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【資金調達の裏側】なぜ私たちは、wevnalへの投資を決めたのか

シリーズBラウンドのセカンドクローズとして、BX プラットフォーム「BOTCHAN(ボッチャン)」を運営する株式会社wevnalは総額20億円の資金調達を実施しました。

そこで今回は、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社(以下 JIC VGI )、Archetype Ventures株式会社(以下 Archetype Ventures )、三菱UFJキャピタル株式会社(以下 三菱UFJキャピタル )、みずほキャピタル株式会社(以下 みずほキャピタル )、Sony Innovation Fundの投資家のみなさまに、「資金調達の舞台裏」をインタビュー。

そもそも「BOTCHAN」とは、どのようなソリューションなのか?
wevnalへの投資を決めた理由や今後、期待することとは?
資金調達の意思決定の裏側に迫ります。


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■マーケティングは「量」から「質」へ


ーー今年の2月に10億円の資金調達を発表したwevnal。はじめに、現代のマーケティング領域における課題と、BX(Brand Experience)プラットフォーム「BOTCHAN」について教えてください。

磯山 ここ10年でデジタル広告の市場は大きく成長しており、市場規模は約3兆円を超えるマーケットとなっています。

株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山博文

一方で、FacebookやGoogleをはじめ広告メディア、プラットフォームへの依存が深刻な問題として指摘されています。一概にマーケティング予算と言っても、決して少なくはない金額がプラットフォームに広告費を支払うモデルとなっています。

ただそれでも、効率性の高さからweb広告は支持され続けてきましたが、それがさらにコロナ禍を機にオンラインシフトが加速し、web広告のニーズは爆増しました。そして出稿希望の企業が急激に増えたことで、入札形式の手法が取られるようになり、広告単価は高騰することになりました。

こうした変化により、デジタルマーケティングの手法や考え方も大きく変わりました。

元々は、数十円単位の誘導単価でできるだけ多くのお客様に広告を届けようとするマスマーケティングの考え方が当たり前でした。しかし、コロナ禍を機に数百円単位の誘導単価に高騰したことで、個人の属性や行動履歴・興味関心に基づいて広告を届けるパーソナライズ化の考え方が浸透するようになったのです。

加えて、ユーザーがストレスなく購買するまでの体験を設計するなど「顧客体験」の重要性も見直されるようになりました。

要するに、デジタルマーケティングの潮目は「量」から「質」へと大きくシフトしているのです。広告代理店に任せて、ただ誘導をかけてもらうだけで終わりじゃない。CVRの改善に加えて、ユーザー体験やブランド体験の向上、LTVの改善に取り組む動きが加速しているのが現状です。


ーーそうしたマーケティング領域の課題に対して、一気通貫でソリューションを提供するのがBOTCHANです。

BOTCHANは、消費者および企業のLTV最大化を、ブランド体験(Brand Experience)の向上を通じて実現する“BXプラットフォーム”です。

クリエイティブやコミュニケーションの改善、CVRやLTVの改善、そしてユーザー体験やブランド体験向上まで支援できるので、お客様の負担は最小限におさえることができる。また売り上げに直接つながったタイミングで成果報酬型のモデルにもなっているので、手軽に導入しやすいのが特徴の一つです。


より具体的には、業界の課題である心地良くないブランド(BX)体験によるCPCの高騰やサイト離脱率などの課題、加えてフォーム離脱率(カゴ落ち)や解約率の高止まりなどの課題に対し、CSが伴走し課題解決に取り組んでいます。

現在、D2C業界を中心に累計400以上のブランドに導入されるサービスにまで成長しています。今回のシリーズBの資金調達を機に、日本のマーケティング領域の課題解決やLTVを最大化するBXプラットフォーム構想の実現を加速したいと考えています。


■なぜ、wevnalへの投資を決めたのか


ーー今日は、シリーズBの投資家のみなさまに集まってもらっています。改めて、今回wevnalへの投資を決めた理由について教えてください。

小沼(JIC VGI) 誰でも簡単にモノが作れて、売れる時代が到来しています。そんななか、wevnalの競合企業は決して少なくない状況ではありました。

投資を決めた理由は、多様なソリューションを開発する企画力と、D2C業界におけるキープレイヤーのニーズを把握していること。そして、それを実現できる組織の強さがポイントでした。

JIC VGI パートナー 小沼 真幸氏

チャットコマースという価値提供にとどまらずに、中小規模の企業が、BOTCHANを通じてデータ活用や顧客管理まで行うことができる。さらにSNSと連携したCRM(顧客関係管理)の仕組み作りにも挑むなど、そうした幅広い意味での企画力の高さが他の競合にはない大きな強みの一つだと考えています。

