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ジェンダーギャップについて考える

#アドベントカレンダー 「読書と勉強のクリスマス🎄」 参加 note


 私は、自分のことを「フェミニスト」と宣言したことはない。もともとフェミニズムの定義をよく知らなかったのもあるし、シンボル的な言葉はその人の理解度によって認識がみんな違うような気がするから言い控えている。

 フェミニズム(英: feminism)とは、女性解放思想、およびこの思想に基づく社会運動の総称であり、政治制度、文化慣習、社会動向などのもとに生じる性別による格差を明るみにし、性差別に影響されず万人が平等な権利を行使できる社会の実現を目的とする思想・運動である。女権拡張主義、男女同権主義などと訳されることもある。(ウィキペディアより)

 Twitterなどでは「フェミニスト」に対して偏見や嫌悪感を持っている人が多く存在する。その人たちの発言を見ていると、果たして「フェミニズム」や「フェミニスト」を正しく理解しているのか疑問になる。大半は言っていることの文脈を理解せずに発言しているように思う。

 自分を一つのカテゴリーにはめ込みたくないという思いがある。○○主義だと宣言してしまった時点でその言葉に縛られてしまう気がするからだ。自分が知らないことは山のようにあるし、目の前のものが認識できないことがあるかもしれない。より良くしていくためには、認識外のこと(反対の意見)も一旦は自分に取り入れる必要があると考えている。

 フェミニズムは私を形成している一部だと理解している。理想の社会を実現するために必要な問題意識の一つなのだ。


■私を支えている「揺るがない根拠」

 そんな私でも、譲れない想いがある。「すべての人が安心して暮らせる世の中」であってほしい。誰かが理不尽な思いをしていることを棚に上げて、自分が本当の意味でのしあわせを感じることはできないと思うからだ。

 「そんな理想論はこの世界では実現できっこない」という声も聞こえてきそうだ。しかし、その理想を目指して働きかけることはできる。声を出すことはできる。これから同じ想いを持つ人を増やすこともできる。

 「時間はかかるが、決して不可能ではない」想いとして、いつの間にか「誰にも譲れない理想」として私を形成する芯のようなものとなっている。

 かっこいいことを述べているが、実はもっと利己的な考え方から発生している。子供や、家族、少なくとも自分とかかわりのある人がしあわせを感じて生きてほしい。そのためには生活の安定が必要だし、平和じゃなきゃいけないし、世界の貧困や温暖化は間違いなく生活に影響を及ぼすし・・・ 要するに全部盛り。欲張りである。(神社などにお参りする機会があった時の願い事は、おのずと世界平和みたいなことになってしまうことは恥ずかしいのでここだけの秘密)


■理想実現のために

①すべての人に人権が保障されている。
②すべての差別を許さない。
③人権を根こそぎ破壊するあらゆる戦争を絶対に認めない。
 

 ①と②は当然のこと。戦争はの人権保障の対極に位置する。こうやって考えると私の理想は日本国憲法が追い求める理想と一致する部分がたくさんある。(以下のリンクは解説付きだったので参考までに貼っておく)


■認知されない問題意識 避けて通れない社会的視点

 少し脱線したかもしれないが、私が感じている性差(ジェンダー)感とは、これらの理想の上にあることは言うまでもない。

 最近は理想実現において性差別問題が割と大きな課題だと気が付いた。多くの現実を目の当たりにし、様々な問題を突き詰めて考えると、個人の問題だけではなく社会の仕組みとその意識に大きな課題があることが理解できる。しかし、そのことに気づいていない人、自分が上位の存在だと認識している人、課題だと感じていない人にはなかなか伝わらない。

 その理由を含め、最近知り得た記事の紹介を織り交ぜながら考えを整理したい。


■性被害を取り巻く現状

 「男らしさ」「女らしさ」の押し付け、賃金格差、権利の格差、性差別、性暴力、人格の否定などなど、男女の違い(性差)に纏わる問題は様々だ。それらは共通して人権の問題とも深くつながっていると思う。いまだに男性の権利優先社会であり、そのために女性の権利がないがしろにされていることが続いている。様々な場面で女性は男性を裏で支えるべきものという意識は根強い。多くの女性は意識せずとも日常的にその抑圧にさらされているのだと感じる。

 ジェンダーギャップから生まれる性犯罪に関するニュースは毎日のように報道されている。性被害を訴えれば逆にセカンドレイプ同様の誹謗中傷を受けてしまう。伊藤詩織さんへの攻撃はその典型だ。また、数日前にも草津町議会の新井町議が性被害を訴えたことをきっかけに、結果としてリコール運動により失職するという事態が生まれている。声を上げることで逆に非難される構図というのは、やはり社会全体が女性の権利を認められないという未発達の状態だということの表れだと感じる。

