バターウォーマー

生活に必要不可欠なものとは
対極にあるような
うつくしい品としてのみ
そこに存在しているかのようなもの
琺瑯製のバターウォーマー


いったいどれくらいの日本人が
実用するのだろうか
しかし琺瑯作品としては
サイズも丁度よく可愛らしさもある
ひとつは手に入れておきたいと思わせる
佇まいのバターウォーマー


きっと連れて帰ったところで
私の部屋に置いた途端
輝きは減るだろう
生活の中心に馴染んでしまえば
“あたりまえ”になってしまう


バターウォーマー
今君はこの穏やかな雑貨店で
木のやさしさが生かされたランチプレートの上に置かれているからこそ
いつまでも素敵であり続ける

いつか暮らしが変わることがあれば
君を迎え入れられるような
暮らしをしてみたい


バターウォーマー
君はミルクパンとどう違うのか
きっとバターを丁寧に溶かす
たのしさを味わえる人のためのもの
日々の小さな幸福を
見いだせる人のもの

バターウォーマーのある暮らしが
似合うマダムになりたいと願う
そんな木曜、午後19時


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