また変化の激しいD2C業界においては、顧客の本当の課題やニーズを捉える力が必要になります。そんななか、wevnalはキープレイヤーをおさえ、「半歩先」の提案をすることができている。これが三歩先になってしまうと、財務上どうしてもR&Dが重く見えてしまうのですが、半歩先を見据えたビジネスをするそのバランスの良さも大きな特徴だと思います。

そして最後に、その高い企画力と顧客のニーズを解決する実行フェーズにおいて、それを実現できる組織の強さに魅力を感じて、今回の出資に至ることになりました。

福井(Archetype Ventures) 私たちは、「信頼関係」が追加出資の大きな決め手になったと思います。

信頼関係というと、単純なコミュニケーションのボリュームなどがベースになっていると想像されがちですが、決してそれだけではありません。たとえば何か問題があった時に正直にシェアしてくれたり、一緒に対策を考えて汗をかいたりできるチームかどうかというのが、起業家と投資家の信頼関係の構築には大切だと考えています。


Archetype Ventures Managing Partner 福井 俊平氏

その点、wevnalの経営陣・チームはさまざまな壁にぶつかりながらも、ともに愚直に乗り越えようとする姿勢を大切にしてくれたので、お互いに良い信頼関係を築けていると感じています。

また事業としても、決して簡単ではない既存事業からのトランスフォームを実現し、実際に売り上げを立てることができている。ビジネスモデルと組織を大きく変えながらも、着実に実績を積み上げています。

加えて、今後の成長を左右する大きなポイントとして、「データ」の観点があると考えています。事業において、どんなデータが蓄積されるのか?という視点は大切なポイントになります。そのデータを活用して、どんなビジネスを実現したいのか。そこから逆算して、取得するデータや方法を設計し、サービスに反映させることが理想的なビジネスの作り方になります。

すでにwevnalが取得するデータも、十分に活用可能性があるものが集まっていると考えています。しかも、それが一つのプロダクトだけから集まるデータではなく、マルチプロダクトを通じてさまざまな属性やフェーズのお客様の声を拾うことができている。そうしたデータを活用した未来に対して、ポテンシャルを感じることができたのは大きかったです。


佐藤(三菱UFJキャピタル)
 私たちもBOTCHANは、 他のチャットボットサービスとは大きく異なる価値を生み出すソリューションだと捉えています。

三菱UFJキャピタル 投資第二部 部長 佐藤栄司氏


単純に効率化だけを目指すチャットボット事業であれば、多数の競合が存在します。しかし、BOTCHAN Payment をはじめ当社が提供するソリューションは、クライアントであるEC企業の最大の課題ともいえる“カゴ落ち”というペインを解消する決済ツールになります。
これは何を意味しているかというと、BOTCHANは売上増加に貢献するツールであり予算のポケットが「広告宣伝費」となるため、ポケットの大きさはかなり巨大になるはずです。
他社では国内のチャットボット市場は100億無いとしているところもありますが、国内EC市場を13.3兆円、広告宣伝費率を仮に20%と考えると、当社のTAM(獲得できる可能性がある最大の市場規模)は2.7兆円あると考えます。

たとえば22年度の当社売上1位の顧客売上は、先方年商の約0.39% を占める計算になります。ここから計算されるSOM(実際にアプローチできる顧客の市場規模)は13.3兆×0.39%=515億円となり、他のチャットボット会社とは見える市場の大きさが異なります。

加えて、入力されてないとやり直しを迫られるサイトなど、支払方法が分かりにくいという消費者側のペインを解決できるサービスでもあります。このように企業のコミュニケーション課題と消費者側の体験のペインを同時に解決できるサービスであり、市場のポテンシャルも期待できるポジションに位置しているのが当社の魅力だと考えています。


原田(みずほキャピタル ) 
まずはじめにBOTCHANを知った当時、「ついに“チャットUI”はここまで進化したのか」という感想を抱きました。

10年以上前からWebサービスのUIがチャットになるのではないかと言われており、さまざまな企業がその研究に取り組んできました。しかし、なかなかうまく研究が進まなかったテーマだったと認識しています。


みずほキャピタル株式会社 原田氏


そんななか、wevnalはストレスないチャットUIを実現していたことに加えて、十分な実績も積み重ねている。まずはそこが素晴らしいと思いました。

何年も前からさまざまな企業がトライしても、なかなか普及しなかったというのは、やはり難易度が高かったということ。そこをクリアできているというだけで、高いポテンシャルを秘めているのだろうと。出発点としては、まずはそんなことを感じました。

