リュウグウノツカイ002

二つの"リュウグウ"

未知への挑戦に光

"リュウグウ"が関わる素晴らしいニュースが相次いだ。一つは日本の小惑星探査機「はやぶさ2」による地球と火星の間にある小惑星「リュウグウ」への着陸成功。さらにもう一つ、世界初となる深海魚「リュウグウノツカイ」の人工授精と人工ふ化の実現。それぞれ地球誕生の秘密やこれまで不明だった生態を知るための手がかりを得られるかもしれない。未知への挑戦という暗がりに光が差してきたみたいでワクワクしてくる。宇宙や深海の分野には依然、謎があふれているという。この解明につながる研究や実験の成果が、今後もどんどん聞かれるよう期待したい。

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夢があるニュースにホッとする感じ。厚生労働省の統計不正問題をはじめ、水泳女子日本代表の池江璃花子の白血病、タレントの堀ちえみの舌ガンなど、暗い知らせが続いていただけに、これをきっかけに幾らか明るい気分で週末を迎えられそうだ。

リュウグウへの探査機着陸がもたらしてくれるロマンは壮大だ。採取して地球に持ち帰る小さな岩石などのサンプルを解析し、生命の素になる有機物などが見つかれば、地球はおろか、太陽系の歴史も詳しく分かる可能性があるという。SF小説など"虚構"に"現実"が追いついてきた気がする。

謎解きに一歩前進

世界初のリュウグウノツカイの人工授精と人工ふ化も興奮モノだ。NHKによると、沖縄美ら島財団総合研究センターが沖縄県読谷村の沖合で捕まった雌雄それぞれ一体のリュウグウノウツカイから精子と卵子を取り出し、受精させたところ、20匹の赤ちゃんが生まれたそうだ。謎に包まれた生態を解き明かす一歩になったと言える。

日本の人魚伝説は多くがリュウグウノツカイが基になっている可能性があるそうだ。「古今著聞集」「甲子夜話」「六物新誌」など、古い文献に登場する人魚の特徴は、いずれもリュウグウノツカイの外見的な特徴と一致するところがたくさんあるとの指摘もある。

残念ながら、リュウグウノツカイの成魚はともに水族館への移送中に死に、ふ化した稚魚もすでに全滅した模様。沖縄美ら島財団総合研究センターは飼育で得られた情報や標本を基に生態の解明を努める方針。水族館で生きたリュウグウノツカイを楽しむ日が待ち遠しい。

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リュウグウノツカイはまれに定置網などにかかり、水揚げされるらしい。味は「刺身で食べたらゼラチン質がプリプリして、甘みがいっぱい。まるでエビの刺身」という。日本の魚類学者でタレントのさかなクンも実食したことがあり、次の通りに絶賛したとか:

「上品ながら、さっぱりとしたおいしさの中に脂ものって、思いのほかおいしい!例えて言うならば、地鶏のお肉に似ている」(引用:J-CASTニュース)

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(写真〈上から順に〉:ごくまれに浅瀬でも見ることが可能なリュウグウノツカイ=twitter、小惑星「リュウグウ」に降下する「はやぶさ2」=sorae、人工授精・ふ化したリュウグウノツカイの稚魚=琉球新報、東京海洋大学名誉博士でもあるさかなクン=さかなクン・オフィシャルサイト)

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