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『悪魔の辞典』より

・悪人
人類を進歩させて行く最も重要な要因。

・アフォリズム
前もって消化しやすいように調理してある人生の英知。

・安心
隣人が不安を覚えているさまを眺めることから生ずる心の状態。

・会社
個々の人びとが、責任を伴わないで、それぞれ自己の利益をあげ得るように工夫された巧みな仕掛け。

・快楽
同じ憂鬱の中でも、忌々しさの最も少ない種類のもの。

・カスタード
雌鶏(めんどり)と牝牛(めうし)と料理人とが悪意をもって共謀し、それによって作り出した忌まわしい物質。

・教育
それぞれが理解力に欠けていることを、賢者に対してはこれは明らかにしてみせ、愚者に対してはこれを隠して見せないようにするもの。

・金言
歯の弱い者でも噛めるようにと、骨が抜き取ってある人生の知恵。

・銀行預金
銀行を支えて行くために行われる慈善の寄付。

・辞書
ある一つの言語の自由な成長を妨げ、その言語を弾力のない固定したものにしようとして案出された、悪意にみちた文筆関係の仕組み。とはいうものの、本辞典に限り、きわめて有用な製作物である。

・自由
想像力の所有物の中で最も重要なものの一つ。

・十一月
一個の疲労困憊を十二分したものの第十一番目。

・哲学
どこからともなく始まり、どこへ行く行き着くということもない、多くの道からなる一つのルート。

・法律家
法律の裏をかく技術に熟練している者。

・マカロニ
中がうつろで、全体がほっそりした管の形に作られているイタリアの食べ物。二つの部分、つまり、管の部分と穴の部分とから成っているが、消化されるのは後者。

・無学者
あなたにとってはお馴染みの、ある種の知識を欠いている反面、あなたのまったくご存じない、他のある種の知識を持ち合わせている人物。

・無感動の
結婚して六週間を経た。

・友情
友情号とは、 天気の良い時には人を二人乗せることができるが、天気の悪い時にはたった一人しか乗せることができない、そんな程度の大きさの船を指して言う。

・要約
誰かある他人の文学作品の簡潔な概要。ただし、その場合、要約する者が抱いている確信と相容れない部分は、スペースが足りないからとの理由で省略される。

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