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女性活躍社会が進むと、女性の自殺率があがりやしないかという心配の種

新人教員 10年で少なくとも20人が自殺というNHKのニュースを見て、ちょっと気になった。具体的な数字が提示されていないので、この記事だけでは本当に新人教員の自殺が増えたのかどうかが判断できません。

なので、警察庁資料から平成19-27年までの9年間の教員自殺数を調べてみました。

年平均123人でした。

彼に、それを10年間分として10年で1230人。うち20人が新人教員として20/1230=1.6%。この構成比って多いのかな?

気になるととことん調べたくなるので、分母の職業別人口を2012年就業構造基本調査から抜き出して、「職業別の自殺率」を調べてみた。(分子は2015年の警察庁の自殺白書の数値を使用)

まず、総数で見ると、人口10万人当たりの自殺率は男性27.0、女性11.3です。長期推移で見ると随分と自殺は減っているのがわかります。

で、問題の教員の自殺率ですが、男10.1、女4.8です。決して教員の自殺率が高いわけじゃありません。もちろん、自殺率が高いのは無職の人たちなので一概に比較はできませんが…。

ちなみに、教員などを含む雇用有業者全体の自殺率は、男17.6、女4.6です。有業者の中でも教員の自殺が高いわけではないんです。

では、なんの職業が一番自殺率が高いんでしょうか?

グラフ化しました。

こうして見ると、雇用者平均を超えているのは、「医療保険従事者」と「管理的職業」の人たち。

昔から「医者の自殺率は高い」とは言われていますが、人の命を救う職業の人たちが自分の命は救えないというのが皮肉です。

次に、多いのが「管理的職業」です。要するに、企業・団体の役員や管理職の人たちです。そして、注目したいのは、ここの女性の数値です。大体、女性の自殺率は全体的に低いんですが、この「管理的職業」の女性の自殺率は13.9とぬきんでて高い。


これはどういうことでしょう?

以前、なぜ男の自殺が多いのか、という記事をあげましたが、自殺には「男性性」が影響していると思うわけです。



つまり、管理的職業につく女性というというのは、ある意味「男社会」である企業や団体の中で頭角を表した人だから、当然「男性っぽい」面を持っているわけです。本人は無意識でも、そういう面がないと多分やっていけないと思うわけです。

ということは、女性でありながら「男的な考え方」をし、「男的価値観」を理解するようになり、ひいては、「男とは○○すべき」(男じゃないですけど…)という観念に支配されがちなんでしょう。

だから、管理的職業の女性の自殺率が高い。女性ではありながら、自殺に至る思考は限りなく男だったからと言えるのでは?



「自衛官」「警察官」「消防士」なども、女性の自衛官とか警察官の自殺率はちょっと高い。こうした職業も「男的」だと思う。

女性が女性らしく女性的に生きれば、自殺は少ないはずなんです。男もまた、女性性というものを頭の中に盛り込むことができれば、自殺が少なくなるんじゃないかと思ったりします。


逆に、そう考えると、今政府が進めている「女性活躍社会」とか「女性の管理職を増やしましょう」とかって、もしかしたら女性にとっては死への階段を上ることになりゃあしないか、と。

とはいえ、女性の社会進出を否定はしません。男だから、女だから、という考えも僕はしません。男も女も所詮、自分の中に両性を兼ね備えているものなんです。本人は気が付いていないだけで。

だからこそ、「自殺」の二文字が頭に浮かんだ時は、極力「男らしさ」とかそういうものを排除する方向で暮らした方がいいんじゃないかと思うわけです。「女々しい」という言葉があります。「女々しい」とは「女らしい」という意味ではなく、「男らしくない」という意味です。

上等じゃないですか。死ぬくらいなら女々しく生きればいいんです。泣きたいだけ泣けばいいし、愚痴りたいだけ愚痴ればいい。そういう「男らしさ」からの脱却を時に自らに課して実践していくことが、自殺を思いとどまる一歩になるんじゃないでしょうか。

男らしく生きようとして死んじゃったら本末転倒です。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。