【コロナ禍の健康管理4】企業が投資すべき「チーム戦略」とは
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【コロナ禍の健康管理4】企業が投資すべき「チーム戦略」とは

WellGoウェビナー「〈チームになる〉とは何か?~信用・信頼・信仰」より


新型コロナウイルス感染症の流行による影響がおさまらない年明けとなりました。人との接触が分断されコミュニケーションのあり方が大きく変わった今、何をよりどころに企業は進んでいけばよいのか、先行きの不透明な時代が続きます。

これからの企業経営で鍵となるのは、従業員が肉体的にも精神的にも個人として満たされる働き方のできる場づくりと、急変するデジタル化の波に対応し人材の価値創造を促すチーム戦略です。

2020年12月16日、予防医学研究の第一人者として活躍する、公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事の石川善樹氏をお招きし、ウェビナーを開催しました。
コロナ禍における職場環境のありかたや、現場で起きている本質的課題に迫ります。


チーム戦略のヒントは「関係性」と「重心」

チームになるための戦略とはどのようなものかを考える前に、そもそも「チームとは何か」について考えを揃えておきましょう。

ここで注目するのは関係性です。職場で重要なのは上司と部下のタテの関係ですが、このつながりだけではチームとはいえません。ヨコのつながりが要ります。つまり、メンバー同士の関係性も深まってはじめてチームと呼べるようになるのです。

もうひとつ、「戦略とは何か」についても明確にしておきましょう。
戦略とは大きな方向性です。成功に導くため、チームの何に重きを置いて進むのか。
重心、いわゆるツボを突くわけです。

戦略と似て非なる言葉に戦術があります。戦術はどうやってツボを突くかのノウハウを指します。企業経営について考える際によく話されるのは戦術の方で、どのように運営していくかの話は多いのですが、実は重要なのは戦略。どこに重点を置くかの方針が明確でないとうまく進んでいきません。

チーム戦略は、メンバーの関係性についてどこに重心を置くかが肝だといえます。
具体的には、どのようなポイントを押さえていくとよいのでしょうか。


チーム戦略を「機能体」と「共同体」の構造で考える

チーム構造を関係性の違いからみると、大きく「機能体」と「共同体」に分かれます。

機能体は、個をひとつの機能として扱い、タスクに最適な配置をすることでプロジェクトを回していきます。いわゆるジョブ型です。メンバーは組み換えのきくひとつの機能ですから個性は必要なし。個別のつながりは重視されません。

共同体はその逆で、個の特性やつながりを重視するメンバーシップ型です。メンバー同士の関係性に大きく依存し、つながりの力で発揮される力も成果の方向性も異なります。

一般的に欧米では機能体が好まれる傾向にあり、日本では共同体が重視されやすいといわれています。しかし、組織として機能体と共同体のどちらを採用すれば良いかという話ではありません。
チームの目指す方向により重点を移動させ、バランスをとっていく必要があるのです。

機能体のほうへ重心を傾けたチームにするときは、プロジェクトマネジメントをしっかりさせる必要があります。個人の特性によって成果が異なるような属人化が起きるとタスクは回りません。個別の力を伸ばすより全体最適が優先されます。

一方、共同体のほうへ重心を傾けると、極端な場合はカリスマ的な人への求心力でチームが動きます。典型的なのが宗教団体。教祖・経典・教団が揃うと宗教が出来上ってしまいます。

機能体と共同体のバランスをどの程度にするかは、業務の部署やフェーズによって求められる重点パターンが異なります。


機能体と共同体のバランスは3つの「信」に着目

機能体と共同体のバランスを考える際に注目したいのが3つの「信」による関係性です。

「信用」は、相手に対する理性的判断で、評価基準を超えたところで納得されて結びつきます。一方通行の関係です。
「信頼」は、互いの感情的結びつきで、双方向の関係です。ここでは仕事ができるかどうかといった評価にかかわらない関係性です。
「信仰」は、熱狂的なつながりです。理由なく教祖を見上げているような状態です。

