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(後半)放送法を巡る流れ ~ 立憲が「論理が飛躍している」と言われるまで

3/24に参院予算委員会で岸田首相が高市大臣の罷免を求められ、「あまりに論理が飛躍しているのではないか」と答弁したように、僕も立憲民主党の質疑がズレてきたように感じましたので、まずはココまでで一旦まとめたいと思います。

「放送法を巡る問題」ってなに?

3/2

小西議員(立憲民主党)が、2016年の安倍政権時に放送法の政府解釈を、事実上変更する際に作成されたとされる総務省の内部文書を公表しました。

小西議員は、内閣法制局の審査を経ずに「一部の権力者によって都合のいい解釈に放送法が私物化されている」と批判しました。

内部文書「礒崎総理補佐官ご説明結果」には、解釈変更に抵抗していた総務省側に対し、当時の礒崎補佐官が「この件は俺と総理(安倍)が決める話」と圧力をかけたという内容であったとされています。

3/3

<議員の発言>
参院予算委員会で松本総務相が、番組の政治的公平性を定めた放送法の政府解釈を巡り、同資料について「正確性を確認できない」と発言。

当時総務相だった高市経済安全保障担当相が、同資料について「信憑性に大いに疑問を持っている。全くの捏造文書だ」と発言。

小西議員が「捏造でなければ閣僚、議員を辞職するということでよいか」と尋ねたのに対し、高市大臣は「結構だ」と応じた。

<捏造とは>
事実でないことを事実のようにこしらえること。でっちあげること。

デジタル大辞泉 より

内部文書の問題点

総務省は当時、放送法が定める政治的公平性に関し「放送局の番組全体を見て判断する」という従来解釈に、「一つの番組でも判断できる」と新たな解釈を加えたが、その裏で、官邸が解釈の補充を同省に迫ったとする経緯が記されています。

文書には、安倍首相(当時)が高市総務大臣(当時)との電話で、「今までの放送法の解釈はおかしい」と主張する場面もあったとされています。
コレについて、高市大臣は「信憑性に大いに疑問を持っている。非常に悪意を持って作られた文書だ」と否定しています。

しかし、官邸内で解釈の補充を強く求めたのは礒崎補佐官で、総務省幹部に「この件は俺と総理が2人で決める話」「俺の顔をつぶすなら、首が飛ぶぞ」「無駄な抵抗はしない方がいい」などの発言があったと記されています。

岸田首相は、参院予算委員会で「正確性が定かでない」と答弁しています。

礒崎氏がTwitterで発言

礒崎氏(2019年落選)は3/3にTwitterで、放送法が定める政治的公平性の解釈を巡り、総務省に働き掛けたことを認めました。

コレにより、内部文書の一部が裏付けられた形になりました。

Twitterでは「首相補佐官在任中に、政治的公平性の解釈について、総務省と意見交換したのは事実だ。政府解釈では分かりにくいので、補充的説明をしてはどうかと意見した」「数回にわたって意見交換し、それらの経緯も踏まえ、総務相(高市大臣)が適切に判断した」と記しました。

「この件は俺と総理が2人で決める話」という点について、礒崎氏は「総務省が『官房長官にも話をすべきだ』と言ってきたから『それは私の仕事ではない。総務省の仕事だ』と伝えたものだ」と発言しました。

3/6

岸田首相は「総務省で精査することが必要だ」と述べ、引き続き内容を確認する考えを示しました。

これに対し、石橋議員(立憲民主党)は、政治的公平性の解釈について、安倍政権下で総務省に働き掛けを行った礒崎氏の証人喚問を要求しました。

礒崎氏の関与について、総務省の今川官房長は、「2015年ごろに当時の礒崎補佐官に放送法の解釈の問い合わせを受け、これを契機として、解釈の補充的説明が示されたことは確認されている」と述べました。

岸田首相は当時の首相官邸と総務省とのやりとりに関し、「報道の自由への介入などの指摘は当たらない」との認識を示しました。

3/7

松本総務相は閣議後記者会見で、放送法が定めた番組の政治的公平性の解釈を巡る首相官邸と同省とのやりとりを記した内部文書とされる資料について、「全て総務省の行政文書であることが確認できた」「記載内容の正確性が確認できないもの、作成の経緯が判明しないものがある」と明らかにした上で、同日午後に文書を公表しました。

資料は約80枚で、放送法の解釈を巡り、安倍政権が総務省に圧力をかけたとされる経緯が記されています。

3/3に捏造でなければ議員辞職する考えを示していた、高市大臣は7日の会見で、「内容が不正確」と改めて指摘し、「辞職を迫るのであれば完全に正確なものであることを、小西議員も立証しなければならない」と主張しました。

