「くいしばり」で困っている方へ
金曜日は、セルフケアや症例などをシェアしています。
今回は「くいしばり」で困っている方に、対策と改善のヒントをお伝えします。
くいしばりは悪ではない
とても大切なことで、この理解が間違うと治るものも治らないので、一番始めにお伝えします。
<くいしばりの効果>
・力が入る
・筋肉が緊張する
・関節が固定される
「くいしばり」は、悪い意味で使われることが多いですが、スポーツやケガの回避、姿勢維持をするのに、とても大きな役割を持っています。
ただ、力のコントロールが難しく、場合によっては歯を痛めることがあるため、必要に応じてマウスピースなどの対策が必要とされています。
しばしば悪いイメージを持つ方がいますが、この方々は、コントロールできない状態を放置していたり、間違った処置をしてしまっているケースが多いように感じています。
逆を言えば、正しいコントロール法を身につけたり、正しい処置を行うことで問題を回避することができます。
2つの「くいしばり」
無意識:脳が必要と判断し自動的に行う
意識:目的達成のために意図的に行う
<くいしばりの効果>
・力が入る
・筋肉が緊張する
・関節が固定される
「くいしばり」には、無意識タイプ(以降、無意識)と意識タイプ(以降、意識)の2種類がありますが、効果はともに同じです。
一般的に悪い意味で使われる、無意識の「くいしばり」は、脳が必要と判断した結果なので、不要な状態を作れば勝手に治ります。
無意識の「くいしばり」の意味
さて、先ほど脳が必要と判断したと言いましたが、「必要っていったい何を?」だと思いますか?
・・・
答えは、
・普通以上の力
・筋肉の緊張
・関節の固定
のいずれかか、または全部です。
つまり、今の体は⇩のいずれかの状態でSOSを発信しているということなんです。
・普通以上の力が必要な状態
・筋肉が緊張しないといけない状態
・関節が固定されないといけない状態
セルフケアで行えること
セルフケアでできることは4つです。
①不安定な場所にいる時間を減らす
②体幹トレーニングはNG
③ストレッチはNG
④猫背を意識してはいけない
<①不安定な場所にいる時間を減らす>
手すりなど細い棒の上に立つと、バランスを保とうと余計な場所に力が入るのは想像できると思います。
例えば、バランスボールや低反発マットレス、柔らかいソファ、ヒールなどは、体からすると不安定な場所になるので避けておきましょう。
<②体幹トレーニングはNG>
体幹トレーニングは、不安定な場所でも安定できるようになるためのトレーニングです。
良さそうに感じますが、コレは症状があるときにするものではありません。
例えば、重い物を持って骨折した人が、持てるようにトレーニングするのはケガが治ってからなのと同じ理屈です。
やるなら、症状が治まってからです。
<③ストレッチはNG>
「筋肉の緊張が必要な状態」「関節の固定が必要な状態」の時に、緊張を和らげたり、関節を動きやすくするというのは、悪化因子しかありません。
余計に緊張感が高まるだけなので注意しましょう。
くいしばりやすい方は、症状が消えてもやらない方がいいタイプだと思っておいてください。
<④猫背を意識してはいけない>
猫背を意識して治そうとする人は、胸の前を広げようとします。
極端にやっていただくと分かりやすいですが、胸の前を広げると、少しアゴを引く姿勢になります。
体は、アゴを引くとくいしばりやすくなり、アゴを出すと口が開きやすくなります。
アゴを引く動作は極力やめましょう。
治療院ができること
カイロプラクティックのような、一般的に治療院と呼ばれる場所でできることは3つです。
⑤体から不安定要因を取り除くこと
⑥体を安定させること
⑦生活を聞き、原因を見つけ、避ける生活を提案すること
多くの場合、関節の不安定性が原因となっているため、その関節の負担を減らす治療(施術)と、安定させる治療(施術)を中心に行います。
バキバキする治療法やストレッチ系は、関節の不安定性を誘発するので、このケースで行うことはほとんどありません。
症状の原因は、100%いまの生活にありますので、セラピストにはしっかり自分の生活を伝えてください。
伝えるほど、提案してもらえることが増え、早期改善につながります。
改善が難しいタイプの人
「くいしばり」の原因の中には、残念ながら治せないものもあります。
⑧事故や、オペ、ケガなど外的要因により、関節が不安定になった場合
⑨かみ合わせのために、歯を削ったことがある場合
<⑧事故や、オペ、ケガなど外的要因により、関節が不安定になった場合>
体が器質的(物理的)に変化してしまっていることが原因の場合は、原因の発生から発症までの期間により、改善の確率が変わります。
もちろん、期間が開くほどに難しくなります。
早めにプロに相談しましょう。
<⑨かみ合わせのために、歯を削ったことがある人>
かみ合わせは、姿勢の変化により変わります。
左右で勾配のある場所に立つと分かりますが、左が高い所に立つと左でくいしばり、右が高いと右でくいしばります。
つまり体に歪みが生じると、くいしばりに左右差が出るのは自然なことです。
仮に、コレをチェックする前に歯を削ってしまっていると、姿勢を整えた時に、かみ合わせが崩れ「頭痛や肩こり、くいしばり」などの症状が出やすくなります。
そして体はそちらの改善を優先するため、姿勢がまた歪み、それが原因でまたくいしばりが起こるという負の連鎖を起こします。
最後に
セルフケアの①③④でもかんたんに触れましたが、原因のほとんどは「良いと思ってやっていること」「当たり前にやっていること」にあります。
そして、②で説明した通り、まずは原因につながるような①~④をやめることが大切です。
またセルフケアは改善の限界があるので、専門家に頼ることも必要だということも知っておいてください。
治療院を探す際は⑧⑨のケースについても、ちゃんと説明してくれる店を選びましょう。
何でもかんでも「治る」というのは理想的ですが、現実にはありえません。
皆さんの症状が早く改善することを願っています。
ではまた