見出し画像

リモートワークの衰退


日本企業

 日本企業の出社率が上昇している。日本政策投資銀行が8月3日に発表した「2023年度設備投資計画調査」によると新型コロナウイルスの5類移行を背景に完全出社に戻したい企業が増えていることがわかった。大企業の32%が完全出社を従業員に望んでいる。
 また、日本生産性本部の調査でも出社形態への回帰が見られる。調査によると、働く人のテレワーク実施率は15.5%となり過去最低を記録した。週5日テレワークを実施する人の割合も14.1%と半年前の調査から半減した。特に大企業の減少幅が大きくテレワークの実施は一月の調査から11.3ポイント減の22.7%であった。

アメリカ企業

 リモート勤務の代名詞とも言える「Zoom」の運営会社は従業員に対してオフィス勤務に戻るように支持したと伝えられた。また、Amazonは最低オフィス勤務日数を満たしていない従業員に対して、オフィス勤務という「会社の期待」に応えられていないと伝えた。

 アメリカではJ.P.Morganのジェイミー・ダイモンCEOの様に以前からリモートワークに否定的な人物がいる一方で、Airb&bのブライアン・チェスキーCEOの様に世界中のどこからでも働けるようにするとする経営者もいる。

 いずれの陣営も互いに都合の良いデータを引っ張ってきて自身の論調を補強している。ただ、全体的な流れとしては、週の半分以上の出社を求めている企業が多い様に見受けられる。

ハイブリッド勤務と言う概念

 Bloombergの記事によると、マサチューセッツ工科大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると完全在宅勤務の労働者はオフィス勤務の労働者に比べて18%生産性が低いことがわかった。

 また、「ワーケーション」という言葉も誕生した。「ワーク」と「バケーション」を融合させた言葉で、観光地に行き仕事と遊びを両立する方法である。この言葉も徐々に破綻している。これは個人的な感覚であるが、遊びと仕事を両立させることはできないと思う。観光地に行けば仕事なんかやる気が出なくてやっていられない。

 ただここで一つ書き足さなくてはならないのは、ハイブリッド勤務という概念はコロナ禍が始まって以来、急速に使われ出したということである。つまり、まだ生まれて3年程の労働形態である。それ故、現状は試行錯誤の段階である。転職が盛んな諸外国だけでなく、雇用が流動化し始めている日本でも職種ごと、企業ごとに最適解を模索している最中であり、画一的なものが解答ではないと言うことを忘れてはいけない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?