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分たれゆく世界

ウクライナ侵攻の影響

 ウクライナ侵攻がもたらした第一の影響はウクライナ国民の犠牲や困窮である。その上でここにおける影響とは国際社会の「分断」と「腐れ縁」が明確に表面化していることである。UNで行われた対ロシア批難決議に際しては、ロシアから支援を受けている国や政治体制の観点からロシア批難決議に反対する国も多かった。また、UN加盟国中(193ヶ国)、対ロシア制裁に参加している国は40カ国程度に止まっている。

 そして、ロシアに対して中立的な立場を採る国でさえ、ロシア産製品の輸入量を増加させている国が多い。例えば、インドや中東、中国は安価になったロシア産原油の輸入量が侵攻以前に比べて大幅に増加している。また、制裁を課している西側の製品が制裁に参加していない第三国を経由してロシア国内で依然として販売されている実態もある。更に、正規のブランド名での販売は制裁の対象になるため新たな会社を設立し、ブランド名を変更して以前と全く変わらない品質でロシア国内に販売しているブランドもある。

 最近はロシアに対して真正面から支持する国は減少しているが、それでも政治ではロシアに強く出ているがビジネスになるとロシア産製品に頼らなくてはいけない国が多いジレンマに国際社会は苛まれている。伝統的な西側対東側だけでなく民主主義対それ以外の政治体制、先進国対発展途上国など一つの切り口からでは判断できなくなっている。

グローバル・サウス

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