チームとして成果を上げ続けるためにはさまざまな要素がありますが、ひとつに絞れといわれたら、最後に残る決定的要素は「信頼」です。

神経経済学という分野の研究を進め、オキシトシンと信頼の関係を初めて解明したチームのひとり、クレアモント大学院大学のポールザック教授が『TRUST FACTOR トラスト・ファクター~最強の組織をつくる新しいマネジメント』という書籍の中で、チーム戦略に信頼の文化を取り入れることの重要性について述べています。

例としてスポーツチームをみてみましょう。
勝率の高いサッカーチームがあり、要因を研究したところ、そのチームの監督だけがやっていた行動がありました。ゴールを決めたとき、最初に抱きあって祝福したのは得点を決めた選手ではなく、監督の隣でゲームを見守っていた用具係だったのです。

チームを勝利まで導いたのは、直接得点を決めた選手だけでなく、用具係をはじめチームとして貢献するすべての人の働きです。監督はチームメンバーの関係性を重視し、一見すると成果に直結していないようにみえる用具係を最初に祝福しました。
得点した選手を最初に褒めれば成果を第一とする機能体となり、信用の文化の中でチームの関係はギスギスしてしまいます。

「信頼の文化」は、直接の成果でなくチームとして貢献したすべての人を祝福することで育つのです。


職場に必要な「信頼の文化」を育む3つの問い

信頼の文化をどのように育てていけばよいか。そのヒントは問いの立て方にあります。

「仕事」は順調?
メンバーの仕事上での学びや変化を問います。
「志事」は順調?
人生が前に向かっているかを問います。
「私事」は順調?
よりプライベートな充実を問います。

このとき重要なのは、「順調」の内容は成果を聞くのではないというところ。内容で評価をするわけではありません。問いかけられたメンバーが、自ら学びや変化を感じ取っているかを問うようにします。

声をかける頻度の目安は、「仕事」は週に1回、「志事」は半年に1回程度でしょうか。
「私事」は毎日でも構いません。こまめにコミュニケーションの密度を高めましょう。


産業保健師からみたコロナ禍における職場の現状

石川氏の示す「あるべき姿」を目指す中では、現実には課題も多くみつかります。
ここからは、産業保健師として活躍する安岡美緒氏による職場の現状について語っていただきました。

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新型コロナウイルスの流行拡大により、テレワークなどのデジタル化が急速に進んだ結果、業務以外の雑談がなく、社内でのコミュニケーションが減りました。特に新入社員や単身者などに顕著です。
睡眠障害や運動不足など、メンタルの不調を訴えたり、予備軍のようになっている従業員が増えていることを実感します。

関係者へアンケートをとったところ、コミュニケーションが減ったと感じる人が80%という高い割合になりました。
産業保健師として関わる中でいうと、現場の方々との物理的にも心理的にも距離を感じること、また現場と産業医との橋渡しや身近な相談相手になる役割をなかなか果たすことができないという悩みがあります。

アンケートでも、健康経営の中で現場と産業保健師とのあいだに距離を感じると答えた割合が67%と高くなりました。
産業保健師は職場でひとり。孤独です。待ちの姿勢ではなく、積極的に関わって行きたいと思っていても、仕事の内容もつかめませんし、遠い存在となってしまって相談する機会がないという状態です。
加えて産業保健師が関わる業務は多岐にわたります。付随する事務仕事も当然多くなり、現場とのコミュニケーションにかけるエネルギーの余裕がなくなってしまいます。

実際、アンケートでも、コミュニケーションの時間が確保できていないと答えた割合は70%と高くなっています。
事務作業が多く、本来時間を割きたい業務――従業員や職場関係者との関係性をつくる働きに注力できないのです。


