながらも無双する」系作品なんだけど、いやいや、本作の主人公、その系譜に収まらないところがあります。
だって、アウトローな世界に戻るにあたり確かに利他的なきっかけが設定されてるものの、その後の所業は明らかに(文字通り)オーバーキルだし、もはや苦悩どころか逡巡すら感じてないもん。「絶対いつか昔の世界に戻るきっかけ探ってただけだろ!笑」と突っ込みたくなること受け合い。
ただ、敵役を「完全悪」に設定していること、主人公の圧倒的な強さ、主人公の「その場にあるものを活用して殺す」という殺り口等から醸成される「カラッと感」「スカッと感」が爽快過ぎて、そこらへんはもはや何も気にならなくなります。(最後のバトルなんかもはやホームアローン!)
終わり方もじめじめしてなくて良い。最高。
7位 「地獄でなぜ悪い」
すげーもんを見せつけられた!!すげーもんを見せつけられたぞー!!
ってなりました。見終わった後。なんつうものを撮るんだ園子音。
終盤のクライマックスの撮影シーンの、あの空気感はなんだろう。もちろん演出上盛り上げてるのは当然なんだけど、それだけじゃ説明できない何かがある。
何ていうか、「映画が好き」なんだな。登場人物もそうだし、それよりもまず、多分この映画に携わっている人全員が。
小さな波紋同士がぶつかり合うと波の高さが急激に増すように、役者、スタッフ、監督の「やべー!今やばいもん撮れてるぜー!うおー!映画が好きだーー!!」っていう情動が、映画の中(物語側)と外(撮影側)でシンクロして共鳴して、あり得ない次元の熱量にまで高まってしまった、というような感じ。そしてそれが真空パックで撮れてしまったという感じ。
だからこその、「物語の中と外とか、もはや関係なくないか?笑」という意味でのラストカットなのではないかと思料。ちょっともう、震えるレベルで面白かった。最高。
6位 「セッション」
好き嫌いが別れる映画だと思う。そして私には、非常に重く響いた。
表面的に見ると「音楽スポコン映画」だが、この映画、ストーリーが展開すればするほど、我々の「この後はこうなるはずだ」という予測を裏切ってくる。
特にクライマックスのショーのシーン。このショーの間だけで、我々は何度出し抜かれるのか。そしてそれにより何度も覆いかぶさってくるカタルシス。カット割りの妙もあり、何度も何度も頭を殴られるような衝撃。
そしてその流れから突如訪れる幕引き。さ、最高だ。
安易に勧善懲悪的なロジックに落とし込まなかった構成にも拍手を送りたい。そのことによって、アートと狂気の境のマージナルな部分について、自ずと思いを馳せることになる、そんな作品。
○ 5位から1位
5位 「野火」
凄まじい作品。
まず、圧倒されるのはそのリアル感。それも、映像の美しさとか怒涛の迫力描写によるリアリズムではない。むしろ逆。
映像とか、何ならすごいチープなのよ。今のiPhoneなら近いレベルで撮影出来そうな感じ。でも、だからこそ、「自分たちが友達から送られて来る動画を見るような感覚で、戦争を見る」という壮絶な体験がまず出来る。
そしてもう一点、本作は広い意味では戦争映画だけど、アクションで魅せる訳でも、人の死の悲哀で魅せる訳でもない。ただただ、即物的な、身も蓋もない状況が、目の前で展開されるのみ。
書いてて分かったが、やはりこの映画のキーワードは「身も蓋も無さ」だ。「人間」の身も蓋も無さ。「命」の身も蓋も無さ。社会がお膳立てしてる「人の命は何よりも尊い」っていう決め事なんか欺瞞だと思わないか?というテーゼを、身も蓋もないリアリズムで突き付けて来る。
人間なんて所詮ただの血と肉の入れ物だ。その証拠に、皮を破ってやったらほら、血と肉を撒き散らして動かなくなるだけじゃないか。そんなことを言われているように感じた。
それにしても凄い個性だ。塚本晋也監督。
4位 「ランボー 最後の戦場」
すんげえ。。。すんげえ作品。。。
私、これまで少しずつランボー1→2→3と見進めて来ましたが、それはこの4が「暴力」とガチで向き合った凄まじい作品だという噂を聞いたためでした。
なのである意味期待値MAXで鑑賞したんですが、その期待値を遥かに超えたというか、その期待をそのまま映像で網膜にぶち込まれたらこんな衝撃受けるんだ・・・と思い知らされたという感じ。
一言で言うと、「砂糖でコーティングされていない戦争(内紛)の暴力」をたっぷりと見せつけられる1時間半。
銃による着弾効果や刺傷効果などのリアル感(ゴア感)が凄まじいのと、軍事政権による民衆の虐殺や果てはレイプの様子までがたっぷりと、かつ克明に描かれる。こういう説明を加えると、そういうキワ物描写で楽しませようとしてる作品と誤解を招きそうだが、そこにエンタメとして楽しませようとするノリがゼロなのよ・・・。ものすげー冷徹な視座の下淡々と描写される感じ。
「あなたたち、戦争映画とか暴力映画とか見て盛り上がってますけども、実際の人間て、暴力の結果、こんな風に身体が飛散したり四肢が裂断されたりするんだよね。そこら辺、どんな風に考えてます?」と目を見て問われているような不気味さがある。
