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僕が何故ここまでメタルに心酔するようになったのか。メタルとはアイデンティティーだ

初めに言っておくが
僕はメタルが好きだからと言ってメタル以外を悪く言うつもりはないし、いいと思えば聴く
気に入らなければ聴かない
僕の言葉は少し棘があるので読んでいて気分が悪いと感じる方もいるかもしれないということもあるので予め断っておきます

僕は恐らく初めてメタルという音楽にどっぷりと浸かったのは確か15の夏頃だと思っている
日本を離れ遠い地で生活を余儀なくされ
僕は戸惑いもあったが、何よりも親元を早いうちから離れられる喜びに満ちて、見るもの聞くもの全てが新鮮に映ったんだ

今自分は一人だ!好き放題出来るんだ!
と鎖を解かれた子犬が知らない地で嬉しさのあまり尻尾をフリフリ振り回していた
耳を常にぴーんと張らせ常にアンテナを張り巡らせていた
元々その頃から既に音楽は好きだったので、レストランのBGM、バーから溢れる洋楽、日本ほどどこ行ってもわんわん音が鳴ってる理由ではないがやっぱり日本とは違う音楽に僕の胸は踊った

あるCDショップの前通ると僕は腰を抜かすほど驚いた

カナダのヴァンクーバーあるヴァージンレコード
下は映画一階はメタル、ポップ、ロック二階はヒップホップに分かれている。因みに写真に映る男は友達のマイケルだ!(嘘を教えんな)

超でっかい!!これが海外クオリティなのかと僕はハイテンションになり早足で入店した
沢山の知らないCDばかり並んでいて、何がなんだかわからんってなったが、僕は取り敢えず記念に1枚買いたかった

CDを持ってバーコードをかざすとなんと視聴出来る機械があった(前にいたおじさんが使ってるのを見た)
僕は取り敢えずエグい感じのジャケの音楽しようと思ったんだ。何故なら衝撃的で忘れないだろうと思ったからだ
そこで手に取ったCDが…


僕の人生をものの数秒で変えてしまった

こいつは絶対にヤバい奴だろう
直感でそう感じた僕は直ぐにバーコードをかざし聴いてみた

どっどっどだー、どっどっどだー、どっどっどだー、どどどどでででで

カンニバル・コープスファンの方達一発でわかりますよね?

そうHammer smashed faceです

これが僕の人生を変えた、いや狂わせちゃったんですよね

なんちゅうおかしな音楽だ!!頭が狂っちまうほど激しい。そして何を言ってるかわからないボーカル
僕は絶対にこいつを買おうと思ったんだ!
隣で音楽を聞いてた怖そうな黒ずくめのおじさんは
僕のCDをちらっと見ると、いきなりメロイックサインをしニコッと優しい笑顔で笑った
きっとこいつは超凄いCDなんだと確信し僕はレジへ行く

顔面ピアス、タトゥーだらけのお兄さん

怖え!怖すぎる

でも会計しないと帰れないから仕方がなく愛想をふるってみた
そうすると彼は気さくな笑顔で、「こいつは2枚買うと1枚分安くなるんだ!」
ええ!!そうなの!?でも僕はきっとアジア人だからぼったくろうとしてんじゃねえの思ったんだけど
僕が悩んでると、俺がいいの選んで来てあげるよと持ってきてくれたCDが


未だにずっと聴いてる名盤!あのおにいさんのお陰でブラックメタルにもハマれたんだ!

なんか凄い…魔界村みたいってw
じゃあまあ記念にと思って彼に従うことにした
会計を済ませ店を出る

こっそりレシート確認

ん!?なんかおかしい
1枚分しか会計していない
そう言えばお兄さん強面過ぎて気にしてなかったけど去り際にBuy one Get one(1枚買うと1枚タダ)って言ってたなー
きっと粋なはからいしてくれたんだと僕は踊りだしたくなったんだ(メタルのCD買ったくせに)

それからというもの
僕は生活費として毎回振り込まれるお金を、休日のお出かけの際ご飯を食べるのを我慢してCDを買っていた
デスメタル、ブラックメタル、ハードコア、メタルコア、ニューメタル
気がつくと真っ黒いTシャツを着てディッキーズのロングパンツを履いて街に繰り出すようになっていた


僕のお気に入り服屋さん。メタルロックの服が沢山売ってる壁がTシャツで埋め尽くされてて圧巻!