そして最終的な決め手としては、やはり経営陣の経験になります。元々、営業文化だった企業が、プロダクト型の企業文化に転換し、そして実績を残し続けている。これは決して簡単なことではありません。

営業型の文化でも結果を出しながら、プロダクト型の文化でも結果を残している。失敗してピボットというよりは、どちらも成功してピボットを実現させているのは本当にすごいことだと思います。

もちろんその転換のなかでさまざまな課題も生じると思いますが、重要なのは失敗した時にどう対応できるかです。そうした一つ一つの課題を解決してきた、経営陣の経験や問題解決力が大きな決め手になりました。


北川(ソニーベンチャーズ) 
私たちが投資を決めた理由は、大きく2つあります。
 
1つ目は、弊社の「注力投資領域」だったことです。弊社は、注力領域の一つにソーシャル&コマースのカテゴリーを置いています。これはいわゆるソーシャルメディアやeコマース、さらにそれらに関連するソリューションを対象にしており、米国やヨーロッパと比較して日本はまだまだそれらの成長の余白が大きいマーケットだと認識しています。


ソニーベンチャーズ株式会社 北川氏

 
そのなかでも、wevnalについては eコマースに関連するソリューションとして着目したのが、最初のきっかけです。また私自身も過去にソニーグループのなかで広告ソリューションを提供する会社の買収やDSP(Demand Side Platform)事業の立ち上げなどに関わった経験があるのですが、そうした過去の自身の経験からも、wevnalが挑む市場の課題や目指す方向性について、非常にスムーズに理解が深まり、ファンドとしてもwevnalの成長性に期待ができるとの判断に至りました。
 
二つ目は、「ユニークな歴史」や「チーム」に魅力を感じたことです。
 
広告業界に長く身を置いた創業メンバーが立ち上げた企業だからこそ、業界の課題に深く入り込み、ボトムアップでリアリティの高いアプローチをしてきた歴史への信頼感がありました。
 
広告代理店としての運用ノウハウを受託として価値提供するのではなく、プロダクトに落とし込む。またこれまでの多様なネットワークを活かしながら、「顧客のニーズの最大公約数」を発見し、その課題に対するノウハウをソリューション化する。
 
そうしたヒストリーや、それを実現する「チームのプロダクト愛」も魅力の一つでした。業界を長く経験してきた人たちが、自らの課題意識や想いをそのままプロダクトに落とし込むと、こんな風に愛情を持つことができるのかと感じることができました。


■wevnalとともに描く未来とは?


ーー今後のwevnalに期待することや、ともに描く未来についても教えてください。

小沼(JIC) そうですね。まず直近としては、現在の既存事業の売り上げを伸ばし続けることに集中してほしいと考えています。
そしてその先の未来として、隣接する業界なども意識しながら事業を進めてもらえると嬉しいです。企業と顧客がコミュニケーションを取りながら、商品を購買してもらう手法は、Web領域以外の世界にも汎用できる考え方だと思います。
たとえば、テレビCM効果を計測できるツールに広がる可能性もあるかもしれないし、実はあらゆる領域に進出できるポテンシャルを持っていると感じています。
加えて、新しいプロダクトの開発にも挑戦している最中だと思いますので、将来的には海外展開も見据えながら成長を実現してもらえればと思います。


福井(Archetype) 私からは具体的な提案になりますが、ぜひデータサイエンティストを採用してもらえると嬉しいですね。

先ほど申し上げたように、今後のビジネスの軸がデータになることを考えると、既存事業の延長を越えて、深くデータに入り込む必要が出てくるフェーズがやってきます。

そうなった時に、今あるデータが宝のもち腐れになる可能性もあるので、それをビジネスに昇華することができる人材が必要だと考えています。

特に「人間の行動心理」に興味がある人には、面白いデータが集まっているのではないでしょうか。人が日常的に行う意思決定の一つである「購買」というアクションの裏側で、人はどんなことを考え、商品の購入に至るのか。もしくは逆に、なぜ商品サイトから離脱したのか。

それを科学するのは、非常に大きな可能性があると思います。たとえば商品購入を促すだけではなく、LTVを最適化しようとした時に、特定商品を購入させず代替案を提案する、というアプローチをすることも可能になります。

たとえば、データを使用したアイデアやビジネスプランを集めたアワードやコンペティションを実施してみて、そこからデータサイエンティストと出会う入口をつくれたりすると面白いかもしれません。