健康管理をデジタル化することで開く未来

これからの産業保健には、業務の効率化、特に本来業務の背景にある膨大な事務処理作業を効率化する仕組みの構築が不可欠です。

その鍵を握るのがシステム化。デジタル化して一元管理すると、作業ベースの業務の効率化を図り、浮いた時間を現場との関係性を深めたり産業医との橋渡しを行ったりする業務に充てることができます。

健康管理システム(WellGo)で効率的、効果的だったところを簡単にご紹介します。

まず、自動で行う就業判定。オンラインなのでいつでも画面上で確認できます。産業医がその場にいなくても自力で確認できるのはありがたいです。
また、経年の検診結果が同じフォーマットで整理されているため確認しやすいですし、検診データからグラフを簡単に作って健康管理の状況をわかりやすく表示できるため、職場ごとの取り組みにつなげる提案がしやすく、具体的なイベントも簡単にセットできて、施策がつくりやすいのも助かります。

もうひとつ、ナッジという行動認知を使った促しの機能がシステムに組み込まれているのが、実際の行動につながっています。
本人への告知がナッジを使った案内になっていて、危機感が伝わって行動してもらいやすくなっているのです。
ナッジを使った案内や健康イベントをうまく活用すると、実際に会うことがかなわない中でもコミュニケーションを補っていけて、信頼の関係性をつくりやすくなっていることを感じます。


これからの健康管理は大きな企業投資につながる

二人の講演の後、石川氏、安岡氏に加え、WellGo代表の原田を交えてトークセッションを行いました。

話は、講演で語られたチーム戦略の方向から、コロナ禍におけるコミュニケーションのあり方、関係性の深め方、一人ひとりの時間の使い方や働き方など多岐にわたりました。

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関係性を強めるなど重要なところへ時間を注ぐため、効率化できるところは積極的にシステム化を図ればよく、デジタル化は効果的な手段であるといえます。

コロナ禍ではテレワークなど急激に変わったコミュニケーションのあり方で、関係性の分断を取り上げられることが多くなっていますが、一方で、自分たちが能動的仕事と関わり、自律的に時間を使い、自分から行動を起こす素地ができたのは、これから関係性の重点が大きく変わる積極的な変化ともいえます。

雑談が減ってコミュニケーションがなくなったとか、仕事での学びが受けられなくなったという嘆きも、逆に言えば、能動的に時間を管理し、働く時間の余白をうまく使って自ら学ぼうとする人が伸びる時代になったといえるわけです。

人生100年時代、生産年齢人口の減少により労働形態も変わり、キャリアや価値観の多様化が進んでいるところへ新型コロナウイルスの流行が追い打ちをかけ、職場の関係性が大きく変わろうとしています。
自律的な生き方の多様性を認め、個を満たす環境を整えることが急務です。「信頼の文化」の職場づくりはその第一歩といえます。
そして、チームに関わる一人ひとりの健やかさをデジタル管理で支援する健康管理システムは、信頼の文化づくりの強力な推進力となります。

これからますます個の関係性が多様になり、企業経営の鍵を握るのが「人」へとシフトします。自律的・能動的に活躍するための人材への投資が重要になってくるでしょう。

世界の企業価値の評価は人材へと向かっています。アメリカなどではSDGsのゴールやESGなどのプロセスに人材戦略を取り込む動きがすでに始まっています。

次回のウェビナーでは、企業の投資価値からみた人材戦略を詳しく解きほぐします。


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株式会社WellGoでは、ESG/SDGs時代における人材への投資戦略としての健康経営について、ウェビナーを開催いたします。

開催日時:2021年1月25日(月)12:00~13:00
開催方法:Zoomウェビナー(無料/事前登録制)
タイトル:ESG/SDGs時代におけるWell-being経営とは
     ~次世代の経営人材と産業保健人材の連携に向けて~
     第一部 笹原英司 氏 講演
     第二部 石川善樹 氏 講演
     第三部 パネルディスカッション

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