加工、調整、再現、処理された世界 - メディアが「省略」することについて
タイトルは、SEKAI NO OWARI "illusion" の歌詞の一部です。
にょろさん の以下の記事を読んで、この歌詞を思い出しました。
とても大切なことが書かれた記事だと思います。
メディアが映すのは世界のほんの一部
にょろさんは、このように書かれています。
恐らくそうなのでしょう。
悪意の有無に関わらず、メディアの報道の裏には省かれた情報があります。
このことについて、2つの視点から考えてみたいと思います。
① 省略せざるを得ない事情がある?
メディアを擁護するつもりではありませんが(かといって批判するつもりもありませんが)、情報を省略することがやむを得ない事情も考えられます。
メディアが報道できる情報の量には上限があります。
新聞であれば紙面、テレビであれば放送時間。
ほぼ無制限と思われるWebメディアであっても、それを制作しているのが人間である以上、一定期間に発信できる情報量には限界があります。
そのため、メディアは世界で起こる森羅万象を余す事なく報道することはできず、一部の情報を省略せざるを得ないことになります。
② 何を省略するかは人為的な判断
報道の中立性・客観性を保つことが難しいのは、この「省略」を求められる過程があるからだと考えます。
「省略」は人為的な判断に基づいて行われることであり、ここに利害関係や忖度が介入することで事情が複雑になってきます。
悪意の有無に関わらず、報道が営利活動である限り、利害関係者の評価を無視することができません。
CMや広告により報道機関の経営が保たれている以上は、報道がスポンサーの利益につながる方向に調整されていくことは避けられないことなのかもしれません。
にょろさんの記事でも、その一例が紹介されています。
「省略」はさまざまな場面で行われる
先ほどから、あえて「省略」と括弧付きの表記をしているのには理由があります。
それは、私が「省略」を広義に捉えているからです。
いわゆる「カット」という編集作業に限られず、実は取材の段階から「省略」が行われていると考えています。
理由はシンプルで、ビデオカメラで撮影できる映像には画角という範囲があり、取材の対象も人為的に選ばれるからです。
さらに言えば、取材に対する回答内容も取材方法によってコントロールされる可能性があります。
一例をあげましょう。
社会調査に関する用語として「キャリーオーバー効果」というものがあります。
例えば、(1)高齢者の一人暮らしについて、(2)孤立死について……と2つの事柄について意見を尋ねる場合。
A 高齢者の一人暮らしについてどのようにお考えですか?
B 孤立死についてどのようにお考えですか?
A → B の順に尋ねた場合と、B → A の順に尋ねた場合とでは回答内容が異なってきます。
特に B → A の場合は、「孤立死」についてのイメージが回答者の頭に残っているため、高齢者の一人暮らしについてもネガティブな回答をしやすくなることが考えられます。
( A → B の場合は、「自立した生活」「孤高」「超高齢社会の新しい老後の過ごし方」という回答もあったかもしれないのに)
まとめ
「完全に中立のメディアは無い」というのが私の認識です。
それは、私自身の note の投稿も含めて。
「ペンは剣よりも強し」という言葉がありますが、発信することは世界を剣のような鋭さで切り取ることだと思っています。
そうしたメディアとの付き合い方について、にょろさんの記事には大切なことが書かれています。
良くも悪くも、世の中には情報が溢れています。
メディアが「省略」した情報のなかに、自分にとって必要な情報があるのならば、能動的にそれを探していく姿勢が必要なのだと思います。
様々な立場から発信された情報を見ることができるため、インターネットを活用することも有効な手段だと思います。
にょろさんの記事では もののふ椿さん の記事が紹介されています。
もののふ椿さんには、note を始めて間もない頃からお世話になっているので偶然の巡り合いにびっくりです。
にょろさんも書かれていますが、「自分の目で確かめる凄い方」です。
スマホ一台で様々な情報にアクセスすることができる便利な時代ですが、
"すべてを知っている”と錯覚するのは危険なことだと思います。
自分で調べる、確かめる、考える。
どれだけ IT や メディアが発達したとしても、この姿勢は忘れずにいたいものです。
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