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貴乃花引退会見を見て、まだ傍観者でいられるのか?

貴乃花親方の突然の引退の報。びっくりしました。

こちらに貴乃花親方会見の全文が載っていますのでご覧ください。

簡単に説明すると、例の貴ノ岩傷害事件の真実に関する告発状を貴乃花親方が提出。その後部屋の弟子の暴力問題があり3月28日付で取り下げた。親方は降格処分を受け、一兵卒としてゼロからスタートするとした。しかし、8月、協会が依頼した外部弁護士から「告発状は事実無根」という書面が届く。親方は書面で告発状の内容は事実無根でないと説明したが、その後、認めないと親方を廃業せざるを得ないと有形、無形の要請を受けた。さらに協会理事会において、すべての親方は一門のどこかに所属しないといけない、しないと部屋を持つことができないとの決定がなされた。いずれかの一門に入る条件として、告発の理由は事実無根の内容に基づくものと認めるよう、言われ続けた。

…ということです。

貴乃花親方は言葉を選んで説明していましたが、要するに、「言う通りにしねえとお前廃業させるぞ」という協会の脅迫です。明らかに。

「告発状は事実無根」と認め、そのまま親方として残る道もあったでしょうが、親方の生き方がそれを許さなかった。弟子やスタッフの人生を最優先に考えたあげくの今回の引退の決断だったんでしょう。

これは、もう完全に、組織による個人に対する悪質かつ陰湿ないじめに他ならない。

集団に迎合しない個人を、集団の力で脅し、精神的に追い詰め、最終的にその心まで殺してトドメを刺す。相撲協会がやったことはそういうことです。それが、公益法人のやることでしょうか?

こんなものが許される団体や伝統など今すぐ消えてなくなれと思う。

相撲協会に限らず、こうした事例は一般社会にも横行している。こうした集団に反する単独行動を許さずに排除する行動はひとつのソロハラです。ソロハラとは、独身男女に対する「結婚しなのい?」という配偶関係に関するものだけではなく、組織における単独行動を許さないという部分も含みます。そのあたりについてはこちらの記事に書きました。

組織としてのリスク管理のために、個人の身勝手な行動は許さないというのはわかります。そうじゃないと組織は機能しませんから。だけど、それと今回の一連の貴乃花のやったことは違うもの。むしろ隠ぺいしようとしたのは協会側であって、貴乃花は正義の内部告発者だ。

そして、組織を守るための行動と「いじめ」とも大きく違うはずだ。大の大人が、なんでその区別がつかないのか?子どものいじめがなくならないのはそういうところだ。

今まで貴乃花親方と行動を共にしてきた寺尾とかの親方衆はこれでいいの?あなたたちは傍観者ツラしているかもしれないけど、いじめにおいて傍観者は加害者と同罪だ。

貴乃花親方の精神状態が心配です。


割と真面目に思いますが、貴乃花親方は相撲協会とは別に、新相撲連盟でも作ったらどうかと思います。

それも女相撲で。

変な話「相撲である必要もなくて「SUMOw」でいいじゃない。最後のWはWomanのw。ワールドワイドに展開して、世界的な競技にしましょうよ。

そういえば、「相撲の土俵に女性をあげるな」とかで一時問題になってましたね。「女相撲は江戸時代から明治の初期にかけてあった」という話が出ると、「あれは見世物としての興業。サーカスみたいなものであって神事としての相撲とは違う」と反論するジジイもいました。

神事ねえ。

あのね…、そもそも、日本の歴史上、最初の相撲というのは、女相撲だったんですよ。

日本書紀によると、当時決して刃先を誤らない工匠の木工にして黒縄職人の猪名部真根が「あっしはどんなことがあってもミスしません」という言葉にむかついた雄略天皇が、采女を呼び集めて、服を脱いで褌にさせ相撲を取らせたことがはじめ。それを見た猪名部真根が思わず刃先を誤ってしまう。雄略天皇はそれを見て、「でかい口叩きやがって、死ね」と猪名部真根を死罪にしようとしてったいう…なんともゲスい話です(結局、いろんな人が取り持ってくれて職人は赦免された)。

ちなみに、雄略天皇とは、政軍共に優れた能力を発揮してヤマト王権の力を拡大した英雄ではあるが、気性の激しい暴君的な所業も多く見られた。肉親すら容赦なく殺害し、反抗的な豪族を徹底的に誅伐するなど、自らの権勢のためには苛烈な行いも躊躇しない暴君だったと言われています。

イノシシも自ら狩ってしまう肉体派。

神事とか堅苦しいことはどうでもよくて、そもそも相撲なんてそんなもんでいいんじゃないの?

伝統とか言いながら、こんな非人道的なことをやるくらいなら、雄略天皇のした女相撲の方がよっぽど人間味がある。


まあ、女相撲はともかくとして、もし貴乃花が新相撲連盟をクラファンで立ち上げたら、応援する人間でありたい。そうなった時に、雪崩をうつように、親方衆が一斉に相撲協会に退職届を出し、心ある力士も共感する日本人であってほしい。このままの相撲協会なんて消えてなくなればいい。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。