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テレワークか出社か

別れる対応

 経営者は労働者を出社させるかテレワークを認めるか厳しい決断を迫られている。日本においては、筆者が予想するよりもテレワークが浸透している。例えば、NTTが「リモートワークを基本とする新たな働き方の導入」と題した発表では、住む場所の自由度を高め日本全国どこからでも働ける様にするとしている。

 また、Airbnbのブライアン・チェスキーCEOは同社の社員が恒久的にテレワークできる様にすると発表した。「我々が知っているようなオフィスは終わった」とし給料をカットされることなく全世界から働ける仕組みを作るとしている。

 一方で、アメリカの経営者の中でも判断が分かれている。例えばテスラのイーロン・マスク CEOやJ Pモルガンジェイミー・ダイモンCEOは社員に対して出社するように求めている。理由としては、対面で会うことによる生産性はテレワークのそれを上回るとしている。

労働者VS経営者

 出社するか否かは経営者にとっても従業員にとっても大きな問題である。昨年マスクCEOは最低40時間オフィスで働くか会社を去るか選択しろと言うメールを従業員に送った。最低週40時間となると強制出社に近いが、対面で会うからこそ生産性向上に繋がると考えているようだ。この考え方に通じる発言をダイモンCEOもしている。

 一方で原則出社とする方針に反対する声も少なくない。少し古い情報になるが2021年Appleが週3日のオフィス出社を義務化すると発表した際には一部従業員がテレワークを続けられなければ退社を検討すると主張していると報道された。

 日本企業もテレワークを導入している企業は珍しく無くなった。また、テレワークよりも出社日数の多い会社も所謂オフィスではなく、従業員同士が気軽に使えるフリースペースの充実を図っている。

 これまで会社は原則、毎日出社としていた。これはどこの企業でも見られた当たり前の姿であった。しかし、コロナ禍を経て仕事に多様さが生まれ、オフィスに出社することだけが働き方の形態では無くなってきている。

付加価値

 ここからは少し主観的な内容になるが、オフィスの役割について考えていきたい。これまでのオフィスの構造はおおよそ一人に一つ一定の区画が与えられその中で仕事をしていた。時には会議室に集まって議論を交わしていた。しかし、コロナ禍を経てオフィスは様変わりし始めている。コロナ禍では屋内に留まることが推奨されたが故に対面の機会を逸した。私たちは意外と対面で会わない寂しさを感じたと思う(勿論、嫌な奴と顔を合わせずに済む利点もある)。今日において、完全な出社では無くハイブリット型(出社とリモートワークの組み合わせ)を採用する企業が増加した。その中でオフィスに出社する際には自分の区画に籠るだけでなくフリースペースとして活用できる場所の提供が多くなった。従業員間のコミュニケーションの促進を期待しての設計だと思われる。

 また、AMUSEは昨年、本社を渋谷から山梨県に本社を移転した。社長はその狙いを「仕事と遊びの間には重要なことがある」とし「仕事でありながら遊び心がある場所に身を置くことで必ず面白い発想が生まれる」としている。仕事だけでなく遊び心も持たせることによって新たなトレンドを作ろうとするのはエンタメ企業ならではの視点である。

 これからの企業は出社した時だけでなく、家から出た瞬間から従業員が不満を抱えない様な制度設計が経営者に求められる。

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