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(連載小説)気がつけば女子高生~わたしの学園日記㊿ 新女子たちの京都修学旅行/3日目 舞妓姿の新女子たち 午後の出来事~

「えっ・・・・・みんなかわいい・・・・・。」ドアを開けるとそばに立っている色とりどりの着物を着た3人の「舞妓さん」を見てわたしは少しびっくりしながらそのとても可憐な姿にしばし見とれ、そしてその3人の舞妓さんたちもわたしたちを見てきょとんとしている。

3人のうちで鮮やかな水色の着物を着た「舞妓さん」は他の子よりも背が高いので多分この水色の着物の舞妓さんが千尋ちゃんで、そうするとかわいらしい顔立ちでわたしとそんなに背の高さが変わらない黄色系の着物の舞妓さんが梨子ちゃんでもうひとりの丸顔でローズピンクの着物の舞妓さんが林ちゃんかも・・・・・。でも白塗りしてるから誰が誰だが分かんない。

すると水色の着物の「舞妓さん」が「えっと・・・・・もしかして一番背の高い舞妓さんがあゆみちゃんで、小花柄の着物の舞妓さんが弥生ちゃん、それと白のグラデーションの着物の舞妓さんが由衣ちゃんかな・・・・・。」と聞いてくるのだがやはりその声は千尋ちゃんだった。

「うん・・・・・そう・・・・・どう?わたしたちってちゃんと舞妓さんに見える?・・・・・。」「見えるも何も・・・・・みんなとってもかわいいすてきな舞妓さんになってるよ・・・・・。」

それにしても千尋班の女子3人は新女子の3人と負けず劣らず見事なくらいかわいくてすてきな舞妓さんになっている。千尋ちゃんは元々の上品で清楚な和風の顔立ちを活かした清純で初々しい感じ、梨子ちゃんは自分の持っているかわいらしさを織り込んだキュートで愛敬のある感じに、そして林ちゃんはさすがにこの白塗りをする事でいつものにぎやかな林ちゃんより気分も振る舞いもお淑やかになっている。

そして舞妓姿になった6人は写真撮影へと舞妓さんらしくおこぼを「こぽ、こぽ」と鈴の音を鳴らしながらしずしずと歩く。

歩きながら「そうだ、昨日話してた折角だから今日一日舞妓姿で過ごす時の名前って考えた?。」と言っていたのを思い出して言うと、あゆみちゃんは”佳つあゆ”(かつあゆ)、弥生ちゃんは”やよ子”(やよこ)、千尋ちゃんは紗ひろ”(さひろ)、梨子ちゃんは”小梨”(こりん)、林ちゃんは”鈴葉”(すずは)という名前を考えていて「由衣ちゃんは舞妓さんの名前なんにするの?」と聞かれたのでわたしは「みんなより少しちっちゃいから”まめ由衣(まめゆい)”にしようと思うんだ。どうかな?。」と答えた。

それを聞いたあゆみちゃんが「みんないいねー。なんだかほんとに舞妓さんになった気分だねっ。じゃあついでにせっかくだから今日は舞妓姿でいる時はなるべく京ことばで舞妓さん風に喋ろうか?。」と言うので「それなんだかおもしろそうだね。そうしよう。」とみんな異議無く賛成する。

するとあゆみちゃんが「ほな今日はよろしゅうおたのもうします。」と早速関西に住んでいたことがあるせいか滑らかななかなか板についた口ぶりで舞妓さんがしゃべるような京ことばで話し、それに対して「あははっ、佳つあゆちゃんお上手どすー。」「ほんま佳つあゆちゃんは舞妓さんみたいどすなあ。」とわたしたちも舞妓さんらしく京ことばで返しながら喋ってみる。

そんなこんなできれいな着物を着て白塗りメイクをして、京ことばで話しながらおこぼの鈴の音を鳴らしながら歩いていると段々と自分でもほんとに舞妓さんになったような軽い錯覚を覚える。

でも普段からのちょこまか歩きはこの舞妓さんの扮装をしてもそのままで加えて慣れないこのかかとの高いおこぼは歩きにくいから余計にちょこまか歩きになってしまい、慣れた感じでばっちり舞妓扮装も決まっているあゆみちゃんや千尋ちゃんたちの後をやはり歩くのにまだ慣れない林ちゃんといっしょにわたしはまるでお姉さん舞妓の後を最近デビューしたての新米舞妓のようにがんばってくっついて歩く。

