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やっぱり、お腹 その2

その1からの続きです。

と、いうわけで、私の腸内細菌の検査結果をお見せしましょう。

アメリカのDiagnostic Solutions社のGI mapという、便に含まれる腸内細菌の遺伝子検査です。細菌・真菌・寄生虫・ピロリ菌の細かい分類や割合を高い精度で検査できます。善玉菌だけでなく、キーとなる病原菌や日和見菌(共生菌)の割合も全て提示してくれます。

現在、海外の腸内細菌検査の主流の一つになっていますが、数多くある他の便検査との違いは精度の高さ。その精度の高さにより、特定の疾患とその症状との関連性を探ることができ、対応を明確に提示できます。

まずはさまざまな消化器症状を起こす原因となる病原菌のチェック。これらも消化器系の症状だけでなく、既存の疾患がある場合にその症状を悪化させます。私は該当なし。

病原菌
ピロリ菌とその種類
真菌・イースト菌とウイルス
寄生虫

ピロリ菌は若干出ていますが、偽陽性が出ることも多く、念の為病院で呼気検査をして、ピロリ菌はいないことを確認済み。

消化器系の問題だけでなく、アトピー、アレルギー、喘息などに関しても、ピロリ菌がいる場合はピロリ菌を除去しないと症状の改善が難しいようです。

これまで、ピロリ菌がいたとしても消化器系の症状がなければ無理に除去をしなくてもよいのではないかと考えていましたが、ピロリ菌がいることで消化酵素の分泌の状態なども変わってくるので、関連する疾患がある場合はきちんと除去する必要があると改めて認識しました。

寄生虫もウイルスも、アトピーの人に多いカンジダ菌などの真菌類も幸いいませんでした。

以下「Commensal/Keystone Bacteria」が健康の要となる共生菌の状態を示しています。緑のラインに収まっていれば理想。ピンクに振れたら、少なすぎか多すぎか。これで見えるのは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌はちゃんといることが確認できます。腸内細菌を大きくわけたバクテロイデス門とファーミキューテス門のバランスも問題なし。一見、問題ないように見えます。

ただ、共生菌の大腸菌(良い働きをするものもある)とエンテロバクター属が多い方に振れているので、腸内の炎症が起こっている可能性があり、また、アトピーの人の典型パターンであるアッカーマンシア・ムシニフィラの不在が見られました。アッカーマンシアは粘膜の強化や炎症の抑制に関わっていて、肥満・糖尿病の人にもアッカーマンシア不足が見られると言われています。「ないだろうな」と思っていたら、本当にありませんでした。

共生菌

と、ここまでの結果で、よく言われるような悪玉の菌やカンジダ菌などの増殖や、善玉菌の不足はなく、だからこそ、消化器系の問題は起こっていなかったのかもしれません。

ただし、問題は、日和見菌のバランス。そこを掘り下げていくといろいろ見えてきます。

以下でHighになっているシュードモナス属、エンテロバクター属、フソバクテリウム属はヒスタミンを産生する菌で、黄色ブドウ球菌とレンサ球菌は肥満細胞を活性化させる菌

これらがアレルギーの反応を強め、ヒスタミンに過敏に反応し、体内のアレルギー反応を持続させる要因になっていたようです。

これらの菌がせっせせっせとヒスタミンを作り続け、高ヒスタミン食にも反応し、肥満細胞を活性化させて、炎症を継続させる。

いくらヒスタミンを分解するための栄養を摂っていても、ヒスタミンを作る方が圧倒的に多いので分解が追いつかず、ずっと高ヒスタミン食材が食べれない。炎症についても、一生懸命抗炎症作用のあるものを摂っていても完全に鎮火することなく燻り続ける、という仕組みだったようです。

また、以下に列記されている菌で、水素ガス、メタンガス、硫化水素ガスを発生させる菌の有無がわかるので、SIBOのトリートメントの指標にもなります。

各細菌や各検査項目と、リーキーガット、炎症、およびディスバイオーシスなどの関連性もわかるので、どの菌がどの症状に関連しているか、プラクティショナーが探る手がかりになってくれます。

ちなみにこの検査ではピロリ菌に対してその人に効果のある抗生剤も提示してくれます。

また、「腸内健康マーカー」として、消化酵素の有無、腸免疫の状態がわかる分泌型IgA、グルテンへの耐性を示す抗グリアジンIgAの状態、および炎症の状態を示すカルプロテクチンなどもわかります。