メタルTを着てると
いえええええええぁぁぁとメロイックサインしてくるメタルオヤジや兄ちゃん
中には、そのバンド好きなんか?聞かれ、最高と答えるとCDをくれる人もいたw
僕にとってメタルはコミュケーション手段でありアイデンティティなんだと感じた

ここまで気分を高揚してくれるものってないし
まるで自分が強くなった様な感覚になれる
ティーンエイジャーという年代は常にアンテナを張り巡らせている世代だ、親の目、教師の目、友達と関係、学校内での立ち位置、に加えて学業もこなさないといけないという、子供には子供なりの苦労を抱えているものだ
僕自身そんなにストレスを感じるという事は幸い学校生活ではなかったのだが、海外に住んでいる以上やはり付き纏う人種差別からは逃れる事は出来ない

人種差別?上等じゃコラと胸を張ってはいても傷つく時は傷つくしやっぱり気持ちがいいものでは決してない
親の目から離れたとしても、ホームステイをすれば実家以上に気を張らせないといけないのだ
知らない家に、言葉のわからない家族がいて
時にヒソヒソ友達を読んでは噂話ししている声もまぁ聞く
実家にいれば楽だった…
食べたいものを食べたい時に食べ、洗濯物は脱ぎ散らかしてもお母さんが片付けてくれて
毎日美味しいご飯を作ってくれて、おかわりをよそってくれて、寝るまでゴロゴロリビングで出来る
改めて僕は恵まれていたんだなと実感した

ここは自分の居場所ではない

それが僕の心の声だった
とはいえ親切で優しいホストファミリーもいたし
あまり嫌な思いなんてそうそうしなかったが
自分の家以上に快適な場所は存在しなかった

そんなストレスがあったからこそ
僕はメタルに心酔したんだろうなと思う
メタルの技術やサウンド等の面ではなく
飽くまでメタルが持つアイデンティティというものに強く惹かれたんだろうと思うんだ

メタルを聞く前はポップスやJrockを好んでいた
心地が良いメロディ、聞きざわりのいい歌詞
誰が聴いても気持ちを浄化してくれ、何一つ不快にする要素なんてなかった
雲一つない青空の様に何処までもクリーンだったんだ
でもそこには、怒りや憎しみ等の憎悪はなかった
ティーンエイジャーの行き所のない怒りや痛みを癒やしてくれはしなかったんだ

そこにはパンクはなかったんだ…

壁をぶち破れ!法を破れと叫ぶロブ・ハルフォードはとても格好良く、まさにパンクだった

僕が聞きたかったのは優しい言葉ではない
ロブ・ハルフォードみたいに怒りをぶちまけた叫びが聞きたかったんだ

お前にわかるわきゃない、手がかりすらも知らないだろうとあんな強面が僕たちに対して世の中に代弁してくれる。そんなカッコいいものなんて存在しなかった

当時の僕はきっとテクニックがどうだとか
サウンドがどうだとかどうでも良かったのかもしれない
メタルが持つ勢いや雰囲気
ボーカルが放つ一つ一つの怒りの粒が僕の心を揺さぶり興奮させたんだ
ただ僕の心を満足させてくれるもの、それがメタルという音楽だった