中庭では舞妓扮装を早く済ませた他の生徒達が楽しそうに記念の写真撮影に興じていて、地元の観光地によく居る普段は団体写真とかをよく撮っているとおぼしきカメラマンさんにバックのきれいな場所で代わる代わるポーズを決めながら写真を撮ってもらっている。

どの子もこの本格的な舞妓扮装のおかげでとってもすてきでいつもの着物姿とは違った和風美人に見違えるように変身していて沢山の「新人舞妓さん」で中庭は華やかさであふれていた。

そしてわたしたちは順番を待つ間に自分のスマホを取り出してなるべく映えそうな場所で自撮りをしていたのだけど同じように順番を待っている他のクラスの舞妓姿の子たちもわたしたちのすぐ近くで自撮りに励んでいた。

するとそのうちのしだれ桜の柄の着物を着たとてもかわいらしい「舞妓さん」がこちらにおこぼをこぽこぽ鳴らしながら歩いてきて「もしかしてりんどう組の由衣ちゃんや林ちゃんたちかなあ?・・・・・。」と聞き覚えのある声で言う。

「はい、そうどすけど・・・・・どなたさまどすか?・・・・・。」と段々と舞妓さんのような気持ちになっているわたしは京ことばで言いながら誰かしら?と考えているとその聞き覚えのある声を思い出して「もしかして梢ちゃん?・・・・・。」と尋ねてみる。

「うん、そう。わたし宮野梢だよ。白塗りしちゃってるから分かんないよねっ。あはは!。」といつものかわいらしい声のかわいらしい喋り方で梢ちゃんは言い、「林ちゃんの元気な声がしてたからもしかしてって思ってこの舞妓さんって由衣ちゃんたちかなあって尋ねてみたんだけど合っててよかった。でもそれにしてもみんなびっくりする位はじめてにしては舞妓姿が板についてるねっ。とってもかわいくて似合ってるよ!。」と言う梢ちゃんだけどわたしも梢ちゃんのかわいくて可憐な舞妓さんに変身した姿を見て少し胸がキュンとしていた。

「ねえねえ由衣ちゃん、よかったら待ってる間に一緒に写真撮ろ?。でもちょっと待って、その前に・・・・・。」と梢ちゃんは自分の巾着籠の中からあぶら取り紙を出してそっとわたしの顔を撫でるように拭いてくれる。

「由衣ちゃんちょっとお顔がテカりかけてるから拭いてあげるね。せっかくだからきれいにしましょうねー。」と鼻と鼻がくっつきそうになる位至近距離に顔を近づけてこのかわいらしい「舞妓さん」が「舞妓さん」に扮したわたしの肌をあぶら取り紙で拭いてくれている間、わたしは更に胸がキュンとしてそしてドキドキしていた。「えっ・・・・・ちょっと梢ちゃん、顔くっつき過ぎ・・・・・。」そう思ったけどドキドキしているせいか言葉が出ない。そして至近距離で見る白塗りの梢ちゃんはいつものあのアイドルのようなかわいらしさを残しながら本物の舞妓さんみたいな楚々とした別のかわいらしさも感じさせてくれるので余計にわたしの胸はドキドキするばかり。「もう梢ちゃんったら・・・・・かわいすぎでしょ・・・・・。」

そうやって班の子や梢ちゃんたちと自撮りをしているうちにわたしたちの班にも順番が回ってきて一通りポーズを取りながらカメラマンさんに写真を撮っていただくとホテルの向かい側にある今日これからわたしたちが踊りを披露するホールへと相変わらずの慣れないちょこまか歩きで移動する。

外から見ても大きくて立派なホールだけど中に入ると内装も立派で設備も整っている本格的なホールで誘導の方に言われた通り中を進んで各クラスごとに準備されている楽屋兼控室に向かうと「優和おどり 2年りんどう組様 御席」と書いてある広めのお部屋があり、既に舞妓姿に変身した何人かのクラスメイトがいて各自で踊りの振り付けの確認方々練習をしていた。

わたしたちもその楽屋兼控室の前の廊下で通し稽古を待っている間に今日の踊りの練習をする事にしてお互いがそれぞれに踊ってみる。

今日のこの日のためにわたしたち2年生全員はがんばって踊りの練習を積み、上手にできるように励んできていて、主に日本文化の授業の時間や時には所作・マナーの時間やロングホームルームの時間まで使ってがんばって練習してきた。