この検査の結果でもプラクティショナーはリーキーガットの有無はだいたいわかるのですが、ゾヌリンも追加して検査をすれば一般の方もご自分がリーキーガットかどうかが簡単に確定できます。

ちなみに世の中、腸内細菌検査や重金属検査などさまざまな機能性検査がありますが、その違いは使う機械や技術とその精度と言われています。各社、得意不得意分野があり、検査項目の構成やそこに付随するエビデンスの有無により、トリートメントに繋げる道筋を立てやすさの違いなどもあります。

GI mapはプラクティショナーにとってそれがやりやすい、治療に繋げやすい検査です。(海外の他社にもいくつか似たような遺伝子検査があるのでそれらでもよいかとは思います)

で、これらの結果をもとに、細菌の除去を得意とするハーブや、真菌・寄生虫・ピロリ菌の除去を得意とするハーブを使い分けて、また、必要なプロバイオティクスや腸のサポートハーブや栄養素を組み合わせて、除菌・消化のサポート・粘膜の修復・腸内細菌の再培養を、多角的・包括的に必要に応じて行なっていきます。

この腸内細菌の状態は、上述の糖尿病、肥満、アトピーのほか、喘息や呼吸器系疾患、SIBOやIBS、消化器系疾患だけでなく、うつや不安症、認知症、婦人科系疾患などさまざまな疾患や症状に関わります。

消化器の問題に関しては海外のクライアントで受けている人が多いですし、ナチュロパシーではお腹はとても重要なのでナチュロパスもよく使う主要な検査の1つです。

で、今回個人的に盲点だったのが、消化器の問題が出ていないからといって、問題がないわけではない、ということ。特にアレルギーやヒスタミン不耐症や呼吸器の問題。

腸内細菌を育てるのに良いことや、リーキーガットを修復することは、十分に認識し、実践もしていたけれども、まさか自分が除菌が必要な状態だとは思っていなかったのです。

問題となる日和見菌が多いままの状態で腸に良いことをしていても、せっせとそれら日和見菌を育てていただけな模様。

今回、この結果をもとに問題となる日和見菌を除去するハーブを摂り始めてからすぐに、1年動かなかった手のアトピーが内側からぐんぐん治っていきました。そして、なかなか治らなかった喘息も一緒に引いていきました。

豊富にいく前からアトピーが治り始めてしまったので、豊富に行ってからはそれまで控えていた発酵食品を積極的に食べるように慣らしていきました。

豊富温泉以外であんなふうにアトピーが治ったことはないので、ちょっとびっくりです。

アトピーに関しては、腸内細菌の問題だけでもないので、多角的なアプローチが必要ですが(私のクライアントさんたちも除菌せずにアトピーが治っている人たちはたくさんいます)、高価なので誰にでも勧められるわけではないけれども、いろいろ試して慢性化して「あれもこれもしてるのに!」という人や、「昔一旦治ったのに再発して慢性化・難治化している」と言う人は考えてみても良いかと思います。

あと、この検査は海外では一般的なので、海外のSIBOのクライアントさんたちで受けている人も結構いるのですが、自分で長く除菌をしてきた人で、日和見菌が死んでしまって枯渇している人が多くみられます。

これまで除菌をしたことのない人は適切な期間の除菌が症状の改善につながることがあると思います。

ただ、長年自分でお腹の除菌をしてきた人は、長く除菌を継続し、かつ、低FODMAPを続けていることで、良い菌や共生菌が育たずに、菌全体が枯渇してしまいます。ガスを発生させる菌が決して多いわけではないのに、共生菌が少なすぎてガスなどの症状が出てしまう。

そうなるとトリートメントの方法が変わってくるので、過剰な除菌は要注意。

あと、腸内細菌を育てるのにFODMAPは重要なので、いずれFODMAPは食べれるようにならないといけないことを、SIBOの人は頭の隅においておいてくださいね。

なお、特定のクリニックの宣伝になってしまうので、どこで受けられるかはここでは記載しませんが、いくつかの分子栄養学クリニックで検査だけも可能なようなので、「やってみたい」という方はご自身で調べて受けてみてくださいね。



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