 コペアヤ先生の12月7日のnote中ごろ以降に私が言いたいことがほぼ全部盛りで書かれているのでぜひご覧いただきたい。


■差別を訴える者と批判する者との認識ギャップ

 性差別に限らず、差別を訴える側とその差別を認めない側の議論が噛み合わないことがしばしばあり、そのニュースを見るたびにもどかしさと疑問を感じていた。

 最近興味深い記事に出会えたので紹介する。

 性差別に声を上げる人に対して反論する政治家の論理は「今の世の中に差別は存在しない」ということらしい。

 宇田川しい さんによる大阪国際大学非常勤講師で哲学者の能川元一さんへのインタビュー。  


右派が考える平等は、一般的な平等の概念と全く違う

 どういうことかというと、世の中に格差は歴然として存在するもので、それがあたりまえという考え方のようだ。その階級の範囲内で平等であればそれで良い。という論理らしい。
“違いに基づいて、銘々が分をわきまえるならば悪いようにはしない”
施しの論理だと感じる。

 杉田水脈議員の発言を使って説明されているのでぜひ読んでみていただきたい。様々な場面で話がかみ合わない理由が見えてくる。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/marriage-equality_jp_5cd80883e4b0796a95dd68f3?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter



■性差別解消を求める声と反論する声の論点のずれ

 Twitterなどで性差別解消を求める人と、そのことに反論する人の激しいやり取りをよく目にする。それぞれの立場から真面目に意見交換を試みる人もいるが、大概相手の真意を理解できずに反論している場合が多い。

 両者の間で議論の前提となる認識のズレ知識や認識の絶対量に大きな差があると思うのだが、この差はどこから生まれているのかがよく理解できていなかった。


 10月に ゆい@mrr_nnさん がツイートした新橋駅前のED広告。あの広告に私も疑問の声を上げたのだが、それにらに反論するツイートが群がった。私も黙ってはいられなかったので関連してnoteを三つ執筆した。

 noteを執筆する中で「性被害を感じる側」「それを感じるほうがおかしいという側」の認識の違いはそこに至るまでの情報蓄積量の違いだと思うようになった。


 そもそも女性は物心ついた時から常に危険と隣り合わせで生活している。誘拐のリスク、「性的いたずら」と本質を矮小化して実行するような卑劣な性加害のリスクなど、女の子というだけでその危険は高まってしまう。(圧倒的に女児にそのリスクがある)しかもそれは家の外だけではなく、家族からの被害も無視できないという悲しみ、憤りさえ覚える状況である。

https://www.asahi.com/articles/ASM915QZYM91UTIL01M.html


 性被害の実態調査で女性の7割が電車や道路でハラスメントを経験しているという。この記事を見ると如何に女性が常にリスクと隣り合わせの生活を送っているのかがわかる。

https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/wetoo-zerohara-chosa


 性被害を経験したり、実態を学んで問題意識を持っている人は、これまでの経験と知識を基に物事を判断している。そもそもの情報量が違うのである。

 女性の胸だけが誇張されている看板に対して、過去に性的な被害にあった人にとってはそのメッセージに性的威圧感を感じてしまう。

問題だと感じている点を要約してみた。

✅女性の体の一部を取り出して広告に使用している(性的消費)
✅ED治療と胸は直接関係がない。(性的意味合いにしか受け取れない)
✅新橋駅前という不特定多数が目にする場所に設置している
✅自分自身が性的に消費されるような気持になる
✅この広告が性的消費につながっている
子供が広告を目にしたときに説明が困難


一方、性的消費だと訴えることに反論する声はどうだろうか。

✅広告出演女性合意なのだから問題ない
✅この看板を性差別だと感じない
✅どこが性差別なのかわからない
✅Tシャツに文字を書いただけだから問題ない
✅ほかにも下着姿の看板などたくさんある
✅雑誌などの過激な表現のほうに反応すべき
✅過剰反応しすぎ
✅フェミニズムというだけで気に入らない

 ほとんどが、「性的威圧感を感じる人はどうしてそう感じるか」を理解しようとしていない。今見える範囲のことだけで反論しているように見える。フェミニストに対する反発のみで発言しているケースも目立つ。やはり性差別・性被害に関しての知識が圧倒的に不足していると感じるのである。


■「性にまつわる」知識を広げるために

 なぜ、このような現状になっているのか。日本の性教育の在り方に疑問を持たざるを得ない。

ここでいう「性教育」「性的な」だけではない広い意味で考えている。「性教育」は生き方を教える「人権教育」だと私は考えている。

最近、その点に着目している書籍が出版されているので紹介する。

弁護士 太田啓子さん著 「これからの男の子たちへ」

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 周囲の大人やメディアの情報を通じて「学び」、外から「刷り込まれ」、彼らの内面に無意識に根差すようになるものが、かなり大きいのではないか。

「社会から性差別をなくすために、男の子の育て方こそが大切じゃないの?」

✅男の子の日常にかかるジェンダーバイアスの膜
✅男の子にかけられる呪い
✅セックスする前に男子に知っておいてほしいこと
✅セクハラ・性暴力について男子にどう教える?
✅カンチガイを生む表現を考える
✅これからの男の子たちへ

 私は、この本をすべての人に読んでもらいたいと思っている。社会全体の性にまつわる知識量が圧倒的に不足している。AVを教科書にしてきた歪んだ性知識、性認識を塗り替えることが本当に必要だ。

