本の香りに、"あの頃"を想い起こす。

紙の本が好きだ。
本を開くと、ふわっと香る、あのにおい。

新しい本の香りもいいのだけれど、
いつぞやの本を思い返して開いてみると、
香りとともにその当時のころがふわっと脳裏をかすめる。

「すごい忙しかったよな」
「子どもが熱を出していたっけ」
「家族で遊んで帰って、筋肉痛になったんだっけ」

そんな、なんともない、日々のことを思い起こす。

本の香りは、それぞれの思い出とともに違った香りがして。

少し湿っぽいような、
からっとしたお日様のような、
ニコニコ子どもの笑顔のような、
土だんごのにおいのような。

本棚の本を見ていると、ふと、香りを確かめたくなる。

たまに、たまに、昔をたどる旅。

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