帰国後待ち構えていたのは、今までの生活とのギャップ
まさか自分の生まれ育った地に帰ってカルチャーショックを受けるとは思わなかった
すっかりと海外生活に慣れ、好き放題していたツケが回ったのか意外にもそのギャップに苦しむ事になる
今まで超オープンであった僕が少し周りの目を気にするようになった
僕は人とは違うのだろうか?そんな些細な事まで気にするようになったんだ
そもそも、海外にいれば人と違うのは普通だった
それこそ、カナダ人、ヨーロッパ人、黒人、ターバンを巻いたアラブ人、中国人、韓国人
1日外へ出ればどれだけ違う人種とすれ違うだろう?それぞれ違った言語で話し、何を話しているかもわからない
だからこそ人と人は違うものだと僕は常に考えていたため赤の他人に対しそこまで興味を持つことがなかった

でも自分の国に帰れば都会に住まない限り殆ど日本人だろう
僕はとても安心したと同時に少しだけ違和感を感じたんだ
そして時間と共にその違和感が大きくなっていったんだ

グロければグロいほどいい、それが僕のメタルのこだわりだったのかもしれない



日本に帰った時の方が恐らくメタルに触れる時間が長かったかも知れない

海外にいた時はメタルと並行して所謂メロコアパンクも好んで聴いていた
グリーンデイやBLINK182やメスト、バッド・レリジョン等カラっとした気候にはメタルよりもこちらの方が肌にあったのかもしれない
僕は1日中メタルを聴くことは実は絶えれなくて
楽しい〜嬉しい〜って気分の方が1日で多いため
どちらかと言うとわざわざ気分が滅入るものばかり聴くわけではないんだ
それこそメタルでもパワーメタル等爽やかな楽曲が多いほうが精神衛生上気分が楽なんだが
一度サゲモードになると一気にアンダーグラウンドになるんだなこれがww

僕が感じた小さな違和感が小さいものでなくなり
僕は何をしようかと考えた
このままではこの気持ちに押しつぶされてしまうと何かやらなければ思ったんだ
たまたま親父が自営の仕事をやっていた為
僕のために一生懸命働いてくれて、海外に行けたんだからその恩返しになるだろうと一生懸命働いた
朝から夜中まで。社宅に住んでいたため仕事があれば飛んでいかないといけない
否が応でもやらないとどうしようもないんだ
幸運にも素晴しい授業員は皆働き者だった
どんなに辛くても文句も言わずに働き、精神的にも僕にとって素晴しい人達だった
だから尚更頑張ったんだ
過去にしょうもなかった僕はそもそも真面目に何年も取り組んだという経験は恐らくこのときだろうなと思う
今では真面目だと言われるが内心鼻で笑っちまうんだw
そりゃあそうでもしないといけなかったからよw

結局働いた半分くらいは、あまり給料も貰えず
時にはタダ働きだった時もある
でも、僕をここまで大きくしてくれた恩に答えるため頑張って来た

でもストレスは目に見えないところでやってきた
日々イライラする毎日、1日中壁と向かい合い
休憩するときのタバコ位しか楽しみがなかった
仕事後は市場へ配達へ行かないと行けないため
僕はもうガンガンメタルを聴きまくったんだ
僕がエクストリームメタルにどハマリした時期も丁度そのあたり
ある程度エクストリームメタルに詳しくなれたのはポジティブ考えてその時のお陰なのだろうがw
ティーンエイジャーの時よりも僕はメタル漬けになっていて、麻薬ならもはやジャンキー状態だ

聞かないといられない、聞かないとどうにかなってしまう程だった
より凶悪なものを求めた結果ブルータルデスメタルと出会い僕は既に半分壊れかけていたのかもしれない

手取りもあまり無い、出かける事もあまり無い
仕事をして部屋に戻っての繰り返し
とはいっても親の会社なので、人間関係のトラブルなどに比べれば幾分ライトだろうな
もっと辛い経験を余儀なくされている人も多くいるのであまりここで不幸自慢してもしょうがないのだが、まぁ健全ではなかったよ