そういう意味で、本作は、これまでのランボーシリーズと完全に別作品として認識したほうが良い。監督自体が本作よりスタローン自身に変わったこともあってか、これまでの「ランボーの苦悩」を描くというテーマから、「暴力のリアル及び悲惨さ」(文字にすると陳腐化するが)というテーマに重たく舵を切っているように感じました。
そのため、すげー数の人が死んでいるけど、大きなカタルシスが得られるような作品ではない。どーんと重たく胸にのしかかるような作品だった。
3位 「愛のむき出し」
ずっと見たかったんだけど、4時間という長さに恐れをなしてズルズル引っ張っていたところ、Amazon primeの見放題プランの中に見つけてしまった。
見終わった。何だこれは。
最終シーンの顔面パンチを入れられたような衝撃と、身体の底から立ち上ってくる震えるような感動。そういう意味では、究極の映画「体験」だと思う。
そして、素晴らしい映画を見終わった後特有の、登場人物たちが今もどこかで生きているような感覚。観賞後、かなり「あてられて」しまった。
4時間という時間、私は常にのめり込めていたわけではなく、途中冗長に感じるところもあったが、この長さだからこその説得力とリアリティ、ストーリー上の必然性が、最終シーンの感動に繋がっていることは間違いない。
見て良かった。心からそう思う映画。
2位 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
うおーーーーー!!!!!!
すげえもんみたーーーーーー!!!!
「何を今更」と言うなかれ!数年前に一度見たのだが、体調不良で意識朦朧とする中、横になってスマホ画面で見ていたため、なんと感想は「特になし」でした。今回満を持して改めて鑑賞。
久々に、凄すぎて爆笑してしまうという体験をしました・・・。ちょっとあれですね。明らかに「人生級」の作品ですね。
悔しいのは、言語化の鬼と名高い私なんだけど、この作品、とにかく言語化できないのよね。言葉に追いつかれない速度で、文字通り、2時間走り続けてるので。
ストーリーがないという評も目にするけど、ないというよりも、映画的な構造を極限までシンプルにすることで、「アクション描写が直接そのままストーリーを構成し続ける」という頭のおかしい世界に到達している。
しかも。しかも。めちゃくちゃ勢いだけの映画のフリをしながら、実はその勢い自体も、一つ一つ、演出やデザインなどのディテールを丁寧に丁寧に積み重ねることで生みだしているところが、めちゃくちゃ愛おしいのである。「神は細部に宿る」を体現してやがるぜ。。
そしてもう登場人物は言うに及ばず、出てくる車から小物からガジェットから、なんとまぁアートなことよ。人食い男爵とか太鼓アホほど積んでる車とか登り棒びよーんって襲ってくるやつとか!!お前ら!!最高かよ!!
あぁなんてすごいんだ。これを撮ったのが70超えたお爺さんってのものね。何か自分ももっと頑張ろうと思いました笑。
映画史上の記録にも、そして皆の記憶にも、確実に残っていく作品でしょう。
1位 「ドライヴ」
自分の中の映画史を塗り替える作品に出会ってしまったかもしれない。
本作品、お話としては、表の顔はカースタントマン、裏の顔は強盗の逃し屋である主人公が、愛する女性を守るため、平穏な生活を望みながらも、裏の社会に闘いを挑んでいく、というシンプルなものなんだけど。
見終わった後のこの感傷は何だろうか。私、自分の感情を言語化することはそれなりに得意なんだけど、これに関しては全く言語化出来ない。。
凄いところはいっぱい列挙出来る。
最高に渋くてカッコ良い、新しいハードボイルドの形を提示する主人公像。全てのシーンに意志が詰まっているかのように完璧に仕立てられた映像美。北野映画のように発作的に沸点に達する暴力描写。切なさとポジティブさの双方を呼び起こす80年代風エレクトロミュージックの耽美。
しかし、これらを掛け算しても、観賞後に胸を締め付けてくるこの感情には繋がらない気がするんだ。おそらく、ここには監督も全ては計算出来ていない何らかのマジックが作用しているんじゃないか。
と言っても誤解して欲しくないのが、この作品、決して小難しいモノではない。もう最初から最後までずっと、エンタメ作品として面白い。それでいて観賞後のこの感傷。何なんだこれは。
これからも、折々にこの作品を見返すことになると思う。
以上。2021年個人的映画ランキングでした。
いやー、いろいろな映画を見て、去年は楽しかったですね。今のところ、今年も同じペースで映画を見続けています。
今後も、鑑賞した映画について月ごとにおススメ作品などを投稿していきたいと思いますので、映画好きの方、ぜひ仲良くしてください!
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