着物館館長兼日本舞踊部の顧問でもある生田先生が主体となり「京都の四季と現在過去未来」を題目にした演舞は6つのクラスでそれぞれにパートを受け持って一つの流れとなり、最後に日本舞踊部の部員と伝統文化コースの中から選ばれた踊りの上手な生徒で仕上げに踊ると云う7部構成となっており、2年りんどう組は「りんどう」だけに秋のパートを任されている。

京都で秋と言えば時代祭をはじめ様々なイベントが行われるし、また紅葉の名所が多くある京都では一番と言っていい季節でもあるのでその秋を表現すると云う事で責任重大なパートだからわたしたちは時には自主的に放課後も集まってみんなで練習を重ねたのだった。

毎日の授業や部活動に他にもあれこれとある学校行事をこなしながらの練習は特にわたしのように天然で不器用で何をやっても時間のかかる子にとってはなかなか大変だったけどそれでもクラスみんなで一致団結して協力しながら頑張った。

そのうちに学年全員の舞妓さんへの扮装が完了してこちらに集まってきたので実際と同じようにホールの舞台で通し稽古が始まり、各クラス順繰りに舞台で踊ってみた。わたしたちも夏のパートを担当するすずらん組に続いて踊ったのだが、さすがに有名アーチストもライブをする事があると云うこのステージは本格的な造りで音響設備も整っているせいか今まで踊りと言えば体育館での学芸会くらいしかした体験した事のないわたしにとって立派すぎてかえって緊張する。

そんな風にひと通り最初から最後まで流れに沿って舞いを踊ったわたしを含めた2年生全員の「新人舞妓」はそれぞれの楽屋兼控室に戻ってお互いに自分のパートの舞いや動きの最終チェックを兼ねた微修正をしつつ自分たちの出番を待った。

そしてどこからか鐘や笛、太鼓に三味線が聞こえてきていよいよ本番が始まった。控室のモニターでその様子を見ていたわたしも自分の出番に備えて学級員の千尋ちゃんの「みなさん今日はおきばりやす(頑張ってください)」の掛け声のもと、「はい。それではみなさんよろしゅうおたのもうします。」と声を揃えて返事して舞台の袖に向かう。

舞台の袖に着き、合間から先に踊っている他のクラスの子を見ているとどの子も少し緊張気味のおすまし顔で自分の踊りのパートを和楽器の演奏に載せて踊っていて猛練習の甲斐もあり結構サマになっている。

「わあー!みんなすごいなー!。それに舞妓さんがまとまって踊るだけでこんなに華やかになるものなんだ・・・・・。」そう舞台の袖で垣間見るだけでも感じるものがあった。

だけど自分の出番が近づくに連れて段々と緊張度が増してきた。元々天然で不器用で何をやっても手間と時間の掛かるわたしはこれまで練習でもみんなに手助けしてもらいながらなんとかやってこれた位だし大丈夫かな・・・・どうしよう・・・・・上手に踊れるかな・・・・・と緊張と不安でいっぱいになっていた時に横にいた林ちゃんが「まめ由衣ちゃん、おきばりヤスダヨ!。」と言ってくれる。

そうだ、もうここまで来たら悩んでいる場合じゃない。確かにわたしは天然で不器用だからみんなと比較して上手に踊れないかも知れない。だけどみんなと協力して練習がんばってきたしこのクラスのみんなとならきっと上手く行くはず・・・・・。そう思っていると前のクラスの夏の踊りのパートが終わり一瞬舞台の照明が落とされて暗くなる。

「用意はいいですかー。では前の子に続いてどうぞー。」と言われ舞台の袖で待っていたわたしたち2年りんどう組演じる秋の部のパートが笛と鐘と太鼓に乗っていよいよ始まる。

しずしずと舞台の中ほどに進み出る舞妓姿のわたしたちはお囃子の調べに合わせて踊りながら艶やかに、そして華やかに秋の京都を舞う事で表現していた。

「着物は心で着る」と入学してからずっと教わってきたわたしたちはその教えどおりに今まで着物に接する事で培ってきた和の心を最大限この美しい着物を着て美しく形作られた舞台の上で発揮できるよう心を込めて、そしてどんな時でもお互い協力して助け合ってきたこのクラスならではのとても息の合った踊りを精一杯にそれぞれが舞っていた。