佐藤(三菱UFJキャピタル) 
改めて感じますが、当社はチームとしてのまとまりの良さが最大の魅力の一つだと感じています。磯山社長は営業サイドのご出身ですが、営業管理や開発部門にそれぞれ最適な人材が配置されており、信頼できる組織体制を構築しています。

まずは現状の組織を強化しながら、既存事業の着実な成長を期待しています。当社は業界ですでに第一想起されている印象はありますが、既存市場が大きいのでさらに大きな成長を目指すことが可能です。

またこの領域は、競合が少ないかつ当面新たな競争者が出にくいと考えています。理由としては、各決済手段を横断してRPA的に処理する手法が、すでに当社にノウハウとして蓄積されていることが大きいです。

新規参入者は何かトラブルが発生しないとノウハウ蓄積は困難なものですが、決済部分でトラブルが発生するということはクライアントからの即時解約につながるため参入が困難。

すでにノウハウを蓄積し、No1の地位を獲得している当社との競争は、参入意欲が湧きにくいとも思われます。

また繰り返しになりますが、当社はチャットボットの会社ではなく、コミュニケーションのインフラをつくる会社だと捉えています。今後は、さらにどう自分たちをブランディングするのか、また市場とのコミュニケーションも一つのカギになるのではないかと考えています。


原田(みずほキャピタル ) 
メタバースやAIなど新しいテクノロジーの誕生により、企業と人のコミュニケーションの在り方が大きく変化しています。

そんななか、そうした大きな変化に対応するためのコミュニケーションのノウハウなど優れたアセットや、組織においても多様なメンバーが集まっているのがwevnalだと思います。

また決済からリピート促進まで、顧客が求めるソリューションを揃えることができている。企業と顧客間のコミュニケーション上の不合理を解決できるサービスへと、着実に進化していると感じます。

今後は、よりAIをはじめとした技術革新とコミュニケーションのアセットを組み合わせることで、新しい未来が生まれると期待しています。


北川(ソニーベンチャーズ)
 私たちが今後期待することは、大きく2つあります。
 
まず一つ目は、より大きなマーケットへのチャレンジです。
 
以前からD2Cの世界では、「モノ売り」から「コト売り」への転換という大きなトレンドがありましたが、それは他の業界でも同様の変化が起きていると感じています。要するに、顧客とのエンゲージメントをどう形成するか、これがビジネスのテーマになっているのだと思います。
 
そうした変化があるなかで、必ずしもwevnalはeコマースだけにとどまらない領域に、ソリューションや価値を提供できると考えています。
 
二つ目は、最新テクノロジーの実装です。
 
いま「生成系AI」の話がホットトピックですが、チャットボットというソリューションにとって、この技術は極めて現実的かつ早期に実装しやすい領域です。
 
wevnalのビジネスモデルとしても、売上連動型のSaaSという位置付けになるので、パフォーマンスを出せれば顧客満足度は高まる。一方で、非売上連動型のSaaSと比較して、
顧客側の感度も高いので、その期待にさらに応える価値を提供しないといけません。
 
すでに一部実装は進めているところだと思いますが、「最新ユースケースのショーケース」として、今後より業界を牽引する存在になることを期待しています。


磯山 
みなさま、今日はありがとうございました。改めて事業のスケールに真摯に取り組みながら、他領域の展開やグローバルなどを見据えてさまざまな可能性を探索していきたいと思える時間でした。

今でも社内では「誰の」「どんな」課題を解決するのか、という議論をしながら、あくまでお客様の課題を解決するために新しいソリューションを提案することを私たちは大切にしています。お客様の課題解決と自分たちのビジネスの成長の両立を実現しながら、業界をより良い方向に導くことを目指していきたいと考えています。

そして目先の事業成長に誠実に向き合いながら、新しい未来やプロダクトの開発に挑んでいきたい。未来の視点を大切にしながらも、目の前の顧客課題と真摯に向き合うことを忘れない。

この「今」と「未来」の両輪を大切にしながら、顧客やマーケットの課題を解決したいという思いはぶらさずこれからも突き進んでいきたいと思います。

私たちは、人と企業の心地よいコミュニケーションを実現しながら、購買行動だけの貢献にとどまらない、新しいプラットフォーム像を探求していきたいと考えています。
ぜひ、私たちが目指す未来に共感いただいた方や、ともに挑戦したいと少しでも感じることができた方がいましたら、新しい未来をつくる挑戦を一緒にできると嬉しく思います。


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