結局会社がうまく行かなくなり
僕が代替わりとして社長を任された
やりたくねぇの一点張りだったけど、しょうがないやるかと心に決めた
やると決めたからには全部の責任を負わないといけない
理不尽な事があっても上等じゃーと思うしかないんだ
トップは孤独だ
親父は長いことそのストレスと戦ってたんだな
そりゃあ一つや二つ間違いも犯すわなって
それでも僕は摂生してましたよ
反面教師にしてたからか、凄まじく真面目に頑張った
ただどれだけやってもプラマイゼロが限界
こりゃあまじで頭がハゲるかと思ったけど
しょうがない。もっと良くならないといけないと考えるしかなかった

結局会社は潰れた
家は持ってかれ、僕のCDコレクションは殆どブックオフの棚に寄付したw
新天地でやっていき僕は内心ほっとした
逆に良かったんじゃないか?と
家が持ってかれたとしてもまぁ生きてればオールオッケーって気分は明るかった
意外にもなんとも思わないもので僕はゆっくりさせてもらった

その時にはメタルという音楽をもっとしっかり聴こうと思ったんだろうな
怒りに任せて聴くのではなくしっかりと腰を据えて聴いてみようと思った
それこそメイヘムやバーズム等聴き込めば見えてくる違った世界に驚いた
ブラックメタルってこんなに深いのかよって
ただ怒りを助長するものではなかった
時にはアートの様にも聴こえる旋律
その時からメタルを聴くのが楽しくなっちゃって
色んなジャンルに触れるようになった
ブラックメタルでもサブジャンルがあって
シンフォニックブラックメタル、プリミティヴブラックメタル、デプレッシブブラックメタル等
当時は全て同じっしょ!って思ってた音が全く違うものに聴こえるようになって、それに並行してプログレにもハマってたから難解であればあるほど燃える人間に気がつけばなっていたw


難解かつ美しい旋律、僕のこれまでのメタルの概念を見事にぶち壊した

ドリーム・シアターに始まりクイーンズライク
マリリオンやIQ等を好んで聴いていた僕のメタル第3期

技術面や芸術面等に着目しピンクフロイドやイエス、キング・クリムゾン等の独特な世界観
それとヨーロッパ特有の美しいサウンドと演奏技術
イングヴェイ・マルムスティーンにハマったのも丁度その時だと思っている
兎に角好みの幅が広がったためもっぱらネットサーフィンをしては物色してたんだっけ

ビートルズやドアーズ等のサイケデリックもの好みオールドなサウンドにも影響を受けた

勿論Opethもこの時に出会ったんだ
(僕が求めるものが全て凝縮されていて、僕は驚いたんだ)

今となってみれば怒りに任せてメタルを聴くことは殆ど無くなった
悟りの境地と違うかもしれないが、過去にこだわって感情に任せても仕方がないんだと気がついた
目の前が見えなくなるほど悶々としたところで現実は変わらないと気が付き
ただ純粋に音楽向き合い、感動をし共感をし僕の心を癒やしてくれるものに変わっていったんだ

でも振り返れば、もし僕が音楽と出逢わなければ
メタルと出逢わなければ僕はどうなっていたのだろう?
今頃生きていたのだろうか?とも思える
音楽と共に歩み、音楽と共に成長し
僕はあのやさぐれていた時期に比べてより音楽を愛するようになっていたんだ

ただ激しく恐ろしく下品に聴こえる雑音が
まさか自分をここまで成長させてくれるなんて思いもよらなかった
あの時僕がカンニバル・コープスのCDを手に取らなければ、お兄さんがエンペラーのCDを持ってこなければ僕はどんな人間になっていたのだろう?

僕はメタルをこれからもずっと聞き続けるだろう

ダサかろうが、馬鹿みたいだろうが
僕にとって見れば宝物みたいなものだ
血なまぐさい僕の人生に彩り与えてくれるものなんだ
あんなに血みどろでヘドロ臭くて暴力的なものが
まさか僕にそんな言葉を言わせるだなんて

良くわからないものだなw



ここへ行くのが僕の最大の夢


さぁ寝るか...

いい夢は見れないだろうけどw


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