立憲民主党は参院予算委員会理事会で、「行政文書である以上、正確性は確保されているはずだ」と反発しています。

3/8

高市大臣は参院予算委員会で内部文書に関し、自身に関する4枚について捏造であり「なぜ不正確な文書に従って私が辞めないといけないのか」と議員辞職を否定しました。

また質疑で「このようなレク(説明)を受けたはずはない。放送法解釈で安倍氏と電話したことはない」と否定しました。

礒崎氏が総務省に解釈見直しを働き掛けたことに関しては、「礒崎氏が放送行政に興味をお持ちだと知ったのは、今年の3月になってからだ」と述べました。

3/9

高市大臣は9日の衆院本会議で、内部文書について「(当時総務相だった)私の発言とされる内容につき、私は一切発言していない」「総務省に正確性が確認されていない文書が保存されていたことは大変残念で、私自身、大きなショックを受けている」と答弁しました。

高市大臣は、自身が文書の配布先から外されていた(通常は関係者に文書作成後確認することで正しい文書を保管する)上、大臣室から文書の保存先フォルダへのアクセスもできなかったため「確認のしようがなかった」と強調しました。

3/13

総務省の小笠原情報流通行政局長は内部文書に関し、当時総務相だった高市大臣に対する2015.2.13の大臣レクについて、「行われた可能性が高い」との認識を示しました。

小笠原氏によると、レクの記録作成者は「確実な仕事を心掛けており、上司の関与を経て文書が残っているのであれば、レクが行われたのではないか」と説明しましたが一方で、「文書に記載された内容が正確か否か、現時点で答えることは困難だ」としています。

これに対し、高市大臣は「その時期はたくさんレクがあり、何月何日の何時にどのレクがあったか、確認の取りようがないが、紙に書かれている内容は自信を持って否定する」と述べました。

3/14

高市大臣が衆院本会議で、否定してきた2015.2.13の大臣レクについて、「2月はNHK予算の国会提出に向けた準備を急いでいた時期なので、これに関するレクを受けた可能性はあり得る」と、レクの有無について認める発言を行いました。

ただ、詳細については「総務省にも問い合わせたが、8年も前の大臣スケジュールは残っていない。確認する方法はない」と述べるにとどめました。

3/15

全面否定したのち、「受けた可能性はあり得る」と表明した事に対し、の杉尾議員(立憲民主党)が「ずるずる答弁が変わっている」と追及しました。

それに対し、「私が信用できないのであればもう質問しないでほしい」と答弁したことで、高市大臣への謝罪要求に発展しました。

3/17

総務省は、礒崎補佐官(当時)が、解釈の補充案を同省と「議論した」と認めたことを報告しました。

コレについて高市大臣が、「2月の時点でレクチャーを受けたことはあり得ない。仮に礒崎氏が職員を何度も呼んでいると知ったら、今大変忙しいと猛烈に抗議していたはずだ」と述べました。

3/20

議論が「官邸の圧力や放送法の解釈」ではなく、文書が正確か否かにズレていることから「もう潔く辞職すべきだ。いまさら正確性の議論なんかしていてはいけない」と小西議員(立憲民主党)が発言しました。

23年度予算委員会が終わると追及の場が少なくなることから、このままズレた議論が解決しないと、主題であったはずの「政治的公平性」の議論が進展しないまま終わることになります。

3/22

総務省が内部文書を巡り、捏造とされていた大臣レクについて、「担当者が原案を作成した認識はある。(部下に)作成してもらった記憶がある」と証言したことを参院予算委員会理事懇談会に提出しました。

3/24

参院予算委員会で岸田首相が、石垣議員(立憲民主党)から高市大臣の罷免を求められ、「あまりに論理が飛躍しているのではないか」と拒否しました。

また「総務省の精査によれば内容の正確性は確認できなかった」と指摘した上で、「引き続き正確性を議論しなければならない」と述べました。


最後に

流れを書くだけで、長文noteになってしまいましたが、

結局のところ、立憲民主党は「新たなエサにつられて、気がつけば聞きたいことから遠ざけられ、質疑期限切れ」という運びになりそうです。

本題の「官邸の圧力や放送法の解釈」に話を戻したいという意見には賛成ですが、そもそも文書が正確であることが前提になるので、「いまさら正確性の議論なんかしていてはいけない」というのは、意味が分かりません。

今回の予算委員会に、どれだけの税金が投じられたかは分かりませんが、日頃から別の委員会で話を煮詰めてから、予算委員会で決着付ける流れを作ってもらいたいものです。

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