わたしも細かい事は考える余裕もなくとにかく舞妓さんらしく優雅で艶やかにそしてかわいらしく手に持っている扇や着物の長い袖を揺らしながら踊りの輪の中でみんなと動きをぴったりと合わせて全力で舞った。そして「このクラスは学年で、いや学校でも指折りのいつでも協力して一致団結しているクラスだからきっときっとみんな上手く踊れるはず。」そう思いながら踊っているとあっと云う間に2年りんどう組の出番が終わった。

出番を終え、舞台の袖に次の出番のクラスに順番を譲るようにしずしずと下がると水色の着物姿の千尋ちゃんが「まめ由衣ちゃんおつかれさんどしたなあ。ようがんばらはりました。」と言って迎えてくれた。「うん・・・・・うちきばって(頑張って)踊らせてもろたけどどうやった?。ちゃあんとみんなと同じように踊らさてもろてた?。」「もちろん。みんなようやらはった(やった)え。ほんに(本当に)おつかれさんどした・・・・・。」とまるで「お姉さん舞妓」のように優しく千尋ちゃん、いえ「紗ひろ」ちゃんがねぎらってくれる。

「なんとかでも踊れてよかった・・・・・。」とホッとした安堵感と頑張って練習した事がちゃんと成果になって表れた事への満足感にわたしは自分の艶やかな舞妓さんの姿と相まって包まれている感じがした。

そして舞台は進み、どのクラスの「舞妓さん」たちもすばらしい踊りを披露しながら最後の幕が終わると自分の出番が終わり待機していたわたしたちは改めて舞台の上で全員一堂に会し、壇上に200名の舞妓が勢ぞろいすると云うとても華やかな光景が繰り広げられる中で生徒会長のあゆみちゃんが代表してお礼の挨拶をさせていただき無事閉幕となったのだった。

踊りを終え、わたしたちはホールからホテルの部屋にホッとしながら戻って着替えとメイクオフをする。

まずは部屋に置いてある半かつらの外し方のプリントを見ながら慎重に弥生ちゃんと手助けし合いながらかつらを取り、いつでも気の利く波方さんとホテルの方で用意してくれたと思われる冬なのと敏感肌の子も多いからその辺りに配慮した本物の舞妓さんも実際に使っている白塗りがきれいさっぱり落ちると云うクレンジング液を使ってメイクを落とし、また半かつらをつける時にビン付け油を使ったのでそれを落とさないといけないから代わる代わる交代で部屋のバスルームでシャワーをしながら大掛かりなメイクオフを済ませるとさっきまでの舞妓姿が嘘のような元の新女子の自分がそこに居て「これって元のわたしだよね・・・・・。」とこれはこれで鏡を見てさっきまでの舞妓さんだった自分とのギャップにびっくりしていた。

着物を畳んでドライヤーで髪を乾かしているとメイクオフを済ませた林ちゃんが「夜の女子会用に部屋で食べるお菓子や飲み物を買いに行くンダヨ!。」と元気よく言いながらわたしたちの部屋にやってきたのでまだメイクオフが済んでいない他の二人にお留守番を頼んで林ちゃんといっしょに買い出しに出かけた。

館内にも売店はあるのだが同じことを考えている優和学園の生徒で売店がごった返しているのとさすがみんな女子高生だから常にお菓子を消費しているから売り切れの品が多いらしいのだが慣れた感じで林ちゃんはホテルの玄関を出て右の方へ行くので付いていった。

するとホテルの近くに「ゆうゆうマート」と云うわたしたちの学校の校内売店の「ゆうわマート」みたいな名前のちょっとしたスーパーのようなお店があって「オバちゃんまた来タヨー。」とこれまた慣れた感じで林ちゃんが店内に入っていく。

するとお店番をしていた女性の方が「そこのホテルに泊まってる修学旅行のお姉ちゃん、今日も来てくれはったんやね。おこしやす。」と言ってくれ、「さて今日のお菓子は何がイイカナー。」と言いながら林ちゃんは慣れた手つきでお菓子や飲み物を買い物かごに入れて行く。

ひと通りお菓子や飲み物のペットボトルを買い物かごに入れてレジにてお会計をしたのだがここでも林ちゃんは店番のオバちゃんととても親しそうに話していて「お姉ちゃんよううちのお店来てくれはるし学生さんやからちょっとやけど”学割”させてもろとくね。」となんとお願いもしていないのに値引きまでして下さっている。

