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ひらがなエッセイ #31 【ま】

    【幕の内弁当】を語る上で、江戸後期の芝居の合間に何ちゃら的な、由来や語源をコピペして、それなりの言葉を紡ぐ行為は禁じられています。情状酌量の余地無し禁錮なんでや年、猫が寝込んで犬が居ぬ、君の脳にノイズを埋め込む作業に没頭する。波打ち際で、麦わら帽子とワンピース、私の感性は昭和のおやじなの。令和の感性は、例えばアイスクリーム、アイスクリームにしゃもじ。グローバリズムパラダイス、一体全体、私は何を書いているのでしょうか、血中アルコール濃度は0、素面ですのよ私。

    あれも欲しいしこれも欲しい、欲張りな私は、唐揚げ弁当や焼肉弁当などの、オカズはこれだけあったら飯かきこめるんじゃ的な弁当よりも、少しずつ沢山のオカズで彩られた【幕の内弁当】を好む。ビールと【幕の内弁当】の相性は、まるでカエサルとクレオパトラ。ビールには餃子、【幕の内弁当】にはお茶、という本妻を持ちながらのダブル不倫、これは、おやじと美少女の、禁断の恋の物語。唐揚げや焼肉弁当にビールなんて、薔薇の香りしかしないぜ。アッーー!

    だもんで、電車で何処か遠くへ出かける時は、決まってビールと【幕の内弁当】購入しているのが、嘘偽り無く私の旅行スタイルである。折角旅行に行くのだから、その土地その土地で美味しい物を食べれば良いじゃないか、とは思うものの、何故だかやめられずに、毎度毎度、気付けば弁当とビールを手に取ってしまうのである。

    何処かへ行きたいと言うより【幕の内弁当】でビールが飲みたい、が優先されるなんて、何とも本末転倒な話であるが。

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