 性は隠すものとしてきた日本の性教育の貧弱さを何とかしたい。


もう一冊紹介する

【性教育YouTuber】シオリーヌ こと 大貫詩織さん著書「CHOICE」

 コロナ禍で休校になり中高生の妊娠が、かなり深刻だという事実を知って愕然としてしまった。そして今も増え続けている。

https://www.nagoyatv.com/news/?id=001889

https://president.jp/articles/-/37991

 学校で教える性に関する情報量の少なさが引き起こしている。

 そのような状況を何とかしたいと シオリーヌ@shiori_mw さんはYouTubeで性にまつわる疑問に答える動画を多数アップしている。私も知らなかったことがたくさんあり学びになっている。子育て中の人にこそ観てもらいたい動画がたくさんある。とても実践的な活動をされている。

https://www.youtube.com/channel/UC4bwpeycg4Nr2wcrV9yC8LQ/videos


■「性差(ジェンダー)の日本史」

 つい先日まで千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で、企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」が開催されていて私も観に行こうと思っていた。しかし、コロナ禍「勝負の3週間」の1週目が過ぎた段階だったので断念した。(何もしないでおいて「勝負の3週間」と言うことに憤りを感じている!)😡

 代わりに、フェミニスト芸人のハードボイルドチアキ@hardboiled_chiさんがレポート動画アップしているのでそれを紹介したい。

 ハードボイルドチアキ@hardboiled_chiさんは、フェミニズムを題材にお笑い芸人をされており、私も応援している。
 最近のお笑いは人を馬鹿にすることで笑いを取る(人格否定含め)ことが多く、嫌気がさしていた。(人を馬鹿にするお笑いも現状の原因になっている。)そんな中でフェミニズムをテーマにお笑いというのは相当すごいことだと思う。

 動画では展示だけでなく、歴博(国立歴史民俗博物館)周辺施設もレポートされているので一度遊びに行ってみたくなった。お気楽にご覧あれ!


 つい先日、noteで 橘 亜季(あき)@aki_3o3 さんの記事を見つけたので紹介する。丁寧にまとめられているので、観に行けなかった私にとってはとても参考になった。こちらも是非ご覧頂きたい。


■#家族の絆を紡ぐ選択的夫婦別姓

 夫婦同姓を強制されているために、多くの人が必要のない苦労や嫌な思いをしている。圧倒的に女性が改姓を迫られるケースが多く、このことが女性の権利を大幅に後退させる要因となっている。本人にとっては事実上の性差別である。

 私も #選択的夫婦別姓 を実現するために、地元の自民党議員にメールを送ってそのことをnoteに書いた。

 ところが8日のニュースで自民党が男女参画案の了承を見送ったというニュースが入った。私たちの意見が盛り込まれた第5次男女共同参画案に反対対意見が出たようだ。反対派に配慮した修正案も、私たちからすれば大きな後退である。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120400893&g=pol


 笛美さんや井田さんはまだ行動をあきらめていない。
もちろん私も行動を継続するつもりである。

 そんな中、井田さんのtweetで「埼玉県議会の田村琢実議長のブログが感動の件」という紹介をしている。

 このブログは大変すばらしいので是非皆さんもお読みいただきたい。これまでの経過や国際結婚の場合は実はすでに戸籍上姓が併記されている事実を紹介している。


 もちろん、田村琢実県議だけでなく、野田聖子議員をはじめ、橋本聖子議員など選択的夫婦別姓を実現しようと頑張っておられる自民党国会議員も多数おられる。思想信条関係なく、たくさんの人が「選ぶ権利を認めてほしい」と切に願っている問題である。

#選択的夫婦別姓 を実現するために多くの人たちと手を取り合って実現したい。


■まとめ

 いささか、まとまりがないnoteになってしまったが、これが今の私の到達点。半年間で学び、行動(tweetや自民党国会議員さんへのメール)してきた蓄積ともいえる。

 性差に関する問題への取り組みは、私が目指している「すべての人が安心して暮らせる世の中」を実現する過程の一部分である。その根底には人権があり、それを具体的に実現していくための指針が「日本国憲法」だと感じている。

日本国憲法第12条

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」

これからもたくさんのことを学び、行動し続けていく人生を歩み続けたい。


■最後に

 この記事は、コペアヤ先生の #アドベントカレンダー  に参加している。もともとは、14日(月)にストレッチのnoteを執筆するつもりでいたのだが、この間あまりにも理不尽なジェンダーギャップにまつわることが起きているので本日12日(土)にも参加することにした。

 他の皆さんの記事には大変深い学びがあるので、それに圧倒されながら恐る恐る投稿したが、少しでも共感していただけたら嬉しい。

 もともとは自分のジェンダーギャップに関する想いを表現したいと思い、9月当初に書き始めたが、まったく話がまとまらずに3か月以上放置したままになっていた。

 ここまでなんとか形になったのも、理不尽な事件が続けて起き、それに声を上げる皆さんの想いに共感したくさんの学びを得ることができたからだ。

 改めてここで紹介させていただいた皆さんと、ジェンダーギャップを改善しようと声を上げているたくさんの皆さんに感謝したい。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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