「イヤーアリガトね!。林ちゃんとってもウレシインダヨ!。これで今日は部屋で楽しくどんちゃん騒ぎが出来るンダヨ!。」とお礼を言いながらお店を後にしたのだがいやはや「5分アッタラ世界中のどこの国の人とも友達にナレル」林ちゃんとは言え何回かお店に行っただけなのにこうも簡単に安くしてもらえるほど店の人と仲良くなれるだなんてやっぱり林ちゃんはすばらしい。だけど林ちゃんはいつの間に「どんちゃん騒ぎ」だなんて日本語を覚えたの?・・・・・。林ちゃんたら・・・・・。

そして今日の夕食はホテル内でバイキングで会場に行ってみると既に沢山の豪華な和洋中のお料理が台の上にまるでパーティーのごとく並んでいる。

席につくと時間になり、先ずは今日のこの舞妓さんになって全員で踊りを披露する事に熱心な理事長先生がこの踊りを見る為に京都までやってきてくださっていて夕食もご一緒されるとの事でご挨拶をいただく。

「みなさん今日はこの修学旅行のハイライトの舞妓体験と踊りの披露本当にお疲れ様でした。見させていただいて例年と負けず劣らずみなさんのすてきな舞妓姿とすばらしい踊りに感動しました。」とまずはお褒めいただき、ご挨拶は続いた。

そしてご挨拶の最後に「私達教職員の方からみなさんの今日のすばらしい踊りに対してささやかですがプレゼントがあります。」とおっしゃるのでなんだろうと思って聞いていると「それは今日の消灯時間をいつもより延長して夜12時までとします。」と云うものだった。

これはわたしたちにとっては「ささやか」ではなく、毎晩遅くまで各部屋でおしゃべりに興じている子が多い中で最高のプレゼントであり「わあーすごーい!。」とか「やったー!」などとあちこちからうれしそうな声が上がったのだった。

こうして盛り上がったところでお待ちかねのお食事タイムとなりバイキング形式のお料理をそれぞれお皿を持って取りに行くと改めて和洋中各種の豪華なお料理が所狭しと台の上に並んでいて選ぶのに目移りする。

いただいてみるとどれもこれもホテル特製の本格的な料理ばかりでおいしくて箸が止まらなくなり「こんなに美味しいものを前にしてダイエットとか言ってる場合じゃないよねっ!。」と言いながら林ちゃんほどではないにしてもついお代わりに席と料理を置いてある台の往復を何度もしてしまう。

その林ちゃんは「たくさんカニが置いてあるンダヨ!。」と言いながら茹でてあるカニをどっさり山盛りに持ってきたのでわたしたちもおすそ分けを頂きながらおいしくいただく。聞けばこの冬の旬の味覚の代表のカニは京都府北部の丹後半島の漁港で上がったばかりのものを浜茹でして運んできたものらしくてどうりで今までに食べた事のないおいしさだし、カニの横には同じく京都府北部の舞鶴漁港で水揚げされたばかりのボタンエビや寒ブリなどの旬のお魚も並んでいてお刺身や海鮮丼が大好きなわたしは大喜びでいただいた。

この他にも新鮮な京野菜を使ったバーニャカウダやマリネと云ったヘルシーで女子好みのお料理をたらふくいただき、食後は京都らしい抹茶を使ったロールケーキをデザートにいただいた。どれもこれもおいしくて飽きのこないお味で関西風の出汁を効かせたお料理も多くてわたしは大満足。

ひと通り食べて満腹になったわたしたちはお部屋に戻る事にしたのだが林ちゃんはまだ何か料理台から取ってきて食べている。「林ちゃーん、お部屋帰るよー。」と声を掛けると「まだも少しデザート食べるカラ先に帰っててー。」と言うので見るとその先のお皿の上にあるえびの蒸した餃子とカニ焼売に林ちゃんの箸が伸びている。それにしても焼売と餃子が「デザート」なの?・・・・・。林ちゃんたら・・・・・。

「じゃあ行事委員と学級委員のミーティングが終わったらあゆみちゃんの部屋に今日も集合して”どんちゃん騒ぎ”でもやりますか!。」「わーい!そうしよーそうしよー。」こうしておいしい料理をたらふく食べてご機嫌なわたしたちの今宵のお楽しみはもう少し続くのだった。

(つづく)







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